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令和8年4月13日発行 第3594号 掲載

国際的にみる米産業/東京農大研究所がセミナー

 東京農業大学総合研究所は3月23日、同大学世田谷キャンパス国際センター2階榎本ホールで、「稲・コメ・ごはん部会」第16回セミナー~国際的視点から捉えるコメ産業の構造と課題~を開催した。当日は、「ベトナムでの取り組み―海外でのジャポニカ米市場について―」(木徳神糧㈱海外事業部・本田晴恵氏)、「北中南米における精米工場と米市場の実態―駐在経験からの考察―」(㈱サタケ技術本部技術企画室・落合真也氏)、「日本米は海をどう渡るのか?―日本食ブームとグローバル・バリューチェーン―」(日本大学生物資源科学部食品ビジネス学科・齋藤文信氏)の3講演が行われた。
 最初に挨拶に立った稲・コメ・ごはん部会の佐々木卓治部会長は、「米は我が国にとって非常に大事な主食料。輸出・輸入の両方に深く関わっていかないと、我々消費者が、安心して米を得ることができないという状況になりかねない。本セミナーを通じて、世界の米情勢についての情報を共有できれば」と挨拶した。
 初めに登壇した本田氏は、世界のジャポニカ米の市場動向について説明。世界的にみると長粒種が多いものの、和食や東アジアの食文化の広まりによって短粒種であるジャポニカ米の市場が拡大しており、この5年間で日本産米の輸出量は約2・4倍に増加しているなどのデータを提示。また、同氏が所属する木徳神糧では、ベトナムでのジャポニカ米の契約栽培に取り組み、近年は最新式の無洗米加工設備を導入するなど、乾燥から精米、コンテナ出荷まで一貫対応していることなどを紹介した。
 続いて、米国テキサス州に約9年間駐在した落合氏は「サタケがなぜ、アメリカで成功できたのか?」という切り口で講演。サタケは1960年代に米国市場に参入。精米機「パールマスター」をはじめとした同社の精米機は、参入から3年という短い期間で約95%のシェアを獲得し、現在も米国の米市場を支え続けている。日本企業が受け入れられた背景について、落合氏は、1900年代初頭の稲作技術の指導や、第2次世界大戦中の日系アメリカ人による第442連隊の活躍が日系人に対する良いイメージにつながり、日系企業がテキサスで歓迎されやすい素地が生まれたのではないかと考察。「市場を作るのは歴史と人である」と述べ、米国での成功は、高い技術力に支えられたのはもちろんだが、その背景には歴史に裏打ちされた信頼があり、それこそが、技術力だけでは語り切れない市場獲得の難しさでもあるとした。
 最後に登壇した齋藤氏は、日本食ブームなどにふれた。近年、海外の日本食レストランは急増しているが、これは訪日観光客が日本で得た体験により、帰国後も日本産の食材を求めるようになり、インバウンド消費から輸出へとつながる正のサイクルが確立されているからだとした。また、海外産ジャポニカ米は価格面で日本産を圧倒するが、日本食への入口としての役割を果たしているとし、日本産米は品種ブランドや安全性、用途適性などによって、ハイエンド市場でのポジショニングを鮮明にすることが期待されるなどとした。

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