ケニア農業、日本技術に期待/JICA・AFICAT情報交換会

JICA(独立行政法人国際協力機構)は8日、「第5回AFICAT情報交換会ケニア編」をオンラインで開催した。JICAが進めているAFICAT(日・アフリカ農業イノベーションセンター)事業にて、サブサハラ・アフリカ地域に日本の先進的な技術の導入や農業機械化を推進することを目的に、タンザニア、コートジボワール、ナイジェリア、ガーナ及びケニアの5カ国で情報収集・確認調査を実施していることを踏まえ、今回はアフリカ進出に関心がある日本企業を対象に、ケニア農業の現状や農業技術ニーズなどを紹介した。
開会挨拶したJICAケニア国農業畜産開発省戦略的農業開発アドバイザーの里山隆徳氏は、参集した70以上の参加者に謝意を述べた後、ケニアにおけるAFICATの活動を紹介。ケニアでは1年ほど前にAFICAT委員会が設立され、同国の農業畜産開発省や、農業セクターネットワーク(ASNET)、ジョモ・ケニヤッタ農工大学(JKUAT)の3組織が中心となり、同委員会の決定に基づいてAFICATの各種活動が行われているとし、今回は同3組織から発表があるので、ぜひ意見を寄せてほしいなどと語った。
次いで(株)かいはつマネジメント・コンサルティングの弓削田高大氏がケニアにおけるAFICAT事業を紹介した。同事業では日本の農業機械・資材メーカーのアフリカ進出を支援しており、現地の政府や民間組織等との関係構築をはじめ現地の情報提供及び視察の支援などを行っている。ケニアではAFICATショールームをJKUATに設けており、日本企業20社以上が参加していることや、現地の展示会にも随時出展し、企業・製品のPRを進めている旨などを説明した。
その後、ケニアのAFICAT委員会メンバー3名による講演が行われた。ケニア国農業畜産開発省コメ振興プログラムのクリア・ゴドウィン氏は「ケニアの農業と農業機械化の状況・政策」を発表。ゴドウィン氏によると、ケニアの農業はGDP(2023年)の21・8%を占め、全人口の4割以上、農村人口の7割以上を雇用しており、同国経済の要を担うものの、農業機械化は未だ限定的という。農作業のうち機械作業は約3割、手作業や動物による作業が約7割を占め、この背景には教育格差やコスト高、脆弱なインフラ、限られた資源などがあるとした。そこで、同国政府はケニアビジョン2030及び農業セクター成長戦略に則り、農業機械化を5割にすることを目指している。機械化導入は食料安全保障の確保や雇用及び収入と生計の創出、経済発展などに欠かせないとし、将来展望として、政府は農業改良普及サービスと研修の強化、協同組合の形成、今後10年の機械化進展などを、民間は大規模農業や精密農業、農業サービス、輸出・貿易、付加価値向上などへの取り組みを示し、機械化の推進による生産性向上を目指すなどと語った。
一方、ASNET総務・財務マネージャーのヘンリー・ジェンガ氏は「ケニアの農業ビジネス環境・進出支援策」を講演。ジェンガ氏によると、ASNETはケニア農業における民間関係者を統括しており、政策提言や関係者の調整、貿易・投資の円滑化などを進めている団体である。ケニアが投資先として選ばれる強みとして、若年人口の急速な増加やビジネスインフラの整備、輸出拠点となる港湾など戦略的な立地、政治的安定、完全自由化した経済、地域のICTハブとしての立ち位置などをあげ、さらにケニアの農業は主要産業であり、GDPの20%を占め、紅茶やコーヒー、切り花、果物、野菜の主要輸出国だと示した。
一方で、生産性向上が課題にあげられ、その背景として▽0・2~0・3ヘクタールの小規模農家が約8割、主に手作業で伝統的な栽培方法を実施▽種子の品質及び肥料・資材の使用量が低い▽収穫後ロスが約4割▽ほとんどが未加工出荷で付加価値が低い▽食料生産不足により輸入が3~4割増―などがあるという。こうした事態を改善すべく、政府からは様々な補助金制度が発出されており、技術を活用した生産性及び付加価値向上が求められているなどと語った。
また、JKUATのナオミ・ケーター氏は「ジョモ・ケニヤッタ農工大学における本邦農業技術の実証試験」を紹介。同大学と連携して実証を進めている(株)SPEC(土壌硬化剤「STEIN」)、(株)パルサー・インターナショナル(葉面散布肥料「オルガミン」)や、製品を貸与している(株)ケツト科学研究所(穀物水分計など)の事例を示し、そのうち「STEIN」の実証試験では、同大学、JICAアドバイザー、SPEC社などと共同で環境に優しい高品質の無機質土壌硬化剤「STEIN」の土壌適合性試験を実施。さらに、大学の授業にてケツト科学研究所の水分計を活用している様子なども紹介した。オルガミン施用の実証試験はアマランサスやナス科植物等の収量向上に役立ったとした。また、JKUATにあるAFICATショールームには20以上の日本企業が出展しており、来場者は様々な技術の実機や資料を一望することができ、国内からの来場者も多いなどと紹介された。
その後の質疑応答では幅広い質問が寄せられた。中国及び日本の農業機械のケニアでの評判については、ケニアでは中国の農業機械の市場が広がっており、アクセスの可能性が高まっているとし、日本の農業機械については品質やアフターサービスの良さが知られていると述べ、日本企業に対して例えば英語のWebサイトを設置するなど、ケニアに向けてもっと積極的にアプローチしてほしい、ケニアもいいものを長く使いたいというスタンスが出始めているなどの応答があった。






