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令和8年5月4日発行 第3597号 掲載

本社移転し設備を披露/クボタ

 ㈱クボタ(花田晋吾社長)は1日、本社を大阪市北区のグラングリーン大阪・南館パークタワー15~19階へ移転した。4月27日に行われた内覧会では新オフィスの狙いや設計のコンセプトが公開され、執務エリアや協創エリアのほか、キッズスペースや礼拝室など多様な働き方に対応した設備が紹介された。入居フロアは約2万1441平方㍍(6485坪)の広さだ。
 内覧会で挨拶に立った代表取締役・花田CEOは、130年以上拠点を置いた難波からの移転を「歴史の転換点」と表現した。創業以来、農業・水・環境といった社会課題に向き合ってきた同社の歩みを振り返りつつ、「本社移転は老朽化への対応ではなく、クボタがこれから何を生み出す企業であるべきかを問い直す機会だ」と語った。
 社会課題が複雑化し、事業環境が急速に変化する中で、従来の製品供給だけでは価値を提供し続けられないと指摘。「私たちは『物を作る会社』から、『課題を解決する会社』へと進化しなければならない」と述べ、ICTを活用したソリューションビジネスの強化や新規事業探索の必要性を強調した。
 中期経営計画2030で掲げた事業変革についても触れ、「既存事業の深化と新規事業の探索、それが持続的成長を支える」と語った。さらに、変革の鍵としてオープンイノベーションをあげ、「社内の知恵だけでは限界がある。多様な企業や研究者、スタートアップと交わり、互いの視点を重ねることで初めて新しい価値が生まれる」と説明。グラングリーン大阪を選んだ理由について、「街全体が開かれ、多様な人が自然に集まる環境は、クボタが社会とつながり続けるための最適な舞台」と述べた。
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 新本社のコンセプトは「Konnect field for Innovation」。「Konnect」とは英語の「connect(コネクト)」が持つ、人と人をつなぐという意味に、クボタの頭文字である「K」を重ねたものだ。各フロアは水・土・緑・花・空といった自然の循環を色で表現し、フリーアドレス制を導入、役職や部門を越えた対話を促す設計とした。
 19階のエントランスは白を基調に未来を表現し、万博でも展示された汎用プラットフォームロボット「Type:S」を展示。続く協創エリアは、社内外の人材が交わり、新規事業や組織改革を生み出すための中核拠点。ワークショップや研修に使える多目的エリア、オンライン配信スタジオ、カフェなどを備え、部門や立場を越えた対話を促す設計とした。
 同エリアでは、社員が新規事業を構想するアントレプレナー育成や、日常の課題意識を議論し改善につなげる企業文化改革を推進。説明に立ったスタッフは「挑戦と失敗を積み重ねる文化を根付かせたい」と述べ、協創エリアを探索型イノベーションの起点と位置づけている。キッズスペースも初めて導入した。
 17階には食堂「Komorebi(木漏れ日)」を設置。季節の移ろいを表現した空間で、食事だけでなく打ち合わせやワンオンワンにも使えるサードプレイスとして機能する。夜は「夜カフェ」として交流の場としても活用する予定だ。
 15階の執務エリアには小規模会議室やオープンディスカッションスペースを多く配置し、必要なメンバーがすぐ集まれる機動的な働き方を想定。昇降デスクやソファ席など多様な設備を取り入れ、社員が自ら最適な環境を選べるようにした。役員も個室にこだわらず同じ空間で働くことで、日常的な対話を生み出す狙いだ。
 若手社員が企画したマグネットスペース「KURU KURU(くるくる)」では、コーヒーなどを提供し、雑談からアイデアが生まれる場を目指す。礼拝室の設置など、多様なバックグラウンドを持つ社員が安心して働ける環境づくりも進めた。
 花田CEOは質疑応答で、新本社に対する率直な印象を問われ、「難波の旧本社は周囲に他社がほとんどない環境だった。大規模オフィスビルに入り、様々な業界の方々が身近にいる状況で働くことは、大きな違いだ」と述べた。さらに「個人的にも刺激があり、楽しみにしている」と語り、新たな環境がもたらす変化への期待を示した。同社は「イノベーションはここから」を掲げ、新本社を起点に価値創造を加速させる方針だ。

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