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令和8年4月27日発行 第3596号 掲載

スマート林業技術の現場実装へ/林業機械特集

 既報の通り、林野庁は3月30日、林業イノベーションを推進するための「スマート林業技術の現場実装ビジョン~林業の現場に新しい選択肢を」と「木質系新素材の社会実装ビジョン~森林発!次世代のバイオマス化学産業をつくろう」を策定し、公表した。スマート林業技術を広く定着させ、新たな高付加価値用途である木質系新素材の社会実装を目的としている。スマート林業・木質系新素材の必要性、目指すべき将来像と必要な技術、今後5~10年かけて実施されるべき取り組みをまとめ、周知を図っているところだ。今回は「スマート林業技術の現場実装ビジョン」のうち、伐採・搬出におけるスマート林業技術の実装について紹介する。
 伐採・搬出におけるスマート林業技術を実装した林業の将来像として▽伐倒・木寄せ・集材における労働安全の確保と労働負荷軽減のため、林内走行技術や遠隔操作技術等を開発▽労働生産性を向上させるため、作業工程の統合や、作業の無人化を可能とする自動運転技術等の開発▽林地の条件に応じて安全を確保した上で、林地保全に配慮し、労働生産性を向上させる適切な作業システムを選択できる環境を整備▽林業経営体による経営判断の下、既存の作業システム・林業機械に加え、新しい選択肢として推進―することを目標に掲げている。
 林業における労働災害は減少傾向にあるが、年間約30件の死亡災害、1000件以上の死傷災害が発生しているのが現状だ。死傷年千人率は全産業平均と比べて、約10倍の高水準。特に死亡災害の約6割を占める伐倒作業への安全対策は最優先課題だ。
 改善のためには安全なキャビン内で操作可能な林内走行林業機械や、危険範囲外から操作できる遠隔操作機能、自動運転機能を有する林業機械の導入が有効。
 また、架線集材は路網整備が困難な急傾斜地でも林地保全に配慮した集材が行えることから、急傾斜地が多く分布する地域で森林資源を循環利用するために不可欠だ。
 林内走行技術・自動運転技術などを活用した工程の統合や一部作業の自動化により、2人程度での運用が可能な作業システムを構築。主伐の労働生産性について緩傾斜では20~40立方㍍/人・日、中傾斜および急傾斜では15~25立方㍍/人・日を実現させたい。
 スマート林業技術を普及させるために必要となる林業機械を2030年までに開発・実用化し、作業システムを確立するとともに、先行して導入している地域での利用拡大を促す。
 2035年には、次の①~④の傾斜区分で木材生産量を約25%増加させることを目指す。
 ①作業システムの例・ 緩傾斜(おおむね傾斜 0~20度)は、ハーベスタとフォワーダがともに林内を走行する作業システムで、欧州で普及しているCTL工法の導入を想定。欧州ではホイール式の林業機械が一般的だが、日本で適用させるには欧州とは地形や土質が異なることを踏まえ、接地圧の低いクローラ式の林業機械の活用が期待される。
 その際、林内の凹凸への追従性の高い走行装置(足回り)やキャビン・荷台の水平を保つ機構により、十分な林内走行性能を備えることが重要だ。土壌条件によっては、林内走行に伴って土壌の侵食が生じるおそれがあり、林地保全に配慮した作業方法の確立が求められる。
 ②作業システムの例・中傾斜(おおむね傾斜 10~30度)においては伐倒機械が伐倒した後、全木で木寄せ作業を行い、造材以降の作業は路網や土場の比較的整備された条件下で行う作業システムの導入を想定。傾斜のある林内を走行可能な伐倒機械や、遠隔操作・自動運転が可能な集材機械の開発・導入が重要だ。
 造材以降の作業は現在、日本で一般的に行われている林業機械による作業と共通点が多く、現状の作業システムからの置き換えが進みやすい。
 また、木寄せ作業の機械化により、ワイヤーロープの引き回し作業を回避できるため、労働負荷軽減と労働生産性向上が期待できる。
 ③作業システムの例・ 急傾斜(おおむね傾斜 25~35度)においては、ウインチアシスト機能を有する遠隔操作可能な伐倒機械や、遠隔操作・自動運転が可能な架線集材機械の開発・導入が重要で、架線集材特有の技能の継承・普及が求められる。
 集材機の場合には、面的な索張りにより多量の伐倒木が集まるため、造材・椪積み・トラック運搬作業を滞りなく行える現場条件を確保。
 タワーヤーダの場合、▽集材範囲が比較的小面積であること▽索張りの架設撤去が容易なこと▽上げ荷集材に適している―などといった特徴を踏まえると、尾根筋付近の路網にタワーヤーダを設置し稼働させることが望ましい。
 ④作業システムの例・ 事業規模1万立方㍍/年程度未満。日本の素材生産量の約7割は、年間素材生産量が1万立方㍍以上の林業経営体によるもの。残りの約3割は年間素材生産量が1万立方㍍未満の比較的小規模な林業経営体によって担われている。
 スマート林業機械と新たな作業システムの導入により、高い労働生産性が期待できるものの、それに見合った十分な事業規模を確保できない経営体にとっては機械などの導入は困難となる。
 しかしながら、労働安全の確保や労働負荷軽減は、経営規模の大小を問わず重要なテーマだ。比較的小規模な林業経営体でも、低コストなスマート林業機械の導入やレンタル活用で、コストを抑えながら取り組みを進めていくことが大切。

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