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令和8年3月23日発行 第3592号 掲載

ベースマシンメーカーのスマート化/林業機械特集

 キャタピラーは、遠隔操作システムCat Command(キャットコマンド)を2022年から提供している。Cat次世代マシンに後付け可能な遠隔操作キット。油圧ショベル、ブルドーザ、ホイールローダといった建設機械を遠隔操作できるようになっている。人が立ち入れないような区域でもリモートコントロールで作業可能となるため、緊急災害復旧への迅速な対応にも貢献する。
 危険な現場、過酷な条件下から離れて操作することでオペレータの疲労やストレスを軽減。機械への乗降時の怪我、機械の横転や滑落による人身事故のリスクを減らし、安全性向上に寄与する。
 Cat Commandには「コンソール」と「ステーション」の2種類がある。
 Cat Commandコンソールは現場内で運転席に座らずに、機械を直接目視しながら専用コントローラで機械を操作。Cat Commandステーションは、現場敷地内の事務所や遠く離れた場所に設置した「仮想運転席」に座ってリモート作業を行う。
 日本キャタピラー合同会社営業企画部営業支援課の徳永拓海氏は「Cat Commandは地震や大雨、土砂崩れといった災害現場、陥没事故現場など様々な場面で活躍する。林業現場へ導入するには森林内のネット環境の整備や車両が入っていけるかどうかが鍵」と話す。
 コベルコ建機日本(株)は遠隔操作による新しい働き方を推進し、多様な人を集め、生かし、育てる現場をつくることで「人」を起点に組織を活性化し、業界全体を変えていくことを目指している。同社が普及を進めるのが重機の遠隔操作システム「K―DIVE」だ。
 遠隔操作システムと稼働データを活用し、お客様の取り巻く様々な課題を解決する現場改善ソリューションで、2022年から提供開始した。各地で開かれる展示会では試乗体験コーナーを設置し、メーン機種の1つとして積極的にアピールしている。
 K―DIVEには、重機側に搭載したセンサーを通して振動や傾きをコックピットへフィードバックする「モーションシート」を採用。大きな傾きだけでなく、操作に影響する微細な振動もオペレータに伝わるようになっている。
 現在は産業廃棄物処理、金属リサイクル、再生砕石など固定ヤードを中心に導入が進んでおり、林業現場への活用はまだこれからだという。林業でも木の選別やハンドリングなどでK―DIVEが活躍でき、今後の動きに注目だ。
 DXソリューション部K―DIVE推進グループの奥本昂平グループ長は「現場の安全性を高めたいというお客様からの要望が増えている。K―DIVEの導入とともにコベルコの機械を購入してくれるケースもあり、相乗効果が出ている。市場のニーズを分析しながら、展示会などでのPRを引き続き強化し、遠隔操作を業界のスタンダードにしていきたい」と話した。
 コマツは造材量・造材位置を見える化するアプリ「ZOUZAIウォッチャー」の提供を2023年9月から開始した。従来は現場のオペレータの記録に頼るしかなかった造材量の管理をデジタル化し、林業作業効率向上につなげる。ZOUZAIウォッチャーはハーベスタヘッドC93またはS92を装着した車両に、造材データ転送用端末を取り付け、ハーベスタヘッドからの情報をクラウド上に蓄積する仕組み。ネット環境さえあればソフトウエアのインストールは不要でパソコン、スマホ、タブレットからアクセス可能となり、現場に足を運ばなくても作業状況を把握。
 コマツは林業機械事業を建設機械、鉱山機械に続く「第3の柱」として位置づけており、CTL機の実証にも取り組む。コマツカスタマーサポート(株)建機・リフト事業部商品・分野サポート部商品分野グループの篠宮努担当課長は「製品を提供することでお客様に喜んでもらえることが何より重要。お客様の反応を分析しながら改良を進めていく」と意気込む。
 住友建機販売(株)は▽ストロークハーベスタKESLA25SHⅡ▽ローラハーベスタKESLA26RHⅢなどの最新機種を取り揃えており、スマート林業の実現に向けて最先端のICTソリューションを提案している。
 遠隔操作システムはBuilderXをアピール。住友商事(株)が2024年、油圧ショベルを中心とする建設機械の遠隔操作装置を開発する北京拓疆者智能科技有限公司(本社・中国・BuilderX社)と日本における総代理店契約を締結。BuilderX社のソリューション提供を通じて採石鉱業、港湾荷役業、産廃処理業、製造業など幅広い産業で建機オペレータを取り巻く課題解決を目指す。林業現場への導入はまだないが、今後様々な現場での活躍に期待が高まる。
 住友建機販売(株)営業企画部セールスプロモーショングループの清水幸江グループリーダーは、「全国から実証実験をしたいという要望が増えている。試乗体験などでお客様にアピールしていきたい」と述べ、業界全体で林業のスマート化を加速させるには「製品そのものの性能を高めるだけでなく、製材所などとの連携や自治体のバックアップが必要だ」と指摘した。
 日立建機日本(株)は「現場の生産プロセスの見える化」の取り組みに力を入れている。昨年から伐採現場を視覚化するツール「Timber Matic Maps」の販売を開始した。
 これにより、オペレータが伐採現場の生産状況をリアルタイムで確認できるようになった。ハーベスタのセンサーによって収集されたデータと伐採された木材の正確なGPSベースの位置は、ハーベスタからTimber Matic Mapsアプリケーションに自動送信。丸太の配置と位置に関する視覚情報をオペレータに提供し、マップには積載される木材の位置と量が表示される。
 丸太が軌道のどちら側にあるかも表示。積荷が運搬されると、進行状況がマップ上で自動的に更新。生産ビューでは完成した生産物のうち腐朽材、繊維材、製材用材がどの程度の割合を占めているかがわかるようになっている。
 事業本部事業統括部本社営業部業種別・応用製品推進グループの野口和也営業課長は「日本の林業現場でスマート化を浸透させていくためにはインフラ整備が不可欠。スマート化の気運を業界全体でさらに高め、行政を動かしていく必要がある。世界中の技術を学び、新しいものをどんどん取り入れながら積極的にアピールしていきたい」と話している。

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