各社の対応:新技術でニーズ対応/2026年春北海道特集

(株)菱農は今後について、「スマート農業への対応ももちろんだが、何よりお客様との接し方を考え直したい」と筒井社長。普段からスマホを使いこなす世代が農家の主流になりつつあり、古い営業スタッフとノリが合わなくなっていると話す。「うちと取引するメリットは何かを真剣に考えなければ、生き残っていけない。新しい価値や存在感を見出す節目の年にしたい」とも。さらに販売店としての色や個性を出すことの必要性を感じている。
アフターサービスについては、工賃単価を上げて、見合った仕事量は確保できているものの、人が増えない以上、これ以上の拡大は難しい状況にある。「技術者の確保・育成とも我々のような個人店には非常に厳しい。整備士を辞めさせないような対応を取りながら、新規採用したいが、それもなかなか難しい」と筒井社長は述べている。
(株)砂田興産の砂田社長は「我々のような、ディーラーさんのできないことをやる個人店は必要だと思っている。三菱の撤退で色々考えた。業界のため、皆さんのためになるようなことができないかと考えている」と話す。
今後は、売れるものなら何でもというスタンスで、まずはあるものを売っていくという。「自動操舵システムは昨年150台ほど販売した。それを超えるのは難しいが、4年連続100台以上売った個人販売店は他にいなかった。100台以上は今年も継続したい」と砂田社長。その他、野菜関連製品もニーズに対応していく。
昨年12月には、栗山にあった南そらち支店を本社に統合した。これは整備対応を集約するためだ。「本社は水田、野菜作の他に家庭用の除雪機の修理整備もあり、人が足りない。南そらち支店はサービスマンが2名で、繁忙期は休みのローテーションが組めなかった。今後の需要増に少しでも応え、お客さんを手厚く対応できるよう、また、社員の生活を守るために体制を変更した。それを見越して本社の改装も行った」と話す。
サービス体制は2名増強し、働きやすい体勢を整えながら育成していく。
(株)北海道クボタの道信社長は、今年の状況について、気象変動や作況、作物価格の動向、為替の影響、世界情勢の不安定性などによる影響を懸念している。
昨年新しく制定された食料・農業・農村基本法に、北海道を主要穀物と乳製品の主要生産地にすることや、直播や陸稲等の新しい栽培方法が謳われていることに対して的確に対応していきたい考え。そのためにも変化する農業情勢を踏まえ、個人のスキルを高めていくとともに水稲、畑作、酪農の市場で培った知見を活かした組織力でソリューション提案活動を展開していきたいとしている。
昨今のリースサービスの進展と需要の高まりを受けて、クボタグループのリースサービスRAKUtA(ラクタ)やメンテナンス付き残価設定リース等も取り組んでいく。また、生成AIの進化に伴い、DXを活用して、チームによるアフターサービスの生産性を高めていく。
道信社長は「農家さんは、我が社のサービススタッフの技術力を信頼して整備に出してくれている。お客様との信頼関係をさらに高めていきたい」と話す。今後もサービス人材の育成も含め、若手の育成を着実に進め、ニーズに応えていく。
一昨年秋以降の米価高騰による好調は特需とみているヤンマーアグリジャパン(株)北海道支社の佐藤支社長は、2026年を「我々の真の実力が試される年。お客様の課題にさらに応え続け、市況に左右されない強固な組織、仕組みづくりを継続していきたい」と話す。営業訪問を繰り返し、顧客との面談量を増やし、現場の声を反映した迅速な情報提供や提案に務めていく考えだ。
また、YTトラクタのモデルチェンジに焦点を当て、展示会でもPRしながら、新型トラクタを軸とした営業展開も図っていく。
密苗は対応する田植機が道内で年々増加の傾向。引き続き手を緩めることなく推進していく。「直播も南空知地域を中心に多いが、適合する製品の取り扱いが多くない。また、密苗に取り組んで10年が経過し、低コストや省力化のニーズはさらに高まっており、見込みもまだかなりある。密苗田植機を拡販していきたい」とも述べている。
スマート農機については、一昨年からYTトラクタ全機種に直進アシスト機能が装備され、昨年は乗用野菜移植機にも搭載。自脱型のオートコンバインの機能アップ版も登場し、スマート農機のラインアップも着実に増えている。
「乗用野菜移植機への直進アシスト機能の追加で、前後作業のトラクタの軌跡と同じラインを走行できる機能や自脱型コンバインのオート仕様は、さらに使いやすくなった。自動農機の拡充は市場で高く評価されている」と述べた。
ドローンは農薬散布のみならず、猛暑対策として、牛舎や野菜ハウスへの遮熱材の塗布での利用も提案していく。自動操舵もいまだ伸長している。「1台装着すると、他の機械にも追加することが多い」と佐藤支社長は話す。
整備や修理については、直近5年は右肩上がりが続く。「近年の農業機械はますます高度化し、精密農業や自動化技術が導入されて、効率的な作業が可能になる一方で、機械の故障やトラブルが発生した際の修理整備の重要性が増している」(佐藤支社長)。
特に北海道のような広大な農地の地域では、販売後のサポート体制が非常に重要視されており、農家の手を止めないサポートや遠隔監視システムの導入が進み、迅速な修理対応に力を入れている。高度な整備技術を持つ人材の確保が急務で、それと同時に育成も重要な課題。特に若手の育成に力を入れている。地域の高校や専門学校との連携を強化して、実践的な技術を学べる環境を整える必要があり、インターンなどの受け入れも順次対応している。
昨年は水田市場の好況で、整備受注も非常に多かった。昨年と今年は、急に収入が増えたものの機械投資に回せない農家からの修理の依頼が増加した。
「農家の税金の締めが12月で、12月までに修理整備をあげてほしいとの要望が多数あり、それによって我が社のサービスマンに苦労をかけた」。サービス事業は安定的な事業であるが、普及台数の増加で、メンテナンスをカバーする人員が慢性的に不足している。機械の大型化や精密化も進み、整備工場や機材などの設備の対応も迫られている。人員の増員や設備の増強などの投資は徐々に行っていく。
一方、2026年からブロッコリーが指定野菜になり、同社としては、ブロッコリーの移植機・収穫機も揃えているため、そこに力を入れた活動をしたいとしている。
(株)ISEKI Japan北海道カンパニーの今年の売上計画は横ばい程度に設定。土屋社長は「稲作の実績は維持しつつ、畑作・酪農地域で頑張ってもらいたい。何でも売るというやり方では今後の売上げが心配になるため、今ある在庫をしっかり販売につなげたい」との考えだ。施策としては年頭に発表されたの65~105PSの新型BJトラクタが7月以降の出荷となるが、今から契約を取っていく。ジャパンシリーズ135PSのコンバインも発表になっており、来年の売上げにはなるものの、同様に推進していく。また、畑作向けの大型機械やスマート農機に重点を置いて進めていく。アイガモロボ2やNTTeドローンなども、使用に適する農家に向け提案していく。アイガモロボ2は北海道の浅水の水田でも使用できるようになり、50台を販売している。今年も同程度を目標に拡販していく。ドローンは中規模の稲作農家向けに提案を進める。輸入作業機は仕入れ価格上昇で厳しいながらも4月からの価格改定にあわせ、3月の駆け込み需要に対応していく。自動操舵についても、国内メーカーのものを中心に推進。
稲作の直播栽培も近年徐々に増加している。「規模拡大したら増えた面積は直播でというケースも出てきている。しかし、昨年の米価の影響で主食用米をしっかり移植栽培でやるということが一時的に増えたのでは」と土屋社長。育苗用培土の出荷も増えているそうだ。しかし、いずれは直播がまた増えてくると予想している。
猛暑対策としては、ラインアップにある自走式設置潅水機は札幌のアグリ事業部で生産しており、必要となった時に対応できるよう増産体制を整えておきたい考えだ。
アフターメンテナンスについては、2018年頃から道内各地に大型整備工場を整え、ハブ工場として機能している。「当初、5~6名体制だった営業所を統合して整備スタッフを30名規模にして、うまく機能しない時期もあった。今は効率的に回るようになっている。それが営業のバックアップとしてプラスに働いている」と話す。伸びしろの多い若手を中心に研修にも力を入れる。
それでもやはり、昨年末内での整備依頼は多く、全てを受け入れることは難しかった。土屋社長は「2024年末からその傾向はあった。昨年も農家さんには早め早めに呼びかけて対応したが、断らざるをえないこともあった」と述べている。
エム・エス・ケー農業機械(株)は昨年、実演の社内キャンペーンとして「チャレンジ400」を実施。年間実演回数400回を目標に全社をあげて取り組んだ。「500回以上の実演回数を達成できた」と中村本部長。結果として、台数も昨年比増となっている。
展示会についても、各支社で作成していたチラシを、全社統一したものに一新し、「ひらこう。農業の可能性」をコンセプトに一体感を出した。11月から開催の展示会は動員目標を達成した。 今後に向けて畑作は、異常気象は続くということを前提にして、高性能・高価格の製品だけでなく、低価格の商品ラインアップの拡充を模索していく。また、昨年から行っているフェント製トラクタも推進していく。
「フェントは当社がメーンとするマッセイ・ファーガソンよりもハイクラスのトラクタ。性能やステータスの評価は高い。また、令和7年度畜産クラスター事業の持続向上タイプにてトラクタの要件から知事特認が不要となり、申込みは大きく増えている。畑作、水田向けにもフェントの下位モデルで馬力の低い200シリーズを拡販していく」(中村本部長)。
クラース大型コンバインのレキシオンによる畑作、水田の収穫を本格的に実施する予定。「お客様の要請で実施したところ、結果は良好。当社としては米の収穫は推奨しないというスタンスだったが、やり方によってはうまくいくことがわかった」という。実演機1台を用意し、稲作での実演を展開する考えである。十勝の農家の中には陸稲への取り組みも出始めており、それも踏まえて対応していく。
「米、麦、大豆、菜種、子実コーンの5種類が収穫できる。例えばこの5種類をバランスよく栽培していれば、1台のコンバインで全て収穫できる。効率の良さはもちろん、コストメリットも充分にある」と中村本部長は述べている。直播についても、畑作から転用できる同社の商品群を販売していきたいとした。
今後のイベントとしては、実演会「フェントエクスペリエンス」を昨年に続き6月に開催する。
アフターメンテナンスは、修理部品含め、大きく伸長。本機需要が冷えむ中、ニーズはさらに高まっている。
「キャパシティの限界もある中、修理整備の時期が集中することもあり、時間がかかっているのは事実。お客様には定期的な更新や計画的な格納整備を訴えていく」としている。









