2030年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会提言を公表/農林水産省など

農林水産省、経済産業省ならびに国土交通省は3日、「2030年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会提言」を公表した。これは令和7年5月以降、計9回にわたり同検討会を開催し、次期総合物流施策大綱の策定に向けて、今後の物流施策のあり方について検討を行い、提言を取りまとめたもの。政府は同検討会の提言を基に、令和7年度末までの次期「総合物流施策大綱」の閣議決定を目指している。
同提言では、2030年度に想定された輸送力不足は官民の取り組みにより当初予想より緩和されたものの、足元の経済動向や物流需要の変化等を勘案した将来的な輸送力見通しの再検証を踏まえると、2030年度には平均で約7%~最大で約25%(1.7億~7.2億㌧)の輸送力不足が生じうると指摘。そこで、最大26%程度の輸送力を確保するための各種施策を用意し、輸送量の推移に応じて必要な施策を講じるとした。
物流を単なるコストではなく、新たな価値を創造するサービスとして捉え直し、より上質で魅力ある産業へと転換させるため、次期「総合物流施策大綱」が目指すべき今後の物流政策を次の5つの観点に分類した上で、取り組むべき施策を整理している。
①サービスの供給制約に対応するための徹底的な物流効率化=物流ネットワークの自動化・省人化の推進(自動運転トラック、自動物流道路など)▽効果的な物流体系の構築に向けたインフラ整備や新モーダルシフト等の推進▽地域のラストマイル配送等の持続可能な提供の維持・確保
②物流全体の最適化に向けた商慣行の見直しや荷主・消費者の行動変容、産業構造の転換=改正物流法等を通じた荷主・物流事業者・消費者等の連携・協力の強化▽適正な運賃収受等に向けた価格転嫁の円滑化と取引環境の適正化の推進▽トラック適正化2法等を通じたトラック運送業界全体の構造転換の推進
③持続可能な物流サービスの提供に向けた物流人材の地位・能力の向上と労働環境の改善=トラック・倉庫・鉄道・船舶・港湾・航空等の物流人材の確保・育成、労働環境の改善、生産性向上の推進▽トラックドライバーの休憩環境の改善▽輸送の安全確保に向けた対策―など
④物流に携わる多様な関係者の連携・協力による物流標準化と物流DX・GXの推進=フィジカルインターネットの実現を見据えた物流標準化・デジタル化の推進▽持続可能な地球環境やカーボンニュートラルの実現に向けたサプライチェーン全体の脱炭素化の推進
⑤厳しさを増す国際情勢や自然災害等に対応したサプライチェーンの高度化・強靱化=サプライチェーンの高度化を通じた我が国の物流の国際競争力強化の実現(港湾・航空ロジスティクスの強化など)▽我が国の物流システムにおける経済安全保障やサイバーセキュリティ等の確保▽大規模自然災害等に備えた物流ネットワークの強靱化
そのうえで、次期「総合物流施策大綱」に基づき今後取り組むべき施策として、農林水産物・食品の物流については②において「農林水産物・食品等の流通合理化」を、また、⑤において「農林水産物・食品の輸出拡大に向けた戦略的サプライチェーンの構築」を進めることを提示している。
このうち前者については、農林水産物・食品等の物流については、多様な食品を鮮度の良い状態で国民に不足感を感じさせることなく届けることなどの要請に対応するため、全国各地の産地から消費地等への長距離輸送やその間の品質保持、農産物・家畜等に係る中継共同物流、店舗等への多頻度配送の合理化などの対応を進めていく必要があることから、農林水産物・食品等のサプライチェーン全体の効率化に向けて、生産から小売・消費までの食料システムの関係者による連携と物流の結節点の機能強化を推進する。具体的には、産地の集出荷貯蔵施設や卸売市場、中継共同物流拠点等の整備による物流機能やコールドチェーンの強化の推進、「標準仕様パレット」の利用をはじめとする物流標準化・デジタル化・データ連携等の取組の促進、共同輸送などの地域間の連携、モーダルシフト等に必要な輸送品質の確保などを図る。また、積載効率の向上等に資する発注のロットや頻度の適正化、荷待ちが生じない出入荷日時の調整、荷役作業の軽減等の改正物流法を踏まえた取り組みについて、食料システムの関係者が協力し、負担と受益を分かち合いながら進められるよう、商慣行の見直しや品揃え等に対する消費者理解の醸成を含めて後押しする。
「農林水産物・食品の輸出拡大に向けた戦略的サプライチェーンの構築」については、2030年に農林水産物・食品の輸出額5兆円等の目標を達成し、農林水産業・食品産業の海外から稼ぐ力を強化していくことが重要である。このため、「農林水産物・食品の輸出拡大のための輸入国規制への対応等に関する関係閣僚会議」において取りまとめられた「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」33に基づき、国内から現地まで一貫してつなぐ戦略的サプライチェーンの構築を推進する。
具体的には、輸出に取り組む産地・事業者が、生産から加工・流通、現地販売までのサプライチェーンを構築できるよう、一気通貫で支援を行う。また、大ロット・高品質・効率的な輸出を後押しするため、関係省庁の連携の下、輸出物流の構築に必要な施設等の整備、産地から港湾・空港までの最適な輸送ルートや集荷・保管体制の構築、地方港湾・空港等の活用など、輸送ネットワークの構築やその間の品質管理等の課題解決を目指す。なお、農林水産物・食品の輸出は鮮度が付加価値となるため、航空保安対策を含む必要な輸出手続きが迅速に行われ、品質保持と両立できるように調整を図っていく必要がある。
さらに、温度・衛生管理が可能な荷さばき施設やコールドチェーンの確保のためのリーファーコンテナ電源供給施設等への支援等を行い、港湾を活用した農林水産物・食品の輸出を促進する。このほか、官民での海外におけるコールドチェーンの拠点整備・確保や、我が国の高品質なコールドチェーン物流サービスに関する国際規格の普及を図る―などとしている。









