令和7年度園芸施設・産地現地研修会を実施/施設園芸協

一般社団法人日本施設園芸協会(大出祐造会長)は2月26日、茨城県つくば市及び常総市において、令和7年度園芸施設・産地現地研修会を開催した。今回はつくば市の農研機構にて野菜花き研究部門、農業機械研究部門、農業ロボティクス研究センターの最先端の研究説明を聴講したのち、NARO植物工場つくば実証拠点を見学。その後、常総市の圏央道常総ICを中心とした「食と農の産業団地」アグリサイエンスバレーに移動し、AGRIST(株)常総農場にてキュウリの自動収穫ロボット実演やキュウリ・フルーツパプリカの栽培実証を視察。さらに、グランベリー大地にて、日本でも珍しいリフト式の「空中いちご園」を視察した。これには全国から同協会会員企業をはじめ、生産者や指導者、研究者、農業団体、関連企業など関係者約50名が参加した。
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同協会の園芸施設・産地現地研修会は国内における園芸施設・産地の現地視察及び情報交換を通して、最新の情勢把握や新技術、経営改善、課題解決に役立てる目的で毎年実施しているもの。
今年度はまずつくば市の農研機構筑波産学連携支援センターにバスで移動し、同機構の研究者から最先端の研究の説明を受けた。冒頭、あいさつした日本施設園芸協会常務理事兼事務局長の藤村博志氏は、今回の国内研修はつくばの最先端の研究施設と、産学官で新しい農業やイノベーションを実現している多彩な施設を見る内容になっており、募集後1週間で埋まってしまった非常に関心が高い企画だと説明。研究者や講師の話をしっかり聞き、現場を見てもらって、ぜひ良い研修にしてもらいたいと述べた。続いて、農研機構野菜花き研究部門の東出忠桐所長が挨拶し、高市首相の施政方針でも植物工場分野を強化するとされていることから、今非常に重要な分野として注目を浴びていると指摘。本日は農研機構や民間企業の最新の研究や取り組みを紹介するが、ぜひ現場目線から積極的に質問してほしいと述べた。研究者もスピード感を持って取り組まないと、今後さらに温暖化が顕著に進んだ環境に対応する施設経営をしていくには立ち行かないと語り、今回の研修会が少しでも皆さんの役に立てれば幸いだと期待を示した。
その後、農研機構の最新研究について、研究者による説明が行われた。野菜花き研究部門の取り組みについては同部門(植物工場)施設生産システム研究領域施設野菜花き生産管理システムグループ長・小田篤氏、農業機械研究部門については同部門知能化農機研究領域施設園芸生産システムグループ長・深津時広氏、農業ロボティクス研究センターについては同センター施設ロボティクスユニット長・太田智彦氏がそれぞれ解説。
小田氏は同機構が開発したトマト・イチゴにおける生育収量予測ツールについて、実証結果を紹介。トマトでは単収10アール当たり55トン・糖度5を達成し(平均単収15トン程度)、日本品質の美味しさを維持して多収を実現した。さらにイチゴについてはクリスマス前のピーク価格に合わせて収穫するべく、ツールでシミュレーションしながら環境制御に取り組み、5日間収穫を前倒したなどと語った。
また、深津氏は、温室内のレールを移動するロボットでトマト・パプリカの撮影を行い、画像解析して果実の場所や色味をマッピングする着果モニタリングシステムの技術を紹介。これにより収量予測もでき、トマト栽培の労務最適化に役立てられるとした。また、下葉を自動で刈ることができる下葉処理ロボットについても紹介。主茎の曲がり具合に沿って、力を調節しながら下葉のみを生垣バリカン刃で自動的に刈り取れるもので、作業の高速化が期待できるなどとした。
太田氏はイチゴのJIT(ジャストインタイム)生産に向けて開発した、イチゴの収穫日を高精度に予測し制御する技術を紹介。ロボティクスの考え方に基づく3つの要素技術(生育センシング、収穫日予測モデル、収穫日制御技術)を組み合わせることで、収穫時期の調整を実現でき、イチゴの収穫ピークをクリスマス需要の高まる目標日に対し誤差±1日で制御できることを確認したなどと説明した。
その後、実際にNARO植物工場つくば実証拠点を見学。下葉処理ロボットの実演をはじめ着果モニタリングシステムやLED補光を用いたイチゴ栽培などスマート農業技術を活用した先端温室の取り組みを視察した。
次いで常総市のAGRIST(株)常総農場を視察。同農場は農林水産省の中小企業イノベーション創出推進事業(SBIR)の枠組みのもと、「アグリサイエンスバレー常総」に建設した大規模実証農場で、フルーツパプリカ、キュウリ約1ヘクタールを栽培。ここでは新型の自動収穫ロボットの実演や、環境制御や収量予測、収穫ロボットなどのシステムを組み合わせて収益最大化を目指す農場の取り組みなどを見学した。
最後に同じく「アグリサイエンスバレー常総」にあるグランベリー大地を視察し、(有)グランベリー大地広報部・吉原陸氏による説明を聞いた。ここはリフト式栽培では国内最大規模の「空中いちご園」を展開しており、ハウス内でしゃがまずにイチゴを収穫できる。広大な温室にて「かおり野」「やよいひめ」など11品種・19万本のイチゴを栽培。敷地内には観光農園だけでなく、直売所やカフェ、加工場も備えており、6次産業化を積極展開している同施設には、年間約10万人が訪れるなどと紹介された。









