収益改善見込めず/三菱マヒンドラ

三菱マヒンドラ農機(株)(齋藤徹社長)は2日、オンラインで記者会見を開き、同日付の取締役会で決定した「農業用機械事業から撤退する」方針について説明した。また、記者会見に先立ち、業界専門紙向けにレクチャーを行い今回の決定について説明した。ここでは齋藤社長が、事業撤退の背景、撤退事業と継続事業、今後の予定などについて説明し、「今回はいわゆる『通常清算』であり、破産や倒産とは違う」と強調するとともに、「清算に当たり同社の両株主(三菱重工業(株)とインドのマヒンドラ&マヒンドラ社)から十分な資金支援を得ている」ことなどを明らかにした。会見には、齋藤社長、吉田勉COO常務執行役員、平崎了社長室長が出席した。
会見での主なやり取り、要旨は次の通り。
齋藤 今回の当社の事業方針に関わる重大な決定について、内容説明をさせていただきます。
本日(3月2日)午前中に、当社の取締役会を開きまして、正式に農業用機械事業から撤退することを決定いたしました。補修部品の供給事業と製品保証事業は今後も継続いたしますが、私どもの主力としておりました農機の生産及び販売につきましては、今年度上期、具体的には9月末をもちまして終了する予定です。
思い返すと、当社は、この島根に大正3年に佐藤商会という形で創業以来、112年にわたり農機一筋で事業をやってきました。多くのお客様に「丈夫で長持ち、頼もしい機械」と評価いただいていることは、会社と社員の誇りとなっておりました。
一方、この間にも経営環境が大きく移り変わっており、数度にわたるかなり大胆な構造改革をすることで、事業の継続を図ってきたことも事実です。特に近年の業界を取り巻く市場環境および需要構造の変化というのは非常に大きく、当社の生産体制をはじめいろいろな諸条件を総合的に勘案し、長期間にわたって事業としての収益性と将来の持続可能性を慎重に見極めた結果、農機事業が今後も安定的に継続していくことは困難であるという結論に至った次第です。関係者の皆様のご期待にお応えすることができなくなったことにつきましては、誠に残念な思いでございます。
今後は、三菱農機を愛用いただいているお客様がたくさんいらっしゃるので、補修用部品の供給をさせていただきます。併せて製品保証がありますので、こちらの対応を継続するとともに、販売や整備で協力をいただいている、お取引先様、販売店様、JA様にできるだけご迷惑をおかけしないように、丁寧に対応していきたいと思っております。
そして何よりも、一緒に汗を流してくれた社員の多くは会社を離れることになってしまい、大変辛い思いですけれども、こちらにつきましては会社として責任を持って、きちんと再就職支援のプログラムを提供します。誠意を持って取り組んでいきたいと思っておりますので、引き続きご理解、ご協力をお願い申し上げます。
当社にとって非常に重い決定について発表させていただいておりますが、改めまして100年を超える長きにわたって当社をご支援いただき、本当にありがとうございました。心より御礼を申し上げたいと思います。
〈質疑応答〉
質問(1)他のトラクタメーカー含めての受け皿になってもらえるような会社はなかったのか。開発部門のマヒンドラ&マヒンドラ社からの引き取りは。
齋藤 農機事業を撤退するまでかなり時間をかけて、会社の存続ができないかといろいろなことを考えてきました。結論としてはやはり難しいと。農機業界の国内市場は、長期的には縮小トレンドです。当社を引き受けてくれるところは、やはりなかったということです。
結果的に、今後の長期の見通しを踏まえると、一時良くても持続的・安定的に事業を続けていくのは難しいという判断に至った次第です。
質問(2)グループ会社のリョーノーファクトリーについては。
齋藤 これは工場になりますから、4月に今期含めた製品の生産を終了します。その後、補修部品、特に内製部品については供給期間などありますので、必要かつ十分な補修部品を造りだめする。これは9月までです。
また、菱農エンジニアリングについては農機とは少し切り離して考えることができますので、まだ決まっていません。
質問(3)三菱農機販売は。
齋藤 9月末をもって営業活動を終え、10月以降に清算に入っていくことになります。三菱農機販売は、営業マン含めて今500人ほどおりますけれども、9月末に向けて順次閉店し、人を減らして、組織を縮小していきます。
質問(4)貴社の販売店への事業撤退の説明は。
齋藤 販売店さんは何百社もありますので、レターを送るということではなく、3月中旬に全国6ブロックでそれぞれ集まっていただいて、フェイス・トゥ・フェイスで、国内営業本部長の吉田康二のチームが説明します。
質問(5)海外市場は。
齋藤 今回の市場撤退に合わせて、海外からも撤退、輸出事業も終了します。当社の製品の技術、ライセンスを供与しまして、現地化をしている製品もあります。直近では、私どもの小型トラクタの技術をマヒンドラ社にライセンス供与しました。その技術的な情報に基づいて、彼ら独自にOJAというシリーズの小型トラクタを開発生産して、国内・海外市場に今展開を始めているところです。
質問(6)現時点の従業員の数は。
齋藤 現在退職していただく対象は970名です。これは島根にいる社員だけではなく全国の三菱農機販売も含めた数です。この970名の中から残る会社に移るメンバーは約50人です。
10月から清算プロセスに入りますので、清算手続きにあたり残っていただく人がいますが、最終的にはこの残る人を引いた数が退職していくことになります。
質問(7)今回の決断に対する親会社の三菱重工業(株)側の意見は。
齋藤 重工については、私どもの方から業績や今後の経営環境、市場の見通しを示し、先ほど申し上げたような理由で継続は非常に難しい、無理があるということで「やむを得ない」とご理解をいただいています。
会社を分かつにあたり、1点大事なことを付け加えたいと思います。今回の撤退は、会社として自主的に解散して清算する「通常清算」です。これは誤解なきようにいただきたい。いわゆる破産や倒産、会社更生法に申請するということではございません。
「通常清算」は、様々なステークホルダー間との契約で、債権債務をすべて清算させていただいた上でクリーンに会社を閉じていくプロセスです。とにかくご迷惑をかけないよう整理していきます。
相当なコストがかかりますが、こちらについては、両株主から十分な資金支援をいただいてやっていくことですから、破産などではございませんので、その部分はご安心ください。









