オープンAPIで記録作成やマップ表示など自動化/ウォーターセル、井関農機、農研機構が開発

ウォーターセル(株)(渡辺拓也社長・新潟県新潟市中央区笹口2の13の11 笹口I・Hビル)と井関農機(株)(冨安司郎社長)、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は2日、農林水産省「令和7年度農林水産データ管理・活用基盤強化事業」の成果として、営農支援アプリ「アグリノート」に農機OpenAPIを活用した「記録作成の自動化機能」および「マップ表示機能」、「一覧表示機能」を新たに公開した。この機能により、農機から得られる稼働データや収穫量データをアグリノート上で視覚的かつ定量的に分析することが可能となり、特に管理圃場数の多い大規模生産者の経営改善・次期作付計画の立案を強力に支援する。
近年、農業経営の大規模化に伴い、分散する多数の圃場をいかに効率的に管理し、収益性を高めるかが課題となっている。アグリノートは日々の作業記録の蓄積と振り返りに活用できるもの。大規模経営においては「どの圃場で、どれくらいのコスト(時間・燃料)がかかり、どれだけの成果(収穫量)があったか」を把握し、次年度の戦略に活かすことが求められている。今回追加された新機能はこうした現場の課題に応え、蓄積されたデータを「経営判断の材料」へと昇華させる。
既にアグリノートとISEKIアグリサポートはデータ連携機能を独自に行っているが、このほど、農機OpenAPIを活用した連携機能を新たに追加した。井関農機の対応農機から取得した「位置情報」および「稼働時間」をアグリノートへ自動連携する。さらに、アグリノート上で農機API連携などを使って登録された「収穫量」などの実績データと統合することで、効果的なデータ活用を実現する。
機能の内容として、(1)記録作成の自動化機能=農機から取得したデータ(いつ・どこで・どのくらい稼働したか)をもとに、日々の農作業記録の「下書き」を自動で作成。生産者は内容を確認・保存するだけで記録が完了するため、繁忙期における記録作成の時間と手間を大幅に削減できる(2)マップ表示機能=アグリノート上に登録された「農機稼働時間」および「収穫量」等のデータを航空写真マップ上で圃場ごとに色分け表示。圃場ごとの作業効率や収量のバラつきを地図上で直感的に把握できる。「稼働時間の割に収量が低い圃場」などの特定により、作業プロセスや栽培計画の見直しに役立つ(3)一覧表示機能=全圃場のデータをリスト化し、農機稼働時間や反収(単位面積当たりの収穫量)を集計・比較。機械の稼働時間と収穫実績を評価することで、圃場ごとの生産性を可視化する。特に管理圃場が多い組織において、客観的なデータに基づいた効果的な作付計画および作業実施計画の立案が可能となり、経営改善に寄与する。
農機OpenAPIは、農研機構が策定を主導してきた、農機業界で共通に利用できる標準仕様のインターフェース。メーカーの垣根を越えて、農機データと営農支援システムを安全かつ効率的に連携させる仕組みであり、今回の新機能においても、井関農機の農機データをスムーズにアグリノートへ連携させる基盤として活用されている。農機OpenAPIの普及を通してデータの相互運用性を高めることで、スマート農業の社会実装を加速させる。
各社の役割として、ウォーターセルは営農支援アプリ「アグリノート」の開発・運営を行う。同事業ではアグリノートの新機能開発を担当し、農機OpenAPIに対応したデータ連携機能を開発。井関農機はスマート農機の開発を通じて、農作業の効率化を推進。同事業では、同社農機から稼働データや収穫量を取得し、農機OpenAPIを介してアグリノートに提供する仕組みも今回実装した。これにより農機情報の更なる有効活用を進め、農作業の最適化を支援する。
農研機構は、日本最大の農業・食品分野の研究機関として、農機API標準仕様(農機OpenAPI)の策定を主導してきた。農林水産省「令和7年度農林水産データ管理活用基盤強化事業」では事務局としての取りまとめを担い、農機メーカーやソフトウェア事業者と連携しながら事業成果の横展開を進めている。
ウォーターセル、井関農機、農研機構は、今後もデータの自動連携と高度な分析機能の提供を通じて、農業現場におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していく。これにより、データに基づく科学的な農業経営をサポートし、持続可能で収益性の高い農業の実現に貢献していく。









