日本農業賞受賞者の取り組み:合同会社さかもとの有機生産/土づくり・堆肥特集

既報の通り、JA全中ならびに日本放送協会(NHK)はこのほど、第55回日本農業賞の受賞者、団体を発表した。
同表彰は日本農業の確立を目指して意欲的に経営や技術の改善に取り組み、地域社会の発展にも貢献している農業者と営農集団、食や農の担い手として先進的な取り組みをしている個人・集団組織を表彰しているもの。今回は個別経営の部94件、集団組織の部92件の応募の中から大賞6件、特別賞2件、優秀賞6件を選出。また、特別部門食の未来賞にて大賞・特別賞を1件ずつ選出した。その中から、土づくりに尽力している取り組みとして、個別経営の部で大賞を受賞した合同会社さかもと代表社員・坂元修一郎氏の取り組みをみる。
鹿児島県志布志市で茶を栽培している合同会社さかもと。代表の坂元氏は、創業百年の坂元園製茶の3代目であり、母親を癌で亡くしたことをきっかけに健康への関心が高まり、有機栽培に本格的に乗り出した。坂元氏は土づくりにこだわり、有機栽培に適した肥料がなかった40年以上前から、地域で破棄される畜産飼料などを原料とする「ぼかし肥料」を研究・製造してきた。
「ぼかし肥料」を活用して生産している茶は、主に「有機玉露」という珍しい種類の茶である。有機栽培茶生産量の内訳は玉露が7割、碾茶(抹茶)が3割で、生産・販売まで一貫して自社で行う有機茶であること、また、一番茶のみ収穫販売して、以後の成長枝は刈り捨て圃場に還元するという品質へのこだわりを持っている。
国内のお茶需要がペットボトル茶に移行しリーフ茶の価格が低迷したことを受け、海外輸出に舵を切った坂元氏は、平成27(2015)年には法人化。丹念に市場調査を行い、海外には日本にない高級茶のマーケットがあることを確認。、海外バイヤーが求めるストーリー性に応え、高品質・高単価を実現し、代表自らがサンプルを持ってEU・アメリカ等に乗り込み各地で無料配布するなどPRにも力を入れた。そうした地道な努力の結果、順調に販路は拡大。輸出額も年々増加しており、長年の努力の結果、その9割をEU・アメリカ等へ輸出している。
茶の有機栽培の過程で土づくりのために開発した「ぼかし肥料」も評判を呼び販売するまでになっており、循環的農業の展開と経営の安定を実現させた。技術面でも、凍霜害を防止するための独創的な技術(散水氷結法)を採用、地域に普及。
こうした取り組みについて、「自社開発のぼかし肥料を用い、有機生産に早期から取り組んできた点は、日本茶業経営の先駆的な事例である。また、輸出を見据え、茶葉の生産から加工に至るまで明確な戦略が立てられている。高品質でストーリー性を伴う高級ブランド茶としての輸出の成功は、国内における茶の需要が減少する中で、持続可能な茶業を実現していくためのモデルケースとして、高い普及性・発展性が見出される」などと高く評価された。









