MENU
令和8年3月2日発行 第3589号 掲載

全国農業システム化研究会から:可変施肥技術を実証/土づくり・堆肥特集

 圃場における土壌の状態を見極め、最適な施肥を行い、作物の生育に適した土づくりを行うことは、収量・収益性向上に欠かせない技術となっている。
 このほど行われた令和7年度全国農業システム化研究会最終成績検討会では、「水稲作の側条および全層施肥における可変施肥技術の実証」について、福岡県経営支援課専門技術員の坪根正雄氏、久留米普及指導センター地域振興課水田農業係の北淳二氏が発表した。ザルビオの地力マップに基づいた基肥可変施肥を検証したもので、基肥可変施肥により生育量の均一化が図られ、慣行区と比べ、収量の向上、施肥量の減少により、収益性向上につながった。
概要をみると、実証農家は(株)みずほファーム(福岡県うきは市)。経営面積は水稲42ヘクタール、大豆25ヘクタール、麦85ヘクタール。スマート農業機械を活用し、作業効率の向上を図っている。
 調査の背景として、常時雇用を導入している大規模経営体では、経営の安定が不可欠である。そのため、米麦生産における収量・品質の高位安定化や、計画的な適期作業を行うための栽培技術の確立が求められている。併せて、肥料高騰の情勢下での施肥の効率化が課題となっている。
 実証調査の目標は、(1)地力マップを活用した可変施肥を実施し、施肥の効率化のほか、生育・収量の均一化による収益性や作業性を検証する(2)ザルビオフィールドマネージャー(以下、ザルビオ)による生育マップとドローンセンシングによる生育診断及びKSAS衛星センシングの比較検証を行い、衛星画像データを活用した生育診断の実用性について検討する。
 実証の概要は、地力むらのある圃場で高精度な可変施肥が可能と予想されるワイドスプレッダ、ロボット田植機を活用し、実証する。試験品種はヒノヒカリ。使用機械は、ワイドスプレッダ、ロボット田植機、ブロードキャスタであった。
 [結果の概要および考察]
 1 ザルビオの地力マップに基づいてワイドスプレッダ、ロボット田植機を用いて基肥可変施肥を実施し、施肥精度は93・3~96・3%と高かった。
 2 各区内の地力に応じた「地力高」、「地力中」、「地力低」の地点別に、それぞれ生育、収量等を調査した。穂数は実証区1でばらつきが少なかったものの、慣行区より少なかった。コンバイン収量は、慣行区と比べ、実証区1は3・8%高く、実証区2は同程度となった。しかし、品質面で可変施肥効果は判然としなかった。
 3 ザルビオの植生マップ推移を観察すると、圃場内の地力の低い地点が地力の高い地点と同等になっている。実証区1は9月30日時点の植生指数や単位面積当たりの穂数のばらつきが少ないことから、高精度な可変施肥により生育量の均一化が図られたと推察される。
 4 慣行区と比べて、実証区1は、労働時間が0・11時間(1・4%)増加し、生産経費(減価償却費)は3444円増加し、原材料費は318円減少し、収量は3・8%高く、所得は2275円(3・2%)増加した。実証区2は、労働時間が0・25時間(3・2%)増加し、生産経費(減価償却費)は、558円増加したが、原材料費は、1303円減少し、収量は15%高く、所得は2576円(3・6%)増加した。可変施肥に必要な機械導入に伴い、減価償却が増加したものの、生育量の均一化が図られ、倒伏が発生しなかったことから、作業性、収益性が改善されたと考える。
 [今後の課題・展望]
 登熟期における高温や品種特性などを踏まえた品質向上対策と、可変施肥技術を組み合わせた技術の確立に向けて検討する必要がある。

カテゴリー別最新ニュース