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令和8年3月2日発行 第3589号 掲載

滋賀各社の対応:進む大規模化に対応/滋賀・京都特集

 (株)北陸近畿クボタ(久保力社長)は、2025年の県内の農業機械市場について、「農家の投資意欲の高まりを背景に、総じて好調な事業環境が続いた」と振り返った。
その一方、「メーカー各社の生産・供給が需要に追いつかない状況が常態化し、販売現場では歯がゆさも残った」と滋賀営業部の黒丸弘幸部長は語った。
 滋賀第二ブロック担当の山本由朗部長は、「米価の回復を受けてこれまで我慢していた投資が一気に動いた。特に担い手層や大規模経営体を中心に更新需要が顕在化し、農地の集積も一段と進んだ。大規模がもう一回り大きくなった印象。そのため農機の大型化・高性能化へのニーズが強まった年だった」と語った。上野文也特別顧問は、「市場を冷静に見ると、実際に大きく利益を出されている農家さんは一部であり、最低でも20ヘクタールを営農していないと難しいというのが現状だと思う。大規模化は必然の流れであり、弊社もこの流れにしっかり対応したい」と力を込めた。
 2025年1~12月の
販売状況をみると、トラクタは前年同時期を明確に上回った。60馬力以上の中大型機が活発な荷動きをみせながら、小さいクラスも動いた。なかでも「SL600H」や「MR1000H」に人気が集まった。
 田植機は8条植えの「NW80S―PF―GS」が売上げを牽引した。滋賀営業部は県内の5営業所にRTK基地局を設置したことで、自動操舵によるスマート農業の可能性を一段と広げ、大規模担い手層の顕在ニーズに的確に応じたことが奏功した。
 コンバインは5、6条刈の販売伸びは当然ながら、4条刈の「DR472―QW―C」の荷動きが目立ち、担い手層の購買力がそのまま数字に表れたようだ。トラ・コン・田ともに前年同時期を上回る結果となった。
 今年度の販売見通しについては、これまで米価の高止まりが農家の投資意欲を後押しする側面もあった。しかし、米価が落ち込むと買い控えとなる可能性もありそうだ。
 ヤンマーアグリジャパン(株)中部近畿支社(菱谷竜一支社長)は、滋賀県下の2025年の事業環境について、「大きく見れば悪い年ではなかった」と振り返った。最大の要因は米価の上昇だ。2024年に続き米の概算金が高水準で推移し、一部農家の手元資金に余裕が生まれた。これが農機投資や設備更新につながった。
 この状況下で特に動きが顕著だったのが乾燥調製施設関連だ。米価上昇を背景に作付け拡大を見据える農家が増え、乾燥機の増設や能力拡大、関連作業機の更新が相次いだ。メーカーによっては「今期は受注見送り」という機種も出るほどで、供給が追いつかない状況もみられる。
 2025年4~12月におけるトラ・コン・田の販売状況は、前年同時期に比べて大型機へのシフトが鮮明となり、3機種ともに微増となった(台数ベース)。トラクタは60馬力を軸に、田植機は6条植え以上、コンバインは4条刈以上が主流となっている。これは農地の集積がここ3年で一気に進んだという背景もあるようだ。
 滋賀県では水不足が一時懸念されたものの、結果的には収量・品質ともに例年並みか、それ以上となり、麦や大豆もおおむね順調だった。また、補助事業を活用した機械導入も進み、「想像以上に農家が潤った1年だった」と近畿営業部の宮本敏一部長は総括した。
 水田率が約93%という滋賀県だが、乾田直播の動きはどうなのか。宮本部長は、「滋賀では動きは限定的だ。琵琶湖を抱え水資源に比較的恵まれていることから、導入の必然性が低い。実証的に取り組む農家はあるものの、従来の移植栽培の確実性を重視する声が強い」と現場感覚を明かした。
 一方、農機価格の上昇が続くなか、宮本部長が強調するのはアフターサービスだ。「農機の故障時に迅速かつ的確に対応すること。農家の世代交代が進むなか、メーカーへのこだわりも薄れつつあり、選ばれ続ける理由をどう示すか。アフターサービスの充実もその1つだ」と話した。
 今期の見通しについて宮本部長は、「米価がこのまま維持されるとは思っていない」と慎重だが、「大幅な落ち込みがなく、米価が落ち着けば、今年も農機の動きに期待できる」と意欲をみせた。
 (株)ISEKI Japan 関西中部カンパニー(南孝明社長)の滋賀営業部は、県内の農機市場について、2025年は「米価」が最大のキーワードだった。養覚敏哉部長は、「米価の上昇とメーカー値上げ前の駆け込みが重なり、想定以上に受注が伸びた1年だった」と振り返った。
 県内における主要3機種の販売状況は、トラクタが前年並みで推移した一方、田植機とコンバインは大きく伸長した。特に田植機は倍以上の伸びをみせ、大規模農家を中心に更新需要が顕在化した。これは作業効率と仕上がりの良さが高く評価された「さなえPRJ8(8条植え)」が大規模農家同士の口コミで広がったという背景もあった。養覚部長は、「大規模農家間の情報共有は想像以上に早い。バランスが良い機械という評価をいただいている」と話した。一方、好調さの裏で深刻なのが供給制約だ。他メーカー同様、主要3機種の生産が追いつかず、これは受注が殺到しているという背景もある。トラクタは60~98馬力、田植機は8条植え、コンバインは4、6条刈といったクラスがボリュームゾーンである。
 今期の見通しは「米の値段次第」とのことだが、「米価については不透明なところもあり、農家様の判断は慎重になるかもしれない。販売面では新製品のJapanシリーズトラクタ『BJ(65~105馬力)』、コンバイン『HJ6135・7135』および『アイガモロボ2』、『CHCNAV』、そしてドローンに対しても拡販に注力したい」と力を込めた。
 イベントは、「アグリジャパンフェスタin滋賀」、「大型トラクタ・作業機実演会」を2月14日に野洲市で実施。また、3月13~14日は「春の大展示会」を竜王センターで開催となる。県内では乾田直播を実施する農家はまだ少ないが、興味をもつ農家が年々増えている状況のようだ。今後に向けて養覚部長は、「米価に振り回されすぎず、地域に合った営農と機械提案をしっかり続けたい」と話した。
 滋賀三菱農機販売(株)(福永昌由社長)は、2025年の滋賀県の農機市場について、米価の高止まりという状況のなか、肥料や資材の高騰が尾を引き、農家の購買姿勢は依然として慎重だったとしつつ、それでも2025年1~12月の販売状況はトラ、コン、田ともに大きく伸ばした(台数ベース)。
 毎年10月中旬に同社が開催する「滋賀ダイヤモンドフェア」のタイミングもよく、昨年もこの時とばかり農機を物色する農家で会場は熱気に包まれた。福永社長は、「昨年11月にモノがないという状況が深刻化したが、同フェアで受注をとれたのが良かった」と安堵する。3月には各拠点にて刈払機や動力噴霧機の点検会を実施する。
 トラ・コン・田以外ではディスクハロー「KUSANAGI Plus(MDH2022)」が全国での地道な実演が実を結び、滋賀県内でも堅調な売れ行きをみせる。同機は60~105馬力のトラクタに対応する。同社の営業管内では50~70馬力帯のトラクタが主流なため、トラクタの実演会の目玉製品としても好評を博している。同機は三菱マヒンドラ農機のHPにて実演依頼を受け付けている。
 農機の販売について福永社長は、「ひと昔前は農機が壊れる前に入れ替えるだった。しかし、現在は直しながら使う傾向が強い。大方の農家は農機の延命に神経を使っていると思う。農機販売もさることながら、点検・整備をいかに充実させるかに腐心している」と話す。一方、点検・整備の依頼は増え続けているため、もっと人手がほしいという。
 「農繁期の突発故障にどう動くか。部品をどれだけ迅速に届けられるか。農繁期の作業停止はそのまま収入減に直結する。だからこそ人員配置と技術研修に力を入れ、若手整備士の育成にも投資せねばならない」と福永社長は力を込める。
 機械価格が上がる時代だからこそ、最後に物をいうのは人の技術と対応力だ。同社は徹底した点検・整備という足元の積み重ねで地元農家の信頼を得ている。

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