持続可能なフードバリューチェーン構築/農研機構、JALグループ連携から

既報の通り、農研機構(久間和生理事長)及び日本航空(株)(鳥取三津子代表取締役社長・グループCEO)を中心とするJALグループは2月16日、日本の農・食産業のさらなる発展と環境保全への貢献を目指し、包括連携協定を締結した。農研機構が有する育種・生産・流通技術とJALグループの多様なソリューションビジネスやグローバルな輸送サービスを組み合わせることで、世界における「日本の食」の信頼性をさらに高め、日本の農・食の輸出拡大と国際ブランド化を推進する。ここでは、都内のJAL Innovatiion Labにて行われた締結式から、締結の詳細を紹介する。
協定内容についてはJAL Agriport(株)代表取締役社長・花桝健一氏が説明した。花桝氏によると、連携のスローガンは「空と大地から成し遂げる持続可能なフードバリューチェーンの構築と地方経済活性化」。社会的意義として▽信頼の日本食を世界ブランド▽農業の成長産業化と地方経済活性化への貢献▽持続可能な社会を目指し環境負荷の低減―を掲げ、それぞれの強みを活かした役割分担を行うことで、日本の農産物やそれに付随する農業への貢献を目指す。
具体的な協業の第1弾として、(1)JAL FARMにおけるイチゴの品種栽培、収穫(2)農産品の輸送における品質維持管理の共同研究(3)成田市場におけるワンストップ物流強化の深化(4)栽培データ連携に農園運用の最適化―の4点を柱とした。
詳細をみると、(1)では千葉県成田市にあるJAL FARMで、農研機構が開発した恋みのり、よつぼし、おいCベリー、夏のしずくを既に共同栽培しているほか、今期からほしうららも共同栽培を予定。5品種の中で収量や品質に課題がある品種を中心に、農研機構の栽培技術を導入する。同ファームの5アールの周年栽培ハウスで1000~2000株規模を栽培し、2025年産で技術課題を整理した上で、2026年夏頃までに本格的な実証に着手し、同年度内の収穫を目指す。また、同ファームで開発されたイチゴはJALが運営する空港ラウンジやJAL機内食での提供を目指す。さらに、一般販売も検討する。
(2)では高品質な航空ハンドリング技術と、農研機構の損傷防止研究、品質・鮮度保持技術の組み合わせを行う。JALの貨物部門における農産物輸出は前年比10%以上の成長を見せており、この成長をさらに加速させるため、農研機構の損傷防止技術を活用。産地から海外空港までの振動データを可視化し、接触を軽減するパッケージの提案など科学的なエビデンスに基づいたロス率の削減策を講じる。2026年春から輸出需要の高い品目を中心に順次実証実験の検討を進めていく。
(3)では、成田空港に隣接する成田市場において、(株)JALカーゴサービスが実施している検疫検査に農研機構発のベンチャー企業である農研植物病院が加わる。PCR検査をはじめ病害虫の専門職員による多様な手段を出張検査で投入することで、迅速かつ高精度な植物検疫を実現し、検査待機時間と確かな品質保証を両立させる。
(4)は、農研機構の農業データ連携基盤WAGRIと、JALデジタル(株)が開発しているJALのAI及びプラットフォームを高度に融合させ、収穫時期や収穫量を高精度に予測するモデルを構築。これによりほしい時に旬の食材がある需給マッチングを実現し、JALグループが提供する機内食、ラウンジ、ECモール(JALモール)における顧客体験価値の最大化とフードロスに取り組む―などとした。
質疑応答で久間氏は「イチゴは突破口であり、将来的にはさらに品目を拡大したい」と述べ、現在JAL FARMでは農研機構発のサツマイモ「紅あずま」も栽培していることから、サツマイモの取り組みについても可能性を示唆した。









