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令和8年3月2日発行 第3589号 掲載

農業用プラスチックの排出抑制を加速/ABAがセミナー

 農業用生分解性資材普及会(久保田光昭会長・以下、ABA)は2月20日、都内で「農業用生分解性資材普及セミナー2026」を開催した。後援は農林水産省。会場とオンラインを併用し、行政、研究機関、業界団体、メーカー、流通関係者が参加した。テーマは、生分解性マルチを中心とした農業用生分解性資材の普及拡大。農林水産省による排出抑制施策の説明に始まり、分解性の科学的検証、2024年度出荷量調査の報告、認証制度の解説、用途拡大の具体例、会員各社の商品紹介と、政策、研究、認証、製品展開までを一体で示した構成となった。
 農業現場では資材価格の高止まりと人手不足が続く一方、環境負荷低減への社会的要請が強まっている。こうした中で、生分解性資材を環境配慮型資材に留めるのか、それとも作業軽減型資材として経営に組み込むのかが問われている。
 冒頭の挨拶でABAの久保田光昭会長は、「石油由来プラスチック排出抑制と農作業の省力化を同時に実現する素材として、生分解性マルチの普及を加速させたい」と述べた。また、「環境負荷の低減と持続可能な農業の両立が求められている。今日は導入を検討する方にも、既に普及に尽力されている方にも最新情報を持ち帰ってほしい」と呼びかけた。
 続いて7つの講演が行われた。内容は次の通り。
 (1)農業生産におけるプラスチック排出量抑制など農業用生分解性資材に係る施策(2)生分解性マルチの利用による作業負担軽減効果、いろいろな地域や土壌での分解の進み方(3)2024年度(2024年6月~2025年5月)の生分解性マルチの出荷量調査結果と解説(4)生分解性プラスチックの認証制度と識別表示(5)生分解性プラスチックの用途拡大の取り組み、土のう袋(6)農業用生分解性資材普及会会員の商品ラインナップ(7)生分解性マルチ専門ページの紹介。
 (1)では農林水産省農業環境対策課プラスチック削減対策班の小西雄貴氏が講演。小西氏は「農業分野におけるプラスチック排出抑制は重要課題」と述べ、「みどりの食料システム戦略のもと、排出抑制・回収・再利用を柱に施策を展開している」などと説明した。
 また、「排出抑制や生分解性マルチへの転換を地域ぐるみで進める取り組みを支援している」と述べ、協議会単位での転換推進を紹介。価格差という課題を踏まえつつ、「環境対策は農家負担だけに依存してはならない」との認識も示し、支援制度の活用を呼びかけた。
 (2)では農研機構農業環境研究部門革新的循環機能開発グループ上級研究員の植田浩一氏が講演。植田氏は生分解性マルチの分解試験結果を報告し、「土壌に混和した際の分解を焦点に評価している」とし、20~28度C条件での試験など具体的な基準を説明した。
 分解速度は地域や土壌条件に左右されるが、一定条件下では回収作業を省略できる可能性があると紹介。「回収・廃棄労力の軽減は、高齢化が進む産地にとって大きな意味を持つ」などと強調した。
 (3)ではABAの久保田会長が2024年度の生分解性マルチ出荷量を報告。久保田会長は、「数量は増加傾向にあるが急激な拡大ではない。それでも園芸産地を中心に導入が進んでいる」とし、「環境意識の高まりだけでなく、省力化効果への評価が広がっている」と分析した。
 (4)では一般社団法人日本バイオプラスチック協会の事務局長・山田秀夫氏が登壇し、生分解性プラスチックの認証制度を解説した。山田氏は、「土壌で分解するかが焦点」とし、用途別に規格が存在することを説明した。また、「海や川で分解するかと誤解されることがあるが、環境条件は異なる」と指摘。正しい理解の普及が不可欠だとした。続けて、「信頼できる表示制度がなければ市場は育たない」と語り、認証マークの重要性を強調した。
 (5)の講演をした神戸精化(株)の営業部部長・小川浩記氏は生分解性プラスチックを用いた土のう袋など新用途を紹介。「作期中は強度を保ち、終了後は分解するという相反条件をどう両立するかが技術の要」と説明した。
 また、「農業分野では省力化や作業軽減につながる製品が求められている」とし、今後の拡大可能性に期待を示した。
 (6)ではABA会員企業が自社のマルチや関連資材を紹介。在庫規格や受注生産体制、黒・半透明・白系などの色別特性も説明された。高温障害対策として白色系の需要が伸びている一方、雑草抑制効果とのバランスが課題であることも示された。会員各社の説明からは環境対応だけでなく、作物管理技術としての商品設計が進んでいることがうかがえた。
 (7)ではABA副会長の寺田道弘氏が生分解性マルチ専門ページを紹介。「正しい情報発信とデータ蓄積が普及の土台」だとし、関係団体と連携しながら成長を目指す姿勢を示した。

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