販売店ルポ:農家に寄り添う経営/有機企業GEKA(京都府亀岡市)

京都府亀岡市千代川町。国道から少し入った場所に有機企業GEKA(げか)の店舗がある。店舗は一見すると町に馴染んだ大きな一軒家に見えるが、敷地内にある「クボタ農業機械」の看板により、一瞬で農機店だとわかる。店舗の斜向かいには同社の整備工場が見える。同社を運営するのは外賀裕(げかゆたか・67)代表だ。
同社の創業は大正初期、外賀代表の祖父の代から始まる。祖父は外賀製作所という社名を掲げ、犂(すき)と土臼(どうす)を製造・販売した。地域の農家を周り、自作の土臼で籾すりの実演もしていたという。
外賀代表の父の代にはエンジン部門を立ち上げ、エンジンメーカーの代理店となり活動を続けるなか、福井近畿クボタ(現・北陸近畿クボタ)から「一緒にやりませんか」との声がけがあった。この縁から、今もクボタの農機を主に取り扱っている。
現在は外賀代表と事務員1名、整備士が1名、農繁期のアルバイト1名と4名の陣容で地域農業の隆盛に寄与している。取材中にも農家が頻繁に店舗を訪れ、外賀代表のスマホにも着信が続いた。
町の農機店としてのあり方や現在の動向などを聞いた。
有機企業GEKAは、クボタ製品を中心に農機具全般を取り扱い、中古農機の販売にも注力している。また、ハスクバーナ・ゼノア、丸山製作所、金子農機とは直接の取引があり、関連製品を円滑に農家へ届けている。販売はクボタが中心だが、点検・整備はメーカーを問わず受け入れている。
農機の販売のみならず、農家のお役に立つを心情に、米を中心とした流通面のサポートも行うことから、良質な米、元気、勇気を連想させる有機を社名に入れた。
今日の農機市場について外賀代表は、「今はもう農機が壊れると、更新せずに廃業する農家さんが多い印象です」と話す。廃業を考える農家にはできる範囲で農作業を受託するが、現在はその体制を整えている最中という。
一方、農家の負担を少しでも減らすべく、約5年前から顧客の倉庫を借りてミニライスセンターを設置。乾燥、籾すり、選別・調製といった作業を受託する業務を始めている。
また、同社の場合、選別・調製を1袋からできるのが特筆だ。「色彩選別機は店舗に設置しており、作業料は1袋当たり税込み500円いただくが、好評をいただいている」と外賀代表は手応えを語る。
同社の近隣では2024年頃から田んぼの区画整理が始まった。これを機に、各地域の農家が補助金を得ようと営農組合を組成する動きが活発化している。
外賀代表は、「これらの組合にも弊社を訴求したい。そのため農家資格を取り、このたび区画整理の所に田んぼを購入した。農機販売一辺倒では難しく、このような動きをしながら新しい営農組合にも顔を売っていきたい」と意気込みを見せる。
中古農機事業では、(株)キミヤが運営する「PDNS(情報ネットワークサービス)」を利用しながら情報を収集し、顧客から中古農機の要望がある場合はそこで得た情報を提供している。
外賀代表は、「30馬力前後の中古トラクタの要望が多い」と話す。ちなみに同社の営業管内ではトラクタは30馬力前後、田植機は5、6条植え、コンバインは3条刈(50馬力)といったクラスが主流である。トラ・コン・田以外では自走式草刈機の荷動きがとても多いという。「自走式草刈機は修理・整備がなかなか難しいですけど」と外賀代表は笑う。
同社の営業管内でも大規模農家、中・小規模農家が混在するなか、同社は中・小規模、特に小規模農家への対応が主だ。そのため「前述の自走式草刈機といった小さな農機の修理依頼がとても多い。この案件が多過ぎて追いつかない状況です」と苦笑する。
農機の点検・整備は同社の整備工場で行っている。取材当日に整備工場を拝見すると、自走式草刈機や田植機など整備待ちの農機がズラリと並び、農機に囲まれた若手の整備士が真剣な表情で機械と向き合っていた。外賀代表と工場をあとにすると、店舗横にあるコイン精米機の前で農家が米袋を持って外賀代表を待っており、2人は米袋の中を見ながら何やら話し始めた。
祖父の犂から始まった商いは、機械化、大型化、集積化の波を越えて続く。農業を取り巻く環境は厳しい。それでも、亀岡の田んぼのそばに、困った時に立ち寄れる農機店があること。その存在こそが地域農業の底支えになっている。









