各社の対応:実演重視でアピール/福島県特集

浪江町に本社を構える常磐菱農(株)の実績は好調だ。主要3機種は、トラクタとコンバインは伸び悩んでいるものの、田植機は前年超え。草刈機はトラクタ牽引式が人気で、夏場の草刈り作業の効率化を重視する人が多いようだ。今後、草刈り関連機器を重点機種に据え、販促を進めていく。
米価高騰が続いており、昨夏以降にさらに注文が増えたが、在庫がなくて納品できないこともあるのが現状だ。
高野一英社長は「100万円前後の機械は出ているが、それ以上の高額な機械への投資に対してはまだ様子見している人も多い。長期的に米価が上がる見通しがあれば、農家の人もさらに設備投資しやすくなるのでは」とみる。
昨年の展示会は3月と7月に開催。草刈機や作業機などを並べ、多くの来場者の興味を引き付けた。東日本大震災で甚大な被害を受けた浪江町。現在、同町で農業機械を取り扱う会社は常磐菱農だけとなり、展示会を毎年楽しみに来てくれる人の存在が心の支え。昔ながらのお客さんとの再会が、何より嬉しい瞬間なのだという。今年も3月と7月に浪江本社と相馬営業所で開催予定。
県外から浪江町に移住して、トルコギキョウやストックなどの花き栽培を始める人もおり、震災から15年経って、浜通り地域が新たなビジネスの場として再注目されている。
修理・メンテナンスも前年より需要が高い。サービス面での売上げアップは毎年の課題であり、セールスの目標利益を決めて、積極的に顧客に呼びかけているところだ。高野社長は「基本に立ち返って、整備の工賃アップを目指したい。他社に負けないくらいの価格提供で、お客様の心をつかんでいければ」と意気込む。
(株)南東北クボタの昨年の実績は、2012年の会社設立以来、最高の売上げを記録した。主要3機種の販売台数は横ばいだが、1台当たりの単価が上がっていることに加え、スーパー担い手が増えており、大型機種の動きが旺盛。買い増しする人も多い。トラクタは40PS以上が売れている。大型は100PSクラスに動きがあり、田植機は8条、コンバインは4~6条が主流になっている。
スマート農機は定番になってきたが、まだまだ導入へのハードルがある人も少なくない。GS機能付きの田植機、コンバイン、トラクタが出揃い、今後、さらに販促を強化していく方針だ。ドローンの販売台数が伸びており、カメムシ防除として活用するケースも。自動操舵などの普及も進めていく。
点検整備の比率を上げる目標を掲げている。大木勝治第二エリア長は「ひと昔前は点検整備は待つ仕事だった。ここ数年は、こちらから積極的に受注取りをして収益につなげようという方向でやっている。お客様に長く安心して機械を使ってもらい、クボタの機械をまた購入しようと思ってもらえるように」と語る。
昨年6月に郡山市のビッグパレットふくしまで「クボタBIGサマーフェア2025」を開催した。「RTKまみれ これからの農業は、センチメートル級」をテーマに、スマート農機を中心にアピールした。機械の品薄状態が続いており、今年は展示会ではなく商談会を開催する。3月12、13の両日にビッグパレットふくしまで開く。
「これまでは3カ月先行だったのを、6カ月以上先を見据えて受注していかないと間に合わない。秋物商品がすでに完売しているという話も聞く。商談会ではお客様との対話を重視し、来年以降の受注取りも視野に入れながら提案していく」と大木エリア長。
昨年11月には「未来を拓く農業者サミットin福島」を初開催。スマート農業技術を使った水田農業やスマート農業の役割などについての講演や、農業者ディスカッションを実施し、乾田直播に関する説明もあった。
ヤンマーアグリジャパン(株)南東北営業部の全体の実績は計画比、前年比ともにクリアした。米価高騰の影響で設備投資意欲が高まっており、主要3機種はそれぞれ順調に販売台数を伸ばしている。中浜ブロックの吉田昌孝エリアマネージャーは「ここ数年で一番の売上げ」と振り返る。
トラクタはこれまで57PSが主流だったが、昨年は72PS以上の大型が好調。農地の大規模化・集約化が進んでおり、サブ機としての購入、直播栽培に力を入れたい担い手農家などが高馬力の機械を買い求めている。
規模拡大やコスト削減の観点から乾田直播栽培に注目が集まっており、実演や試乗の要望が増加。各地での実演を強化し、展示会で関連機械を並べてアピールしている。
コンバインは4~6条、田植機は6~8条クラスが動いている。草刈り関連商品や米関連機器も人気。「先々の受注を取り、お客様の手を止めないことが戦略。お客様に対しての丁寧な状況説明も大切にしている」と吉田エリアマネージャー。
展示会は昨年6月に「2025 AGRI FAIR IN FUKUSHIMA」を大玉村で開催し、12月には実演を主体とする「トラクタ体感フェア」を郡山市で開催。スマート農機や密苗仕様の田植機などをPRし、来場者・売上げともに目標を超えた。
会津地方の全体の実績も好調。春先から米価が上がり、9月の米の概算金発表後、購買意欲が向上した。トラクタは72~100PSの出荷台数が大幅に伸長している。
11月に会津若松市で開いた「ヤンマーベストマッチ試乗会」では、若い来場者が目立った。ロボットトラクタのデモに注目が集まり、成約につながった。会津ブロックの島影守宏エリアマネージャーは「正直、会津の規模拡大は進みづらい印象だったが、ここ数年で急激に担い手農家の集約が進んでいる。耕作面積が増え、大型機種が主力になってきた」と話す。
昨年は記録的大雪に見舞われた。今年の雪は少ないが、前回の経験を踏まえて除雪機を事前に準備したい人が多く、通年で動きがあった。12月から喜多方市内のホームセンターに除雪機コーナーを試験的に設置した。実機やカタログを置いて一般消費者にアピール。農機販売店に行くハードルを取り払い、多くの人の目に届くようにと企画。成功事例が出れば他店舗への展開も考えている。
(株)ISEKI Japan東北カンパニー福島営業部の全体の実績は好調。トラクタは小型から大型まで幅広く売れており、80~90PSクラスにも動きがある。TJVシリーズやBFトラクタが人気だ。無段変速トランスミッションや乗り心地の良さ、見た目のカッコ良さが評価されており、順調に販売台数を伸ばしている。BF目的で来店する人も少なくない。
コンバインは4条が主流。HFRやFMコンバインなどが売れており、旋回性の良さが福島県内でも受け入れられている。田植機は7~8条がメーン。大規模化・集約化が進んでいることから大型機種が普及しているようだ。米価高騰による購買意欲の高まりで、小規模農家からの小型機種の受注も増えている。
草刈機はスパイダーモアー、ウイングモアーが堅調な伸び。昨年から代理店契約を結んだ中国・CHERVON社のEGO製品は実演を通じてPRしている。
RTK基地局が県内一円で運用されており、スマート農機は農業活性化のために欠かせない。アイガモロボ、ドローン、CHCNAVなどを今後の重点機種に据え、販促を進めていく方針だ。
福島営業部の佐々木伸治部長は「アイガモロボは有機農家以外にも普及させていきたい。CHCNAVは新規開拓にぴったりで、お手頃な値段なのでお客様に提案しやすい。実演と体感試乗の2本立てで、引き続きスマート農機をアピールしていく」と意気込む。
実演機をフル活用して各地での実演を強化している。昨年6月には郡山市内で体感試乗会を開催。BFトラクタやオフセットモア、CHCNAVなどを並べ、盛況だった。
直進アシストや自動操舵システムなど様々な製品が次々に登場し、初心者でも簡単に機械を扱えるようになってきた。「だからこそ実際に乗って体感してもらう機会を提供することが大切だ」と佐々木部長。
三菱農機販売(株)の福島県内での実績は、ここ数年で最高の成績。主要3機種や関連機器の販売台数を伸ばしている。トラクタは70~100PSが主流だが、米価高騰の影響で一般農家向けの30~40PSの動きも旺盛になってきた。中・小規模農家も設備投資に意欲をみせている。田植機は6~8条、コンバインは4~6条がメーンになっている。品薄状態が続いており、製品によっては年内の納品が間に合わず、来年以降の受注を取っているそうだ。
福島担当の成田浩之氏は「とにかく早めに受注を取っていかなければ間に合わない。今、提案できる機械を積極的にアピールしていくしかない。お客様に対しての丁寧な説明も欠かせない」と話す。
トラクタ牽引式の草刈機が年間を通して好調だ。昨年8月、60~105PSトラクタ向けの高速ディスクハロー「KUSANAGI Plus MDH2022」を発売した。従来機「KUSANAGI MDH1820」の設計をベースに、作業幅の拡大に合わせてディスクの枚数を増やし、前後のディスクピッチを150ミリ拡大するなどの変更を加えた。土の塊を適度な大きさに剪断し、空気、土、残渣を混ぜ合わせて分解することで、効率的な粗耕起作業が可能になった。発売後、福島県内でも相馬地域で早速注文が入ったのだとか。
新型、従来機ともに実演を強化しており、実際に動いている様子を見てもらうことで契約につなげている。
RTK基地局が県内一円で整備され、スマート農機の普及に力を入れる。既存の機械に自動操舵システムを取り付けたいという依頼が増えており、対応に追われているところだ。
紙マルチ田植機やペースト施肥田植機を引き続きPRしている。有機農家でなくても、除草作業が軽減できることに期待して導入するケースもあるそうだ。









