葉の光合成速度を推定する手法開発/農研機構

農研機構(久間和生理事長)は10日、葉の光合成速度を高速かつ高精度に推定する手法を開発した、と発表した。
片手で操作できる軽量・小型の市販のポロメーター・クロロフィル蛍光測定装置による計測と、光合成生化学モデルを組み合わせて、葉の光合成速度を高速かつ高精度に推定するもので、コムギ、ダイズ、野菜、果樹など12種の多様な作物で高い推定精度を達成しており、汎用性も高い。この手法を利用・応用することで、作物生産の基礎となる光合成速度のデータを大量に収集することが可能となり、収量ポテンシャルの高い品種の選抜や最適な栽培法の研究・開発を加速させ、将来の食料安定生産に貢献することが期待される。
同手法は市販のポロメーター・クロロフィル蛍光測定装置を活用する。これは葉を数秒間挟むだけで、光合成を左右する2つの重要な生理指標である「気孔コンダクタンス(葉の表面にある気孔の開き具合)」と「光化学系Ⅱの量子収率(葉緑体が吸収した光エネルギーをどれだけ効率よく化学エネルギーに変換しているかを示す)」を同時に測定できる。
これらの指標と、同装置で同時測定できる光の強さ、葉温、大気のCO2濃度を光合成生化学モデルに入力することで、光合成速度を計算する。同手法を生育条件の異なる12種のC3植物(コムギ、ダイズ、トマト、ナス、パプリカ、ホウレンソウ、モモ、ナシ、リンゴ、ミカン、レモン、ビワ)を用いて自然光下で検証したところ、従来の光合成速度測定法であるチャンバー法を基にした光合成測定装置で実測した値との間の誤差が小さかったことから、葉の光合成速度を精度良く推定でき、かつ汎用性も高いことを確認できたとしている。
同装置は従来の光合成測定装置の5~10分の1の軽さ(1キロ程度)で、片手で操作できるほどコンパクトなため、圃場での調査労力を大幅に軽減。また、測定時間も同様に数倍~数十倍の速さで測定が可能。
農研機構は現在、同手法とAIを組み合わせることで、光合成速度推定の精度と汎用性のさらなる向上を目指している。 また、同手法に必要な指標はリモートセンシングでも推定可能なため、今後はさらに短時間で広範囲の光合成速度を推定することも可能なほか、将来的に自動ロボットの高度化が進めば、装置をロボットに搭載して自動で光合成データ取得も可能になり、データ取得のさらなる効率化・省力化が期待できる。今後はリモートセンシングや自動ロボットの研究者とも連携し、さらなる利便性向上を目指すとしている。









