MENU
令和8年2月16日発行 第3587号 掲載

都市農業の営農サポート/井関農機・東京農業女子講座

 同講座は東京都が令和6年度より実施している事業で、女性農業者が積極的に農業経営に参画し、その能力を発揮できるよう後押しするため、講座や視察、フォーラムを実施しているもの。
 井関農機が講師を務めたのは第5回の地域講座で、4日には南多摩地域講座として、都内八王子市のとうきょう元気農場集出荷場にて、女性農業者ら10名を対象にトラクタ・耕うん機・刈払機の圃場実習を開催。6日には区部地域講座として、都内江戸川区の東京都農林総合研究センター江戸川分場において、女性農業者ら15名を対象に、午前に座学や紐の結び方体験、午後にトラクタ・耕うん機・刈払機の圃場実習を開催した。
 6日の区部地域講座には都内区部を中心に野菜作などを営む男女15名の農業者が参加した。区部地域講座は、ISEKI Japan 関東甲信越カンパニーならびにISEKIアグリ関東営業所の両者が主に運営を担当し、さなえ倶楽部メンバーがサポートした。
 開会にあたり挨拶した東京都区部農業改良普及センター城北分室・菅谷悦子氏は今回の農業機械を取り上げた講座について、昨年女性農業者にアンケートを取った際に「こんな内容でやってほしい」という要望があったと説明。また、普段巡回している中で、農業者の男性は外に出て、女性は家で作業することが多く、「お父さんがいないからトラクタ作業ができない」といった話があったことを踏まえ、男性に代わって女性も機械を扱って畑作業が効率的にできればと思い企画したことを述べた。ただ、未経験者がいきなり実習でトラクタに乗るのも難しいことから、今回は「機械の動く仕組みや効率的な使い方など、初歩の部分から講座を踏まえて教えてもらうようにお願いした」と述べ、初めて機械に触る人も、本講座を受ければできるようになるのではと期待を寄せた。
 次に事業プロデューサーの金子和夫氏(金子和夫事務所)が登壇し、挨拶した。金子氏は「東京の農家をみていると、後継ぎ問題で女性が後を継いでいる人や、ご主人はお勤めで農地を守っていきたいからと奥様が農業をやられたりなど、東京ならではの問題がある。そこで、女性にもぜひ活躍してほしいと思う。一昨日多摩地域で実施した同じ講座で、ある女性農業者が『本当は耕起をやりたいけど、やると旦那と私の仕事の仕切りがなくなって仕事が増えてしまうので、断ってきた』と言っていた。しかし、もしご主人が病気になったらどうするのか。そう考えるとやっておいた方がいいし、まさにそういったご家庭が多いのではないかと思う。また、今日皆さんが体験する最新のトラクタは、普段乗っている古いトラクタとは全然違うという声もあった。スマート農業を体感してもらって、『私にもできる』『私がやる』といった形で女性にもぜひ農業の主役になってもらいたい」などと語った。
 続いて、今回の参加農業者が1人ずつ自己紹介した後、講義を実施。井関担当者から「農機の基本構造や選び方」について説明があった。トラクタ及び作業機については、ISEKI Japan関東甲信越カンパニー神奈川営業部部長兼神奈川事務所所長兼神奈川推進グループ長兼神奈川特販グループ長の小田部琢也氏が紹介。小田部氏はトラクタ及び作業機の選び方について、馬力帯と作業目的による選定の仕方を紹介したほか、トラクタのメンテナンスについても解説した。
 また、耕うん機についてはISEKIアグリ営業本部関東営業所・黒倉和茂氏が、刈払機については同社営業本部関東営業所所長・小林寛司氏が説明。耕うん機と管理機とは何かというところから、その使い分け、それぞれの作業用途と種類、各種の特徴と選び方まで詳しく紹介した。刈払機については、草刈り作業中の事故発生が多くなっていることを踏まえ、刈払機作業の安全対策について紹介。作業に適した作業服や保護具を用いることを伝え、特に目を守るために保護メガネを必ず装着することを強く推奨した。また、エンジン式刈払機の燃料について、ガソリンは非常に腐りやすく30日しかもたないため、古い燃料を機内に入れっぱなしにしないことなども伝えた。
 座学を終えた後、屋外に移動し、耕うん機のトラック荷台への積み方と、トラックにロープで固定する南京縛りのやり方を講習。まずはヰセキ耕うん機KCR659のハンドルをしっかりと持ち、エンジンをかけてゆっくり慎重に軽トラの荷台に載せる作業を実施。荷台の中央に載せたらブレーキをかけギアも停止。その後、ISEKI Japan関東甲信越カンパニー神奈川営業部神奈川推進グループ・原由紀男氏が講師となり、農業者に説明しながら耕うん機と荷台の4カ所をロープで縛り、南京縛りの手本を見せた。農業者らは「やったことない」「難しい」などと口々に言いつつ、農機をロープで荷台に固定する体験を行い、初めての体験の人も多く、興味深く作業をしていた。
 午後は圃場に出て、実習が行われた。農業者は4~5人ずつの3つの班に分かれて、(1)小型トラクタ(2)耕うん機(3)刈払機の操作をそれぞれ実習形式で学んだ(詳細は別掲)。座学から実習まで充実した1日の講座を終え、都内区部で野菜を生産している30代の女性農業者に感想を聞いたところ、「体験できたことが一番良かった」と笑顔。「いろいろな機械を操作することができて良かった。以前受けた農業研修では機械に触れなかったので、今回は実習を通して学ぶことができ、学んだことを忘れないと思う」と満足した様子。同じく都内区部の40代女性農業者は「トラクタに乗ったことがなかったので、乗るのはハードルが高かったが、今回体験できたのがいいきっかけになった」と晴れ晴れとした表情をみせた。
 また、多くの農業者から聞かれたのは「最新の機械の性能がすごい」と感動した声。自動で作業機が上がる、旋回も簡単、キャビン内はエアコン完備で快適―など、BFトラクタの高性能を称える意見が多くみられた。刈払機も、EGOの電動機の静かさに皆感銘を受け、「住宅がすぐ近くなので騒音が気になり刈払機が使えなかった。これならうちでも使える」と東京ならではの農業事情を吐露した。

カテゴリー別最新ニュース