「小さく始める」を推奨/静岡県・スマ農入門セミナー開催

静岡県は10日、「小さく始めるスマート農業入門セミナー」をオンライン開催した。静岡県デジタル技術獲得講座の一環で、スマート農業の導入に向けた一歩を踏み出すことを目指し、小規模農業者やデジタル初心者でも参加しやすい内容とした。「データ駆動で始める『未来を先読みする』農業経営」と題して講演したのは、テラスマイル(株)の西村威人氏。同社は、データを活用して営農支援を行う「RightARM」の提供サービスを主要事業としている。
西村氏は「農業経営におけるデータ活用の価値は、農業経営の再現性を担保できることだ」とし、それによって▽現状評価▽課題の具現化▽進捗把握▽計画・試算―という4つの効果を得られ、結果的に、反収・売上げ・生産性・所得の向上につながるとした。
同社の「RightARM」は、農業を取り巻くデータを一元化して分析することで、データ駆動型の農業経営をサポートするクラウドサービス。データを活用して未来の動きを読めば、先手の対策を打てるようになる。この先読み農業の実践として、夜間の外気温と収穫量により冷え込みの影響を把握した事例や、市況データと日別収穫量により最適な出荷タイミングを割り出した事例などを提示。様々なデータを組み合わせ分析することで、傾向を予測し、生産性や収益性の向上につなげられる可能性を示した。
また、「データを経営に活用するためには、組織としての目標設定が重要」と述べ、目標設定を中核に、それに適した設備導入やデータ収集を進め、実績・要因の分析を基にした改善活動を実施するPDCAサイクルを回す流れを構築することが、やがては産地の成長にもつながっていくとした。
続いて京丸園(株)、サトウファーム(株)、(株)鈴生の3社が、自社のスマート農業への取り組みを紹介した。このうち静岡県三島市でトマトの養液栽培などを行うサトウファーム代表・佐藤光氏は、ハウスの統合制御の導入について説明。ポイントは、最初から高度な自動化を目指すのではなく、「まず測る」「毎日みる」から始めたことだったと振り返った。
最初に、(株)誠和のハウス内環境測定装置「プロファインダー」を使って現場の状況を把握し、環境データを見える化することから開始。しかし、見える化しても、どう対策すればよいのかわからない。そこで、植物生理・環境制御の基礎を学び、数値の読み方を栽培に落とし込むことで、データ的根拠をもって行動できるようにした。その際、あくまでも起点は植物観察であり、数字はその裏付けとして使うことが肝要であるとし、数字だけをみて判断すると失敗することを、自身の経験から伝えた。
また、植物の生育状態を数字で示し共通言語化することや、情報を統合して1画面(1枚化)で判断できるようにし、この「判断の型」が完成してから、それを統合制御の仕組みに置き換えられるよう、環境を整えていったと説明。「スマート農業は、導入ではなく活かし方が重要だ」とし、実践するためのポイントとして(1)困りごとを1つ決めて、関連するデータを測る(2)毎日確認する数字を絞り、データを1枚化する(3)「判断の型」を作り、それに必要な設備を段階的に導入していく―流れを推奨した。









