KSASを高度化/北陸農政局・スマート農業推進フォーラム2025in北陸を開催

北陸農政局は1月29日、「スマート農業推進フォーラム2025 in北陸」を金沢商工会議所会館で開催した。オンラインでも配信され、100人以上が視聴した。スマート農業技術の導入と活用をテーマに、基調講演や企業による事例紹介、関連機器の展示が行われた。その中で行われた、(株)クボタの技術開発推進部技術連携チーム理事・越智竜児氏の講演「クボタが描くスマート農業の将来ビジョン」の内容を紹介する。同氏は1986年に久保田鉄工(株)(現在のクボタ)に入社後、移植機技術部長、計測制御技術センター所長、次世代技術研究ユニット長、北米研究ユニット長兼R&Dノースアメリカ社長を歴任後、現在のポストに就任した。
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講演では、日本の農家戸数が2050年には現在の4分の1にまで減少するとの推計を示し、食料の安定供給や農村維持のためにはスマート農業の普及が不可欠だと指摘した。労働力不足や後継者難、気象変動による収量・品質の不安定化、資材高騰など、農業現場が抱える課題は多岐にわたる。こうした状況を受け、行政も24年に「スマート農業技術活用促進法」を施行するなど、技術導入を後押ししている。
クボタは10年代から精密農業と農機の自動化に取り組み、営農支援システム「KSAS」を中心としたデータ活用型の農業モデルを構築してきた。作業計画の作成から耕うん、田植え、水管理、防除、追肥、収穫までを一貫してデータで管理し、半自動・自動の農機と連携させる仕組みだ。クラウドを介して作業指示や収量データをやり取りするシステムは年々進化し、導入から12年を迎えた現在、多くの農家が利用している。
更に同社は、コンバインによる食味収量マップやドローンのリモートセンシングに加え、衛星データを活用した新サービスも開始。土壌分析や地形データと組み合わせ、圃場ごとの特性を可視化するレイヤーマップを提供し、可変施肥や土地改良など精密な営農判断を支援している。
農機の自動化では、直進アシスト機能の普及に続き、17年からは有人監視型の無人運転ロボット農機を投入。現在は遠隔監視による無人運転の開発も進めており、トラクタ、田植機、コンバインなど主要機種で自動化が広がっている。
将来ビジョンとして同社は、(1)スマート農業一貫体系の拡大と技術進化(2)KSASの高度化(3)持続可能な環境型農業システムの構築(4)新たな農業支援サービスの創出―の4点を重点課題に掲げる。同氏はそれぞれの詳細を説明した。
(1)畑作・野菜・果樹など、水稲以外の分野への展開や、作業機メーカーとの連携による自動化の拡大、果樹園や中山間地で活躍するロボットの開発などを進める方針だ。また、直播栽培の普及に合わせ、自動運転トラクタと組み合わせた大規模作業の効率化にも注力する。中山間地では小型ロボットや草刈機の開発を進め、地域の条件に応じたスマート農業体系の構築を目指す。
(2)KSASについては、ビッグデータと生成AIを活用し、作付け計画やコスト分析などを自動提案する仕組みへの進化を構想。農業データの標準化やオープンAPI化も見据える。
24年に公開した「KSASマーケットプレイス」では、他社アプリや行政システムとの連携を可能にし、GAP管理やJ―クレジット支援など多様なサービスを統合する。
(3)環境分野では、除草剤を使わない有機栽培を可能にする両正条田植機の開発や、バッテリー農機、水素燃料電池など脱炭素型パワートレーンの研究を推進する。
(4)農機のシェアリングサービスや、ドローンを活用した作業受託、データを活かした営農コンサルタントなど、新たな農業支援サービスの展開も進んでいる。
最後に、地域コミュニティに根ざしたスマート農業普及体制の構築が重要だとし、農業者、行政、研究機関、JA、メーカーが連携して取り組む必要性を強調。ロボット農機による省力化、データ活用による経営支援、環境保全型農業の推進を通じて、持続可能で魅力ある農業の実現に貢献したいと語った。









