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令和8年2月9日発行 第3586号 掲載

耐性品種の作付拡大/関東農政局・稲作における高温対策WEB勉強会から

 関東農政局は1月28日、稲作における高温対策WEB勉強会をオンラインで開催し、これには全国から約300名が参加した(既報)。
 昨年は全国的な猛暑となり、各地で農作物等の品質の問題が顕著化してきたことから、令和8年産に向け高温条件に対応した稲作の情報を提供し、各産地において対策につなげてもらう目的で実施したもの。
 ここでは、栃木県農政部経営技術課・高齋光延氏による「栃木県における稲作の高温及び斑点米カメムシ類対策について」ならびに、茨城県県西農林事務所経営・普及部門・稲葉大貴氏による「筑西地域における高温耐性品種『にじのきらめき』の導入」の講演概要をみる。
 高齋氏はまず栃木県の稲作について、県全体の水稲作付面積は6万ヘクタールとなり、10アール当たり収量は521キロと説明。県北・県央は早植栽培(5月中旬までに移植)、県南は早植+普通植栽培(5月20日以降に移植)が中心となっているとし、7月後半~9月にかけての登熟期間に高温になることによって、白未熟粒の発生が増えているという。
 特に2023年以降は高温が続いていることから白未熟粒が発生しやすい状況になっているとし、中でも県南地域において白未熟粒による落等が多いものの、県南では出穂期を遅らせる対策は困難と語った。県南で高温の影響が大きい品種は「コシヒカリ」「あさひの夢」で、これらの品質低下がみられるという。
 県では「栃木県農作物生産における気候変動適応ガイド」を作成し現在生じている気候変動影響やその対策をまとめており、白未熟粒発生に対する適応策としては、水管理の徹底や土壌改良、品種転換、適正な肥培管理などを提示。今回は品種転換とその効果について紹介した。
 品種転換では、栃木県では高温登熟性に優れ、外観品質及び食味が良い「とちぎの星」を推奨。県で品質向上栽培マニュアルを作成しているほか、農業振興事務所においても栽培マニュアルやチラシなどを発表して作付けを推進している。実際にとちぎの星の農産物検査結果をみると、猛暑に見舞われた令和7年産米は1等比率91・8%となり、栃木県全体の同88・1%や、あさひの夢67・0%、にじのきらめき77・8%より高い結果となった。県ではここ数年高温が続いたにもかかわらず、とちぎの星の作付け割合増加に伴い、1等米比率は上昇している。
 また、斑点米カメムシ類対策については、令和6年産米が斑点米カメムシ類の被害により着色粒の発生量・割合ともに増加したことから、7年度に県内に関係機関・団体で構成する「カメムシ防除対策会議」を設置し、発生予測から防除まで総合的な対策「カメムシ防除作戦」を一体的に取り組んだ。
 SNSやチラシなどで防除に関する情報を発信したほか、6年度に被害が大きかった県南では防除協議会で共同防除の日数を増やし、適期防除を実施した。それらの結果、7年産米は着色粒の発生量・割合ともに低下し、斑点米カメムシ類による被害を抑制できたと示した。県では次年度も取り組みを継続するとともに、被害が発生しなかった地域での予察や情報発信、適期防除も励行していくとした。
 一方、稲葉氏は茨城県の県西に当たる、関東有数の穀倉地帯である筑西地域にて「にじのきらめき」を導入した経緯について説明。地域主力品種のコシヒカリで乳白粒が増加し、縞葉枯病対策が必須になったことを受け、生産者とJA北つくばなど関係機関が連携し、令和元年よりにじのきらめきの栽培・販売がスタートした。生産者4名・作付け面積16ヘクタールから始まった栽培は順調に広がっていき、6年には茨城県奨励品種に指定、栽培暦も完成し、7年には1400ヘクタール以上と従来の主力品種であるコシヒカリと面積が同程度になるまで拡大した。栽培に関する情報も積み上がり、10アール当たり収量は平均10俵以上と安定している。
 管内では栽培講習会の開催による栽培技術の共有や、メーカーも連携して追肥資材を検討するなど、生産者をはじめ、JA・メーカー・行政の皆で検討を進めている。7年産におけるにじのきらめきは、夏の平均気温が高かったにもかかわらず、コシヒカリに比べて穂数・坪刈収量・一穂籾数・千粒重とも多い結果となった。ある生産者の事例では、導入3年目となる7年の収量は10アール当たり11俵で、コシヒカリの同9俵よりも高収量となり、品質については全量1等と非常に良い結果が得られた。収量性や品質の良さからにじのきらめきの作付比率は年々増加しており、7年産は主食用米面積の7割程度まで拡大したという。
 稲葉氏は今後について、にじのきらめきは地域での作付けが急拡大中であり、同品種が持つ耐病性、高温耐性、収量性の良さをこれからも発揮していきたいとしつつ、急拡大に伴い、栽培管理が不徹底なケースもみられ、品質・収量低下の事例も出てきていると指摘。地域JA等と連携した指導を今後も継続していくほか、カメムシ防除や肥培管理等に関する継続的な情報提供をしていくなどと展望した。

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