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令和8年2月9日発行 第3586号 掲載

みどり戦略を加速/農林水産省・グリーンな栽培体系の取組報告会から

 農林水産省は1月29日、令和7年度グリーンな栽培体系の取組報告会をオンラインで開催した(既報)。これはみどりの食料システム戦略の実現に向けて、農業現場のグリーンな栽培体系の実践や取り組み拡大を目的に、有識者の講演や産地の取り組み発表等から環境負荷低減×省力化の取り組みを学ぶものとして実施したもの。
 ここでは、基調講演として行われた「みどりの食料システム戦略に基づく取組の進捗状況と今後の展開」(農林水産省大臣官房みどりの食料システム戦略グループ環境企画班環境企画係長・清水里紗氏)ならびに「農研機構におけるみどりの食料システム戦略の取組」(農研機構本部みどり戦略・スマート農業推進室室長・豊島真吾氏)―の2講演と、事例発表のうち「プラスチック削減に向けた分肥体系と省力化に資するドローン直播栽培」(会津農林事務所会津坂下農業普及所)の講演概要をみる。
 清水氏は令和3年に策定された「みどりの食料システム戦略」について、改正食料・農業・農村基本法や、それをもとにした新たな食料・農業・農村基本計画などを入れ込んだ最新版の図を示しながら、同戦略に基づく取り組みや、みどり戦略KPIの進捗を紹介。みどり認定を受けた経営体は3万を超え、オーガニックビレッジも150市町村を突破したことなどから、生産現場における環境負荷低減の取り組みは着実に進展していると評価。一方で温暖化が進みみどり戦略の取り組みがますます重要になっていることから、2030年を目途に集中的に進めるべき取り組みを取りまとめた「みどり加速化GXプラン」の策定に向け検討を進めるなどと語った。
 一方、豊島氏は農研機構が進めてきたみどり戦略における取り組みを紹介。同機構は農林水産省と連携しながらみどり戦略の取り組みを支援しており、みどり戦略交付金に申請した269地区の中からみどり連携モデル地区を構築して技術支援を進めている。連携モデル地区は、全国10地区に設定し、各地区の進捗に合わせて(1)技術の導入(2)地区を拠点とした横展開(3)技術の自律・自走化の3つに分類して活動。例として、有機質資材肥効見える化アプリを導入して有機水稲栽培試験を実施したり、病虫害抵抗性チャ品種の「かなえまる」と「せいめい」を導入して化学農薬削減を図るなど様々支援を行っているなどと紹介した。
 他方、「プラスチック削減に向けた分肥体系と省力化に資するドローン直播栽培」は福島県会津農林事務所会津坂下農業普及所経営支援課長・柏木登氏が発表。柏木氏は農林水産省令和5年度事業「グリーンな栽培体系への転換サポート」で行った実証事例を紹介した。実証は令和5年、会津盆地の中央に位置する米どころの福島県湯川村で実施した。同地区の稲作において、担い手不足による米生産の省力化、コーティング肥料由来のマイクロプラスチックによる環境負荷ならびに、良食味・収量の追求が課題になっていたことから、環境負荷低減と省力化技術を組み合わせた安定生産技術として、コシヒカリの水稲ドローン湛水直播+分肥体系を実証。荒代かきと仕上げ代かきを行った圃場に、べんがらモリブデンをコーティングした種子を10アール当たり4キロ播種。ドローンにて1・2ヘクタールを約60分で播種し、基肥・追肥を行った結果、基肥一発施肥+移植の慣行区に比べてプラスチックを含む被覆資材を約90%削減、苗立ちは2割程度削減。結果的に疎植となったため、収量は3割減収、整粒歩合が上昇、タンパク含有率が増加した。また、10アール当たりの春作業の時間を25~44%削減、育苗及び移植(播種)の作業人員も4~5人削減できた。コストにおいても、ドローン体系は、移植体系より10アール当たり886円安くなった。一方で、スズメの食害対策には今回実施した播種後湛水が有効とし、また、雑草対策はドローンを活用した柔軟な除草体系で対応できるなどと述べた。
 課題としては、苗立数の確保、倒伏防止対策があげられ、排水対策や圃場の均平処理が重要になるなどと語った。

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