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令和8年2月9日発行 第3586号 掲載

気候変動の影響深刻に/環境省が第3次気候変動影響評価報告書案

 環境省は5日、現在とりまとめを進めている第3次気候変動影響評価報告書(案)を報道関係者向けに公表した。これは気候変動適応法に基づき、最新の科学的知見を踏まえ、概ね5年ごとに作成する気候変動影響の総合的な評価報告書。今回は現状から将来予測にわたって重大性・緊急性・確信度が高いなど特に優先対応が必要な項目を明示しており、農業関連では米の収量・品質低下、ミカン・リンゴなど果樹の栽培適地の変化、大雨による農地・農業設備への被害、渇水の増加・農業用水等の不足などがあげられた。また、自然災害として洪水・内水氾濫・土石流や、熱中症の増加なども示されている。
 同報告書はこれまでに平成27年(第1次)、令和2年(第2次)の2回公表されており、今回の第3次では、▽農業・林業・水産業▽自然生態系▽自然災害・沿岸域▽健康▽産業・経済活動▽国民生活・都市生活―などの7分野において重大性・緊急性・確信度の3つの観点で影響を評価。
 特に最新かつ広範な科学的知見を反映、影響の重大性の評価を2段階から3段階に細分化、特に強い影響を受ける地域や対象の整理、適応策及びその効果に関する知見の整理―を踏まえて評価した。重大性については、温暖化レベルが(1)現状(約1度C上昇)(2)1・5~2度C上昇時(3)3~4度C上昇時―の3つの場合について重大性の評価を行った。その結果、特に優先的に対応が必要な項目が明らかになった。
 農業関連の気候変動の影響について品目別にみると、水稲・果樹・畜産農業生産基盤においては温暖化レベルが(1)(2)(3)とも重大性レベル3、緊急性レベル3の最高値となり、特に重大な影響が認められ、確信度が特に高いと評価された。
 これらについて気候変動影響の一例をみると、水稲は現在高温年における1等米比率の低下が出ており、この影響がさらに大きくなると予想。また、将来はさらなる気温の上昇による収量の減少が予想される。これに対する適応策及びその効果については、品種の高温耐性を2ランク向上させることで、温暖化が2度C程度まで進行しても高品質米の生産量を維持できるが、それ以上の温暖化が進行すると高品質米の生産量が低下することが予測されている。
 果樹については、現在生じている夏季の高温による果皮の着色不良・日焼け・浮皮等の多発や、気温の上昇による発芽・収穫時期等の変化がさらに大きくなる予想。そして、将来においてはさらなる気温の上昇による栽培適地の変化が予想されている。
 畜産については、現在生じている夏季の高温による主要な家畜種(特に泌乳牛)の生産性・成長量・繁殖率の低下、へい死の増加がさらに大きくなる予想。特に泌乳牛について影響を受けやすく、現状で多くの地域において既に適温を越えている。2030年代以降に本州全域で乳量の大幅な低下が進行し、気温上昇とともに拡大が続くと予測されている。
 農業生産基盤については、現在生じている大雨の頻度・降水量の増加による農地・農業用施設への被害や、少雨による農業用ため池の貯水量不足がさらに増える。
 また、林業においては木材生産(人工林等)にて、現在生じているマツ・ナラの病害虫による被害の拡大や、大雨の激化・頻発化等による激甚な山地災害の発生がさらに増加すると予想される。

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