各社の対応:農家の購買意欲高まる/千葉県特集

(株)関東甲信クボタ(冠康夫社長)の昨年1~11月の実績は、前年比増。計画についても達成する結果となった。「一昨年も良い成果をあげられたが、昨年はそれ以上の実績を残せた。11月に実施した多古営業所での展示会には多くの農家が来場し、計画比において過去にない成果をあげることができた」と、関東営業事業部の錦織孝光副事業部長は語った。
「展示会の1カ月前から先行受注を取っていこうと計画し、随時進捗状況を皆で確認し合いながら活動してきたことが実績につながった。社員みんなで成し遂げた成果だ」と力を込めた。昨年初めから、冠社長が「今年は農機の在庫不足が深刻になる」とし、全社をあげて製品確保に力を入れてきた。
現在は先行受注が主流となり、注文から納品まで時間がかかる。先行受注を強化することは重要だが、先行受注は納品時に売上げがあがるため、その間は他のもので売り上げを作らなくてはならない。「会社の方針で、売れ筋をはじめとした様々な製品を確保していたため、販売することができ実績につながった。現場としてはすごく助かった」と錦織部長は振り返った。
田植機・トラクタ・コンバインの動きについては全て良かったが、特にトラクタが好調だった。年前半は前年より動きが鈍く心配していたというが、後半にかけては中型大型クラスを中心に動きが活発化した。そのほとんどがGS仕様。今や中・大型クラスのトラクタはほぼGSトラクタが選ばれる。「スマート農機は関東甲信クボタ」のスローガンの下、RTK基地を県内各地に設置し、フォロー体制を充実してきたことが拡販につながっている。また同社の担い手ソリューション部の存在も大きい。新技術・新農機などについて、専門的なことに対応。会社全体でカバーする体制が、スマート農機への理解を深め、顧客が安心して導入できる理由だろう。
今後については「お客様と共に我々の考えも変えていく」とした。「現在はあらゆるものが注文後すぐに納品できない。先のことを考えなくてはいけなくなっている。お客様もこれまで2~3年先のことを考えて、物事を準備することは少なかった。お客様と今後を話し合い、したいこと、目指すことを伺いながら、それに向けた提案が必要になる」と、社員自身も考えを変え、提案力を高めていく。
錦織部長は「実績は好調だが、良い時だからといって有頂天にならず、常に初心の気持ちを忘れずに地道にやっていくことが大切。今年は関東甲信クボタ創立15周年を迎える。今一度気を引き締めて、新シーズンに向かいたい」と語った。
「4~11月の実績は、計画通りに推移している」と、ヤンマーアグリジャパン(株)関東甲信越支社(杉山靖彦支社長)関東営業部千葉ブロックの萩原利之エリアマネージャーは語った。
「千葉県は春作業が早いため、1月から農家の方々が新シーズンの準備を始める。米価の高騰でシーズン前から農機の動きが良かった。4月以降も落ちることなく、コンスタントに販売実績を積み重ねることができ、計画を達成できている」という。
トラクタ、コンバイン、田植機とも、順調な動きを見せており、中でもトラクタとコンバインは大型化が進み、実績を牽引した。「これまで更新をためらっていた人がここにきて更新を進め、特に大型機械を購入する人が増えている」という。また「これまで我々の提案に対し反応を示さなかった方が、購入するケースもあった。米価の高騰が続いていることで、これまで更新を我慢していた人が、購入を考えるようになったのだろう」と、特に個人農家の購買意欲の高まりを感じている。
コンバインは大型に続き、4条刈のYH448Aの動きも好調だ。「価格が変わらず再注目され、販売が進んでいる」という。
ミノスのディスクティラーDTM14と、ディスクロータリー『YDPシリーズ』をはじめ、大型の代かきハロー、可変施肥のブロードキャスタなど多岐にわたって注目され、実演依頼も増えている。特にYDPは土壌の条件を選ばないため、田んぼに水分が残っていてもきれいに反転作業をすることができると好評だ。「千葉県は湿田が多いため、土壌の条件を選ばないYDPへの注目が高まっている」と、萩原マネージャー。同社では、個別・集落での実演に力を入れてきた。「規模を拡大していく農家からの注目が高まっている。実演では作業スピードと土の仕上がり具合をチェックする人が多い」と、省力化を実現する機械として積極的にチェックする人が多いという。
修理・整備事業も件数が増え、実績に貢献している。これまで整備をしなかった人も依頼するようになっており、件数が急増している。「コンバインの整備に続き、1月になると田植機の整備が始まる。県内で調整しながらやっていきたい」と、対応に努める。
新シーズンに向けては「これまでと変わらず、顧客への積極的な訪問をしていく」とした。現在農機は受注生産が多く、注文から納品まで時間がかかる。そのため、先を見据えて計画的に提案をしていかなくてはならない。顧客の考えや機械の状況などを把握し、提案していく。
萩原マネージャーは「好調の今だからこそ、できることがある。新シーズンに向け、気を引き締めて活動していく。新シーズンも売ります」と意気込みを語った。
「4~11月までの実績は、計画比、前年比とも増加した。トラクタの販売が好調で実績を牽引した」と、三菱農機販売(株)(平木郁夫支社長)千葉支店の若槻誠也支店長は振り返った。田植機・トラクタ・コンバインとも動きは活発になっているが、特にトラクタの動きが目立った。「大型クラスは前年並みだった。また、新型トラクタXS(クロスエス)が発売されたこと、米価の高騰で小規模農家が更新を進めたことで、中・小型クラスの動きが良かった」ことが、実績を牽引した。
田植機は6・8条植え、コンバインは大型中心に販売増。「時期中に品物を確保できたことが良かった」と若槻支店長。受注残も多くあり、全てが計画通りに納品されれば今期の計画は大幅アップで達成できるという。
千葉支店には卸部門があり、県内約30社の販売店へ品物を卸している。「卸部門の実績は、平均で前年を上回っている。水稲地帯の店舗は昨年を大きく上回る実績の店舗もあり好調だ。また、野菜・果樹地域は前年並みとなっている」と、地域によって差はある。また、規模を縮小している店もあり「調子は良いが油断ができない」と、気を引き締める。
修理・整備事業も実績は増加している。「大型農機専門のAC(アグリサポートセンター)東関東で、千葉と茨城の整備を請け負っている。コンバインは刈取り作業が終わってすぐに整備の推進を行った。税金対策で年内にやってほしいという農家も多かったが、間に合わないものもあった」と、件数も増えている。昨年から前千葉支店長の酒井裕之氏がセンター長に就任し、体制を整え臨んだことで生産性が向上した。
ヒサルラー、KUSANAGIなどの作業機も好調だ。昨年、KUSANAGI Plusが発売されたことで、60馬力までをKUSANAGI、70~100馬力をKUSANAGI Plus、100馬力以上はヒサルラーと、各馬力帯に合わせた製品を提案できるようになった。「KUSANAGI Plusは、畑の残渣をすき込むのに性能を発揮。スピードも12キロ程度で作業ができる。Webで実演を募集しており、注目度も高い」と、新規客からの実演依頼も多く、新規顧客獲得の武器としてさらなる期待が高まる。
若槻支店長は茨城も担当しており、昨年から兼任になった。系統担当として10年千葉県を担当していたため、市場は理解している。しかし、昨今の米価の高騰、顧客や農機の動きは「これまで経験したことがない」と語る。「2県を担当し、仕事が多岐にわたって面白い面もあるが、責任も重大だ。しかし、自分だけでは何もできない。一緒に働く皆さんが、動きやすい環境を作るのが私の仕事。それができれば、会社も我々ももっと成長できる」と、若槻支店長は力を込めた。









