架線での新技術提案/開発事業に見る先進林業機械

林業イノベーションの推進に向けた国の林業機械の開発・実証課題として現在、令和7年度の当初予算事業と令和6年度の補正予算事業とを合わせて5つの課題が進行中だ。開発・実証課題は、機械開発の主要テーマとして国が掲げる遠隔操作もしくは自動化の実現を目指すものばかり。1日も早い実用化へ現場での実証、課題を踏まえての改良が進められている。令和6年度補正予算分の3課題の取り組み内容等をみた。
現在、林野庁の機械の開発・実証は、令和7年度当初予算の森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策のうち、林業デジタル・イノベーション総合対策として展開。
また、補正予算で要求した事業は、「林業・木材産業国際競争力強化総合対策」のうち、林業のデジタル化・イノベーションの推進として実施、林業機械・木質系新素材の開発・実証事業と銘打って進められている。
この林業のデジタル化・イノベーションの推進では、「原木供給力の強化のために林業の生産性・収益性・安全性の向上に向け、森林資源情報のデジタル化を支援するとともに、林業機械の自動化・遠隔操作化技術を新たな木材需要を創出する木質系新素材の開発・実証」を支援する。
林業機械の開発・実証の取り組むテーマとして、(1)伐倒・集材等の素材生産や造林作業の自動化・遠隔操作化等に向けた林業機械の開発・実証、事業規模での実証・改良(2)森林作業の安全性・生産性の向上に資するソフトウエア・機器の開発・実証(3)森林内の通信環境の確保に向けた通信技術・機器等の開発・実証―を掲げており、開発課題として、次の3つを採択した。
「遠隔操作伐倒機械の自動走行技術の改良およびケーブルグラップル集材システムの開発」(事業者=松本システムエンジニアリング(株)・代表提案者、久大林産(株))
「自動運転下刈機械の傾斜地走行性能の向上と植栽アタッチメントの開発」((株)NTTドコモ・代表提案者、(株)筑水キャニコム、千歳林業(株))
「集材・造材マルチワークを可能とする自動運転集材機・架線式グラップルの開発・実証」(イワフジ工業(株)・代表提案者、(株)中井林業)
それぞれ課題の事業目的、開発・実証内容は次の通りだ。
【遠隔操作伐倒機械の自動走行技術の改良およびケーブルグラップル集材システムの開発】
目的は、遠隔操作伐倒機械への自動走行機能の追加にあたって必要となる予防安全機能の開発・実証を行うとともに、同機による伐倒後、遠隔操作によるウインチ集材を可能とするため、ケーブルグラップル集材システムの開発を目指す。
開発・実証内容は、(1)自動走行機能の安全性の向上(2)新たなケーブルグラップル集材システムの開発(3)伐倒データ把握ソフトの作成。それによって、傾斜地での伐倒作業の遠隔操作化による安全性の向上と自動走行および新たなケーブルグラップル集材システムによる更なる生産性の向上を実現する。
【自動運転下刈機械の傾斜地走行性能の向上と植栽アタッチメントの開発】
事業目的として、自動運転下刈機械の実用化に向け、傾斜地における走行性能の検証、改良とともに、当該下刈機に取り付け可能な植栽アタッチメントの開発をあげる。
現在進行中の開発・実証内容は、(1)急傾斜地での自動走行性能の検証と改良(2)下刈機械の操作アプリの改良(3)植栽アタッチメントの試作と性能検証(4)自動運転下刈りの性能検証。事業効果として、「自動運転下刈機械の実用化による下刈り作業の軽労化及び作業時間の短縮」と「植栽アタッチメントの開発による植栽作業の軽労化」を期待している。
【集材・造材マルチワークを可能とする自動運転集材機・架線式グラップルの開発・実証】
事業では、自動荷掛システムの改良による荷づかみ成功確率の向上とともに、「荷下ろし+巻上げ」の自動化を図ることにより、架線集材におけるワンマンオペレータによる集材・造材作業の確立を目指す。また、併せて集材作業の安全を確保するため、集材機の乱巻き防止システムを開発していく。
開発・実証内容は、(1)自動荷掛けシステムの改良(2)自動荷下ろしシステムの開発(3)乱巻き防止システムの開発。「架線集材の自動化により集材作業の安全性向上と軽労化、集材・造材のサイクルタイム短縮による労働生産性の向上」を期待される事業効果にあげる。
令和8年1月26日









