未来への系譜:農を支える研究開発/クボタ・GROUNDBREAKERS2026

自然相手の農業において、あらゆる環境で農業者が求める作業を行う必要がある農機は、様々なケースに適応できる基本性能の高さが求められる。「未来への系譜―農業の進化を支える、基本性能の研究開発―」では、スマート農機の飛躍につながる基本性能の研究開発に携わる技術者の思いや地道な開発の様子が語られた。遠隔操縦の研究開発を行う次世代研究第二部の小丸氏は「遠隔地から1人で複数台の自動で動く機械を操縦できれば、生産者も楽に広い圃場の対応ができるようになる。きちんと動くためには基本性能レベルの高さが重要」と述べた。
クボタが研究開発を行う上で大切にしていることは、「ユーザー目線」と「現地現物主義」。
トラクタ技術第一部の濱崎氏は、圃場の凹凸などにより車体が傾いても作業機を水平に保つことができる水平制御装置(=モンロー)について、「開発から40年近く。年々高まる要望に応えるため、高い評価基準を達成することで機能を進化させてきた」と語る。均平精度が高ければ、生育ムラを防ぎ、後工程をスムーズに進められるといったメリットがある。車体の傾きを素早く検知するSTGセンサーによって、作業機が大型化する中においてもその均平精度を保っている。
湿田に対応でき、綺麗に植えられ、正確に撒けるとその基本性能の高さが認められる田植機ナビウェルシリーズ。ナビウェル開発チームを率いた移植技術部の安田氏は、「基本性能の向上は生産者の存在が大きかった」と語る。深い湿田でも走れるようにしてほしい。そんな厳しい要望が新潟クボタから出された。村上市の生産者である貝沼農場の貝沼氏は、悪条件圃場では走れない田植機を他社に乗り換えることも考えていたのだ。それを聞いた同開発チームは、走れない原因を突き止め、軽量化と同時に機体の前後バランスを見直すことで深い湿田での走行を実現。貝沼氏はナビウェルの走行の様子と試乗によって、すぐに導入を決めた。加えてナビウェルの欠株の少なさ、植付の正確さの向上、株間キープや施肥量キープによる資材や苗のコスト低減へもつなげていった。
コンバインには、米をロスなく綺麗に選別する脱穀性能が求められる。脱穀機技術部の高木氏は「脱穀部内部の機能バランスが大事」と述べる。トウミファンで発生させる風量、風向き、風を送る回数、こぎ刃の配列や大きさ、種類、ふるいの目合いなど多くの要素がロスと選別に影響する。小型の高速度カメラで作業中の脱穀部の可視化にも注力。さらにロスや選別の変化を観察すべく、現地視察やデータ収集、スーパーコンピュータによる解析技術などの活用も取り入れ、開発を進めている。解析センターも現地現物を取り入れ、実測データを取得し、解析の信頼性を高めている。
クボタはこのようにユーザー目線と現地現物主義を軸とした研究開発で農機本来が持つ基本性能を高めている。









