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令和8年1月19日発行 第3583号 掲載

農村に新たな人の流れを/農政研が将来予測研究報告会を開催

 農林水産政策研究所は昨年12月、都内霞が関の農林水産政策研究所セミナー室およびWebにて、同研究所客員研究員の橋詰登氏による研究成果報告会「農山村の変容と農業集落―センサス分析による農山村の現況と将来予測―」を開催した。 同研究は、国勢調査結果を農業地域類型(都市的地域、平地農業地域、中間農業地域、山間農業地域)別に組替集計して、農山村の人口動態の地域的特徴を探るとともに、2050年までの地域類型別人口を推計し、その量的・質的変化を予測している。
 当日は、農業センサスなどの小地域別データを用いた、(1)農山村地域の人口動態と将来予測に関する分析(2)農業集落の縮小と活動状況に関する分析(3)農業集落の将来予測に関する分析―の3つの分析結果をもとに、農山村地域の将来予測について報告した。
 それによると、(1)の農山村地域における人口動態については、これまで一貫して人口が減少し続けている山間農業地域においては、今後30年を待たず、さらに人口が半減することが見込まれるとした。また、高齢化率は2020年時点で既に、中間農業地域37%、山間農業地域42%と高値だが、2050年にはさらに上昇し、中間農業地域で50%、山間農業地域で57%に達すると予測。
 一方、農山村での少子化はさらに進み、2050年の年少人口率は、都市的地域以外の3地域(平地農業地域、中間農業地域、山間農業地域)で、いずれも1割を下回る。また、山間農業地域の生産年齢人口は2020年時点で既に地域人口の半数を下回っているが、2050年には37%にまで低下することを見込んだ。
 次に、(2)の農業集落の縮小と集落機能については、世帯数や農家数の減少が続き、小規模な農業集落が増加するとともに集落人口の高齢化が進展していると分析。このような状況は、特に山間農業地域で顕著であると指摘した。なお、世帯数が4戸以下、集落人口が9人以下、高齢化率が70%以上の集落においては、寄り合いの開催や地域資源の保全活動が停滞する傾向がうかがえるとした。
 そして、農業集落は集落営農の組織母体、中山間直接支払いや多面的機能支払いの中心的な実施主体として農業・農村政策の推進上も重要な役割を果たしていることから、これらの集落構造の変化に対応した集落連携・集落再編のあり方を早急に検討していく必要があると警笛を鳴らした。
 (3)の農業集落の将来予測については、今後もさらに縮小が進み、2050年には人口が29人以下の小規模集落が全体の3割に達し、山間農業地域では6割を超えると予測。集落人口の高齢化も加速し、2050年には全体の約6割の集落で高齢化率50%を超え、高齢化率70%以上の集落も、山間農業地域で半数、中間農業地域で3分の1に及ぶと見込んだ。
 また、集落人口9人以下、かつ高齢化率70%以上の存続危惧集落は、2050年には現在の4倍以上の1万2500集落になるとし、山間農業地域の4分の1の集落がこれに該当すると指摘。2050年に存続危惧集落になると見込まれる集落が2020年時点で有している資源量は、総世帯数13・4万戸、集落人口29・2万人、農家数4・5万戸、耕地面積23・7万ヘクタールにのぼるとした。
 これらの厳しい分析結果を受け、橋詰氏は、近年広がりつつある田園回帰の流れをより大きな潮流へと発展させ、農山村への新しい人の流れが絶え間なく続くようにすることによって、この予測は異なるものになり得るとし、そのための政策対応が重要であることを強調した。

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