乾田直播で課題解決/農研機構・水田輪作新技術フォーラム

既報の通り、農研機構は昨年12月11日、茨城県つくば市のつくば国際会議場およびWebにて、「水田輪作新技術プロジェクト」キックオフフォーラムを開催した。その際に行われた講演の中から、乾田直播栽培に関する2講演(「にじのきらめき」および関東における乾田直播栽培/西日本に広がる水稲乾田直播栽培)の内容を紹介する。
関東における乾田直播栽培について講演したのは、農研機構中日本農業研究センター研究推進部非常勤顧問の塚本心一郎氏。
塚本氏は最初に、多収で暑さに強く食味も良い水稲新品種「にじのきらめき」を紹介した。2018年に品種登録されたにじのきらめきは、現在、茨城県など関東を中心に広く普及している。同品種の強みとして、▽多肥栽培、直播栽培での倒伏リスクが少ない▽「コシヒカリ」より15~30%多収▽高温耐性が強く、外観品質も良い▽縞葉枯病に抵抗性があり、穂いもち病にも比較的強い▽コシヒカリと同等以上の極良食味―をあげ、「大きな欠点がみつからない、現時点で完璧に近い品種である」と評した。
続いて、農研機構が開発したNARO方式乾田直播栽培体系の特徴を紹介。スタブルカルチで播種床造成→グレーンドリルで播種→ケンブリッジローラで鎮圧―というように、大規模畑作で利用する作業機を活用し高速作業を実現できることや、代かきを実施しないため排水性が改善され、水田輪作に適している点をメリットとしてあげた。そして、乾田直播で安定した収量を得るためには、早期の播種床づくりや、にじのきらめきなど多収品種の導入、施肥の見直し、雑草対策が重要であることを示した。
最後に、(1)滞水させない圃場づくり(最重要)(2)出芽苗立ちの安定と漏水防止のための播種前播種後の鎮圧(3)播種期を分散させ播種後除草剤の散布期間を確保―が関東における乾田直播栽培成功のポイントであるとし、「1回の失敗で諦めない。2~3年続ければクリアできる」との生産者のコメントも紹介した。
続いて、農研機構西日本農業研究センター研究推進部の岡本毅氏が、西日本における乾田直播栽培の動向を解説。
東海・九州を含む西日本では、乾田直播栽培面積が1100ヘクタール以上にのぼり急速に拡大しているが、その背景には、▽移植栽培では手が回らない▽増え続ける経営面積への対応▽収益性の向上―など、様々な経営課題があるとした。
そのうえで、乾田直播の実践事例などを通じて、▽経営面積が増え続ける中、人員が限られるという状況に対処できる▽高収益の品目に労力を振り分けられるため、水稲中心から複合経営への移行を可能にする▽労働費や農機具費の低減により、利益を出せる米作りへと改善できる―などの効果を提示。乾田直播栽培の導入が、数々の経営課題の解決につながる可能性を示した。
また、導入に適した生産者として、大規模農家や担い手農家のほか、稲作部門を省力化して高収益品目を導入したい生産者や稲・麦・大豆のブロックローテーションを行っている生産者などをあげ、乾田直播栽培が、自立した営農を次世代へと引き継ぐために有効な技術であることを強調した。









