水稲直播栽培を解説/クボタWEBセミナー

(株)クボタ(花田晋吾社長)は昨年11月、「水稲直播スタートセミナー コメの増産と経営規模拡大を目指して」と題したWEBセミナーを開催した。同社の技術顧問、木田浩司氏が水稲直播の概要やメリット、具体的な作業スケジュールや栽培方法等について解説した。セミナー要旨は次の通り。
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水稲直播栽培は大きく湛水直播(以下=湛直)と乾田直播(以下=乾直)の2種類に分別される。前者は(1)代かき状態で播種する(2)育苗、田植え作業が不要(3)コーティング種子使用(代かき同時播種ではコート処理なし)(4)播種後の水管理は落水管理や湛水管理等が必要(5)圃場均平性は移植栽培より高い精度が必要、といった特徴があげられる。一方、後者は(1)畑状態で播種する(2)育苗、代かき、田植え作業が不要(3)播種までは土を乾かす作業管理が必要(4)苗立後は湛水するため、保水性の確保が必要(5)圃場均平性は移植栽培より高い精度が必要(6)好条件では高速播種が可能(毎時5~8キロ)などの特徴があげられる。
2018年から湛直がやや減少し、乾直が増加傾向にある。以降、面積拡大は乾直が牽引しており、2023年には双方の割合がほぼ同じ比率になった。水稲の直播栽培の面積はトータルとして着実に増加している。
経営規模の拡大が進む中、直播導入がカギとなる技術として再評価されている。湛直は圃場が乾きにくい地域や、大型機械体系を保有しない経営で導入が進んでいる。近年、コーティング方法や播種方法が複数開発され、技術が多様化しているのも定着の一因だ。乾直は機械の大型化や、圃場を乾かす技術、保水技術、雑草防除技術の進歩により、近年の導入面積の伸びにつながっている。
地域や経営に合った直播技術の導入状況を見ていくと、湛直と乾直を合わせた直播普及率は、全国で約2・9%と徐々に定着している様子が分かる。特に東海で7・8%、北海道で5・2%、北陸で4・5%と高い傾向。湛直は東北、北陸、近畿で比率が高く、乾直は北海道、東海、中四国、九州で比率が高かった。
直播栽培導入を検討している人は、まず目的と検討ポイントを明確にすることが重要だ。その例として(1)移植作業の前に乾直で面積をこなしたい(2)育苗や移植の労働時間削減、負担軽減、作業分散をしたい(3)1人作業が可能な直播で人材不足を補いたい(4)生育差を利用して適期作業、適期収穫を進めたい(5)育苗や移植にかかるコスト削減を図りたい(6)最小限の投資で規模拡大を進めたい―の6つの課題をあげた。これらの技術導入が課題解決につながるかの経営的検討が必要。そのために、▽課題解決のためにどの水稲直播が有効か▽気候や圃場条件は直播導入が可能な状況か▽機械の手配、技術習得、採算性の目途は立つか、といった知識を得ることが重要になってくる。
では実際の作業時間や経費はどうなるのか。水稲直播と水稲移植を比べた場合、作業時間は25%減、生産コストは面積当たり11%減(各直播技術の平均)となる。これは育苗や苗運搬、移植にかかる時間短縮と、人件費、育苗資材などの削減に有効となる結果が明らかになったといえる。作業時間の分散も重要だ。例えば水稲面積の半分で直播を導入した場合、育苗や田植えにかかる春の労働ピークが削減でき、秋の収穫期分散も可能になる。乾直の春作業では、育苗や田植え作業に加え、代かきもしないため、春の労働ピークを3、4月に前倒しして分散と削減ができる。
直播技術の概要については以下の通り。
湛直栽培の播種の具体的な方法は(1)田植機装着型(2)トラクタ装着型(3)ドローン等。対して乾直は(1)グレーンドリル播種(2)耕うん同時播種(3)不耕起V溝播種等だ。湛直は移植と比較し、農薬費や肥料費などがほぼ横ばいなのに対して、乾直は農薬増、肥料費増、降雨による作業遅延リスク大、機械の投資額大等というリスクもある。これらのリスク管理も頭に入れた上での導入検討が必要になってくるようだ。
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