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令和8年1月5日発行 第3581号 掲載

麦1t超え、5年輪作で豆、馬鈴薯も/農家ルポ・武智農場(北海道池田町)

 農業の基本は土づくり。誰しもが認めるこの取り組みを徹底し、異常な推移をみせる気象下でも地域の平均を超える確かな収量を確保し続ける武智農場(武智唯浩代表・北海道中川郡池田町)を訪ねた。同農場では、植物の生長を支え、かつ自身の労働負荷軽減にもつながる特注プラウを活用するなど、土層・土壌の改善に毎年熱いエネルギーを注いでいる。
 十勝ワインの里として知られる池田町。主要作物は小麦、豆類、てん菜、バレイショ、デントコーン、牧草などで、平均的な経営耕地面積は36ヘクタール、徐々に拡大が進み、大規模層の割合も増えている。こうした中、武智農場の営農面積は約51ヘクタール。作付けは小麦20ヘクタール、大豆、小豆、バレイショが各10ヘクタール。これらを小麦↓小麦↓大豆↓小豆↓バレイショの順に5年輪作とし、小麦と小麦の間に堆肥を施用、また、小麦と大豆の間に緑肥を鋤き込み地力維持を図っている。以前は4年輪作としていたが、小豆の土壌病害・落葉病を回避するため5年に変更し、それから病害は発生していないという。
 就農以来、およそ53年が経過、この間に父君の時代よりも2倍の作付面積になり、「周囲で後継者がいないなどの事情があり、面積増につながった」とのこと。てん菜収穫時などの臨時雇用はあったものの、基本的には家族労働で賄える規模と機械化体系を志向し、てん菜からバレイショに転換したのも人手不足や肥料などの経費増が主因だ。「人手の手配が厳しくなり、(100キロ近い距離がある)釧路からみえる場合もある。雨で作業ができなくなったから、労賃は支払わない…、というわけにはいかないですからね」と、人を雇い入れる難しさは年々高進している。
 武智氏は、スガノ農機(本社=茨城県稲敷郡美浦村)との付き合いの中で土づくりの重要性を認識」し、造詣を深めたと話す。北海道土を考える会が2022年11月に十勝エリアで実施した土壌断面調査勉強会では同農場が対象となり、プラウとプラソイラの併用で実現した深い作土層、暗渠施工による排水改良、深耕による作土深の拡大、緑肥栽培による有機物供給で構成が変化した土層などの指摘が研究者よりなされ、武智氏の長年の努力が「見える化」された。実際の断面構造(モノリス)は、同家の仏間に飾られており、農作物を支える見えざる勲章の趣がある。
 同氏の理想は特注のプラウにも反映され、スガノ農機と協議を重ねた結果、「丘曳きR204FPA1 22インチ×4連」に結実した。(1)22インチ×4連で作土層を拡大(2)耕深40センチまで深く起こしたい(3)踏圧軽減、調整簡単、作業姿勢が水平な丘曳きタイプ(4)全てのボトムにコールタとジョインタを装備(5)残耕を残さない油圧オフセット―などのニーズに応じ、同機には耕深調整が楽なゲージホイル、丘曳きフルコールタを実現した先行コールタ、新形状ジョインタ、油圧オフセット機構などが盛り込まれた。加えて、「プラソイラ7QS5MSSS2 5本爪」(最大作業深75センチ)により、40センチより下の土層(40~60センチ)まで少しずつ作土層を増やしていく作業を進めている。
 「作物は根が生命だから、根が好ましい状態を追求すれば自ずと作物は育つ」(武智氏)。その結果、同氏は2024年産秋播き小麦で10アール当たり960キロの収量(十勝地区平均の1・5倍以上)を上げ、過去には1トン超えを記録した年もあって、まさに「基本は土づくり」の精神が生み出した大きな稔りである。
 「スガノに教わったことが実際こうなっている」と同氏。10年前に子息の宣仁氏が就農し、営農の主役は代替わりしているものの、「土づくり」に込める精魂に変わりはない。地域では最も早く自動操舵システムを導入し、自ら基地局まで立てる積極さをみせる。機械の選択は営農の目的や作業条件に適う製品に重きを置き、ゆえに銘柄は様々で、機械好きながら技術への評価はシビアだ。
 土にこだわり土を活かす―機械化の根底にもあるその思想が、明日の収穫を約束する。
 ちなみにスガノ農機は昨年12月、HPに同農場と特注プラウの動画をアップした。

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