新技術でデータ駆動型施設へ/施設園芸特集

昨年の夏は3年連続で記録的な猛暑となり、全国各地で40度C超えの最高気温が観測された。もはや猛暑は毎年恒例となりつつあり、自然災害に左右されない、安定した食料生産が強く求められており、その課題解決策の1つとして施設園芸に期待が寄せられている。
昨年10月に発足した高市政権においては、安定的な生産力の確保を推進するべく、新たなテクノロジーを活用した完全閉鎖型植物工場への投資拡大を進める旨が示された。鈴木憲和農林水産大臣は10月の大臣就任記者会見にて「(植物工場で活用される)日本の空調技術は世界のトップランナーを誇る。こうした新たなテクノロジーが日本の稼ぐ力を高め、世界のスタンダードとなる食の未来を作っていきたい」と述べ、施設園芸の展開推進を示している。
政府は今年、施設園芸関連でどのような施策を進めていくつもりなのだろうか。施設園芸関係における令和8年度予算概算要求ならびに令和7年度補正予算の一部をみると、8年度予算ではみどりの食料システム戦略推進交付金のうち省エネルギー型ハウス転換事業に39億1100万円の内数(前年度6億1200万円)を充当。地域の関係者が集まった協議会等が行う、再生可能エネルギーの活用促進のための賦存量調査や、省エネルギーと生産性を両立する持続的な栽培体系への転換に向けた実証や産地内への普及の取り組みを支援する。また、データ駆動型農業の実践・展開支援事業に1億7100万円(前年度同額)をあて、データ駆動型農業の実践体制づくり支援やスマートグリーンハウス展開推進を進める。その他、養蜂等振興強化推進、農畜産業プラスチック対策強化事業、農業生産におけるプラスチック排出抑制対策事業等を推進する。
7年度補正予算では、施設園芸関係では施設園芸等燃料価格高騰対策(44億円)、園芸産地における事業継続強化対策(1億9400万円)、みどりの食料システム戦略緊急対策交付金のうち省エネルギー型ハウス転換事業(40億円の内数)、農業生産におけるプラスチック排出抑制対策事業(40億円の内数)、産地生産基盤パワーアップ事業(80億円)、スマート農業・農業支援サービス事業導入総合サポート緊急対策(156億5800万円)などを活用して施設園芸の振興を進めていく予定となっている。
一方、施設園芸全体の情勢をみると、ガラス温室やハウスなどの園芸用施設の設置面積は1999年をピークに減少傾向にあり、2023年は、野菜2万7281ヘクタール、花き5195ヘクタール、果樹4518ヘクタールの計3万7000ヘクタールとなった。また、2022年の状況では設置面積3万7907ヘクタールのうち、ボイラー等の加温設備を備えた温室は1万6676ヘクタール(全体の44・0%)、うち炭酸ガス発生装置のある温室は2153ヘクタール(5・7%)、養液栽培施設のある温室は1505ヘクタール(4・0%)、複合環境制御装置を備えた温室は1302ヘクタール(3・4%)に留まり、さらに完全人工光型植物工場は22ヘクタールだった。今後も環境制御装置を導入した温室の割合を高め、生産性向上が重要になる。
また、一般社団法人日本施設園芸協会は令和7年度より5年先、10年先の日本における施設園芸の将来像を描く「施設園芸の将来像に係る懇談会」事業を始動。これは有識者による懇談会にて現状の施設園芸農家が目指す方向を明確化するもので、具体的には経営規模別に主な作物別の収益(収量)、装備すべきハウス(ゼロエミッション・セミクローズハウスにおける構造、資材など)、環境制御・栽培システム、活用すべきエネルギー、販売流通の方向性を示すとしており、今年2月には提言取りまとめを行う予定。
また、日本施設園芸協会は今年7月15~17の3日間、都内有明の東京ビッグサイト南1・2ホールにおいて、施設園芸・植物工場展2026(GPEC)を開催する。同展は隔年で実施され、9回目の今回は「技術を極め、未来を耕す、革新の施設園芸」をテーマに、新しい技術やサービスなどが勢ぞろいする。新企画として技術表彰制度「GPECアグリイノベーションアワード」も開催予定。今年は同協会の懇談会やGPECで提案される新しい施設園芸に要注目である。









