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令和7年12月15日発行 第3580号 掲載

水源涵養セミナーを開催/林野庁

 林野庁は既報の通り、11月28日、東京都江東区の木材会館で「多様な主体による森林づくり活動と水源涵養機能に関するセミナー~新たな定量化手法」を開催。有識者らが講演、パネルディスカッションで意見交換し、新たな定量化手法について議論を深めた。初の開催となる同セミナーの模様をレポートした。
 水源涵養機能とは森林の土壌が降水を貯留し、河川へ流れ込む水の量を平準化して洪水を緩和するとともに、川の流量を安定させる機能のこと。雨水が森林土壌を通過することにより、水質が浄化される。
 近年、地球温暖化防止など地球環境保全の観点から、企業等の多様な主体による森林づくり活動が盛んに行われている。森林づくり活動をさらに促進させるため、森林の多面的機能の一つである水源涵養機能について、森林づくり活動の効果を簡易かつ定量的に評価できる、わかりやすい手法を検討している。
 セミナーではまず、サントリーホールディングス(株)サステナビリティ経営推進本部の瀬田玄通部長が「新たな定量化手法による計算結果の紹介と企業の活用方法」と題して講演した。
 サントリー製品は良質な地下水によって支えられており、地球環境そのものがサントリーグループの大切な経営基盤だ。2003年から「サントリー天然水の森プロジェクト」を開始した。良質な地下水を育むため、国内工場の水源エリアで実施している、森林と生物多様性を保全・再生する活動で、基幹事業として位置づけている。
 国内工場で汲み上げる地下水量の2倍以上を涵養し、ウォーターポジティブ(取水量以上の水を水系に育むこと)の実現を目指している。
 「天然水の森」における地下水涵養量の定量について、地表水と地下水の流れを切れ目なく一体化して解析でき、流体の質量・熱量保存則に沿って厳密に解析。地下水面をモデル上で再現し、不確実性解析をもとに涵養量を集計している。
 林地の整備や保護による水資源涵養量、直接流出量に対する効果を定量的に算定可能。必要な情報は林地の林分情報と近隣のアメダスデータのみ。エクセル入力で自動算定できる。サントリーでは用途に応じて分布型モデルとの併用を検討している。
 次に宮崎大学農学部の篠原慶規准教授が「新たな定量化手法の学術的背景:蒸発散を中心に」というテーマで発表。
 水資源涵養量の算出方法のコンセプトは「科学的かつ簡単に利用できるように」。水資源涵養量を算出するには▽降水量▽直接流出量▽蒸発散量―が必要。河川を流れる流量は直接流出と基底流出から構成されている。直接流出とは、降雨後すぐに渓流や河川へと流入する水で、ピーク流量の多くを形成することから防災上重要。林地の有無や状態により、直接流出の量やタイミングが大きく変わる。直接流出量の算出方法はアメリカで開発されたカーブナンバー法があるが、日本版カーブナンバー法などを作って推進しているところだ。
 きちんとした手法であることを伝えるために論文として出版し、学会でも発表する予定。科学的データを蓄積し、モデルを精緻化していく。たとえば広葉樹林での検証や樹液流計測法の精度検証、林床面蒸発の考慮、はげ山との比較など。
 講演後、パネルディカッションを実施。有識者6人が登壇し、水源涵養機能の新たな定量化手法の可能性をテーマに、活発に意見交換した。

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