スマート農業の今後を議論/2025国際ロボット展

「2025国際ロボット展」が3~6の4日間、都内有明の東京ビッグサイトで開催された(既報、主催=一般社団法人日本ロボット工業会、日刊工業新聞社)。26回目の今回は「ロボティクスがもたらす持続可能な社会」をテーマに、過去最多の673社・団体、3334小間の規模で開かれ、15万6000人が来場した。
同展会期中は様々な講演・フォーラムが開催され、活況を呈した。4日にはパネルディスカッション「スマート農業の今後の展開~先端技術が拓く新しい農業~」が行われ、ヤンマーアグリ(株)開発統括部技監・先行開発部部長・日高茂實、(株)三浦農場代表取締役・三浦尚史、千葉大学園芸学研究院教授・中野明正、鳥羽商船高等専門学校副校長・教授・江崎修央、プロダクトソリューションエンジニアリング(株)代表取締役・廣畠健一の5氏がパネリストとして登壇した。ここでは、日高氏のコメントを中心に同講演の概要をみる。
日高氏は自己紹介した後、日本における稲作作業の労働強度の推移を比較。耕うん・田植え・収穫を大勢の農業者により手作業でしていた1950年に比べ、トラ・コン・田の機械化により2010年は農業者が1人で済み、全体の労働強度は6分の1~11分の1強まで削減されたという。
そのうえで、ヤンマーの機械化の取り組みを紹介。ヤンマーは農業者の減少や高齢化をふまえ、持続可能な農業実現のために、2013年頃から自動農機「スマートパイロットシリーズ」開発に着手。2018年に無人トラクタを商品化し、2023年にはフランスのブドウ園向けに自律型散布ロボットを販売。そして、それらの自動化に必要なのがRTK等による正確な位置情報であり、位置情報に紐づけられる様々な情報によりデータ駆動型農業が実践されるとし、そのシステム開発を行っていると述べた。
その関連として、京都大学との産学共同講座「データ駆動型サステナブル農業講座」を設置。同じ位置の圃場で何度も作業する農業機械が、現場で映像などを撮影することにより、正確な位置情報を起点とし機械作業・圃場状態の情報、カーボンニュートラル、温室効果ガス削減量などがマップ化(見える化)できるとし、サステナブルな農業技術を構築する研究を進めていると示した。
また、その後のディスカッションにて、スマート農機の現在の開発状況について聞かれた日高氏は「近傍で人が監視する自動化レベル2の段階」だと答え、次の「モニターを通して遠隔監視を行うレベル3」については、北海道で自動化一貫体系構築の実証を進めていると紹介。2ヘクタールを超す圃場において、一貫した位置情報・経路情報を自動農機に記憶させ、それらの情報をもとに無人機がプラウやディスクハロー、ロータリーをかけ、畝立て、消毒や移植、除草を行い、収穫まで全て自動で実施。位置情報を搭載した無人のキャベツ収穫機が自動で高さ制御を行いつつ収穫を行い、その後カット野菜工場に出荷する。農作業情報から、いつどこへどのように運ばれたかというトレーサビリティまで記録され、トレースできるようになったと紹介した。
最後に、将来の展望についての質問では、「個人的な意見」と前置きをしつつ、「最終的に農業現場の作業を全てロボットが行うことは考えられず、人とロボットの協調が重要になる。どこまでロボットが作業するべきなのか」と提起。また、圃場間移動についても「行う技術はあるが、法的規制の問題が大きい」とし、万が一事故や故障が起きたときの責任や対処法を先に考えなければならないと指摘。一方で、中山間地などの小規模農家には、アタッチメントの交換等により幅広い作業ができるような小さい機械が必要になるとし、規模別のそれらの事業を進めて農業生産を下支えしていくことを考えていきたいなどと語った。
その他のパネリストの意見では、▽農業者としてはプラウやディスクハローといった前工程は自動化するとしても、肥料・種の供給などは自動化不要で、全てをロボット化するのはコスト高。人とロボットがうまく分業し、年間を通じた平均労働力やバランス等も考える必要がある▽スマート農業システムは、農業者が土地を引き受けて、耕作放棄地を出さずに生産するためのもの。将来的にはプラウ対応、ポストハーベスタ対応、整地作業対応のロボットトラクタを開発してほしい▽整地作業のロボット化では、レベル3(遠隔監視)での社会実装を推進してほしい。監視作業は人とAIによる複合型監視を行い、圃場間移動は、まずは人による遠隔操作、将来的にはAIによる無人走行ができれば―などが示された。









