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令和7年12月15日発行 第3580号 掲載

「GROUNDBREAKERS AWARD」ファイナリスト決まる/クボタ

 (株)クボタ(北尾裕一社長)は11月25日、都内千代田区の大手町プレイスホール&カンファレンスにおいて、「GROUNDBREAKERS AWARD」予選審査会を開催した(既報、NewsPicks Brand Designとの共催)。これは「農業に、起業家精神を。」をテーマに掲げ、起業家精神を発揮して持続可能な農業に取り組む農業生産者をビジネスの視点から表彰する取り組み。予選審査会では全国から寄せられた100件以上の応募の中から書類審査を通過した農業生産者10名が一堂に会してプレゼンテーションを実施。そのうち5名がGROUNDBREAKERS AWARD最終審査会に出場するファイナリストとして選出された。
 予選審査会に出場した先進的な取り組みを進めている農業生産者10名は次の通り(敬称略、発表順)。(1)嵐俊博((有)嵐農産・石川)(2)村形虹太朗((株)アグロエコロジー取締役(牛部門)・栃木)(3)山本将志郎((株)うめひかり代表・和歌山)(4)小林郁子(柴崎農園代表・群馬)(5)黒澤信彦((株)黒澤ファーム代表取締役・山形)(6)ナカヤチ美昭(野良仕事師集団(株)ちーの(農地所有適格法人)代表取締役・福島)(7)吉川幸一(イシハラフーズ(株)・農産部統括・宮崎)(8)岩崎元気(フランス国家公認醸造士・栃木)(9)木村颯((株)西濃パイロット代表取締役社長・岐阜)(10)三上智暉((有)瑞宝専務取締役、中里町自然農法研究会代表・青森)
 審査の結果、ファイナリストには、(2)村形虹太朗(3)山本将志郎(7)吉川幸一(9)木村颯(10)三上智暉―の5氏が選ばれた。ファイナリスト5名は来年1月16日午後3時より、都内中央区のPOTLUCK YAESU及びWebで開催される「GROUNDBREAKERS AWARD最終審査会」にて最終プレゼンテーションを行う。ここではファイナリスト5名の取り組み概要をみる。
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 〇村形虹太朗氏((株)アグロエコロジー取締役(牛部門)・栃木)
 村形氏は「太陽と地域で創る、次世代の肉牛経営」と題して発表。同社にて畜産事業全般の現場マネジメントを進め、地域資源循環型農業として、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)下での放牧と、おからなど未利用資源100%の自家配合飼料の給与に取り組んでいる。農地の支柱等を立てて太陽光パネルを設置し、発電と農業を同時に行う前者では、牛には夏場の日差しを遮る日陰を提供でき、会社としても環境負荷とコストを低減し、収入が得られるメリットがある。また、後者については、独自技術として(1)おからの乳酸発酵による10カ月もの長期保存技術(2)哺乳用牛乳の常温管理技術(3)市販品を凌駕する自家製スターター(仔牛用離乳食)開発で飼料コストを5~7割減に成功。これらにより食品ロス削減と地域資源循環を進め、事業そのものが地域貢献となる農業モデルを実践している。今後は温室効果ガス削減の見える化やアニマルウェルフェア認証の取得を行い、次世代の肉牛経営モデル構築を図る。
 〇山本将志郎氏((株)うめひかり代表・和歌山)
 全国の梅生産量の65%を占める和歌山県にあるみなべ町で、梅干しを次世代につなぐべく、令和元年に梅としそだけで浸ける梅干し屋うめひかりを開業。全国から新規就農者を募り2年間で「梅ボーイズ」として13名の新規梅農家を誕生させた。調味しない伝統的な製法の梅干しは市場の1割しかなく、100を超えるメディアで紹介されたほか、自身でもSNSなどでレシピを発信。クラウドファンディングで4100万円を集め、新商品開発なども実践。
 地域で年間数千トン廃棄されている梅エキスを加工して梅酢として販売し、年間生産量は60トン、売上高は6000万円に達している。同社は現在年間170トンの梅を生産し、今年の売上高は7億円に届く見込み。今後は機械化と栽培手法の開発に注力し、反当たり平均収穫量2・2トン(地域平均1・2トン)↓5年以内に同4トンを目指すなどの目標を掲げた。
 〇吉川幸一氏(イシハラフーズ(株)・農産部統括・宮崎)
 冷凍野菜製造業者であるイシハラフーズは農業(特別栽培・有機栽培)と冷凍加工、残留農薬検査の3事業を柱として、野菜を全国に出荷している。43年にわたり冷凍野菜の製造を行う同社は、購入原料に供給バラつきや災害リスクなど課題があったことから、農産部を立ち上げ自社直営農場による原料野菜生産に着手。農業参入から23年がたち圃場面積は271ヘクタール、圃場枚数は750枚に拡大した。面積拡大による「作業が管理しきれない・間に合わない」課題に対して栽培管理システムを自社開発し、機械収穫を導入。ホウレンソウや枝豆、里芋などの収穫人数の大幅削減と収量増に成功した。
 さらに畜産農家との協力により堆肥・工場残渣の活用や国産飼料づくりに取り組み、地域で循環型農業モデルを実践。今後は安定供給・農地再生・DX深化・若手教育を進め、新しい統合モデルを構築し日本の農業を再成長させたいと語った。
 〇木村颯氏((株)西濃パイロット代表取締役社長・岐阜)
 前職は証券会社でリテール営業をしていたという木村氏は今年1月に父の跡を継ぎ西農パイロットの社長に就任。土地利用型農業法人の同社は、社員14名で総面積335ヘクタールの大規模経営を行い、水稲237ヘクタール、麦45ヘクタール、大豆50ヘクタール、ブロッコリー3ヘクタールなど多様な作物を効率的に生産。平均面積14アールの圃場2100枚以上を管理し、育苗から乾燥調製まで一貫して行っている。田んぼ3枚30アールからスタートした同社は約30年で1000倍、300ヘクタールのメガファームを経て毎年20ヘクタール規模で農地を集積し、中期目標は500ヘクタールを掲げ、集落営農との分業体制で同社が圃場作業を請け負うと説明。
 長期目標は大垣市の圃場約3分の1を管理する1000ヘクタールのギガファームを目指すとし、世界基準の大規模農家となり、蓄積したノウハウを担い手不足地域に展開して100ヘクタールクラスのメガファームを全国で育てるとともに、従業員の年収1000万円を目指す。そのために、ボトムアップで管理職人材を育成しており、圃場合筆を急ピッチで進めているなどと語った。
 〇三上智暉氏((有)瑞宝専務取締役、中里町自然農法研究会代表・青森)
 水稲50ヘクタール、大豆80ヘクタール、小麦2ヘクタール、ニンニク2ヘクタールなど栽培する全面積で無肥料・無農薬の有機栽培を行い、有機JAS認証を受けた米や味噌、野菜等を販売し、数々の賞を受賞している瑞宝。▽適期作業できずに雑草が繁茂▽収量伸び悩み▽オペレータ不足▽データが可視化できていない―などの課題を踏まえて、クボタや青森県、青森産業技術センターとともに進めている農業DX事業にて、スマート農業を実践。KSASや自動操舵、セクションコントロールを行うスマート農業技術を導入したほか、輪作の見直しなどを行ったところ、有機大豆・有機水稲ともに自動操舵により効率よく除草ができるようになり、収量もともに大きく増加した。
 今後目指す農業として、(1)スマート農機を有効活用した水稲・大豆の除草技術の確立(2)オーガニック需要に対応できるよう各地に拠点設置し雇用につなげる(3)有機面積を5年後200ヘクタール、10年後500ヘクタールに規模拡大し、みどりの食料システム戦略に寄与―などを示した。

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