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令和7年12月8日発行 第3579号 掲載

ヤンマー販売代理店を訪問/機械で拓くアフリカ農業(8)

 AFICATコートジボワール視察の連載8回目は、アビジャン市内にある日本の農機メーカーの販売代理店を訪問したもようを紹介する。視察1日目にヤンマー販売代理店であるATC Comafrique(以下ATC社)、4日目にクボタ販売代理店であるLassire Industrieを訪問し、日本農機における現地普及の取り組みなどを伺い、意見交換を行った。
 ATC社は、ヤンマーによると、コートジボワール最大の企業の1つであるBillon Family財閥のグループ会社として1966年に創業した販売代理店。西アフリカ3カ国に6つの展示拠点と14のサービス拠点を有しており、自動車や農業機械の販売でコートジボワールの経済発展に貢献している。ヤンマーアグリとは2021年に耕うん機の販売から取引を開始し、現在ではトラクタやコンバイン、部品・サービスの供給を実施している。
 ヤンマーアグリはATC社との協業により西アフリカへの農機販売拡大を進めており、今年5月、ヤンマー商品の販売およびサービス業務をATC社に委託する西アフリカの農業発展に向けた協業について合意。2025年度より段階的に各国への販路を拡大し、2035年度にはコートジボワールやガーナなどを含む西アフリカ16カ国で農機販売事業を行うとしている。
 ATC社を訪問したところ、ルーシー・バリー・タヌース社長をはじめ、ベルナール・ワッカーズ副社長など4名が出迎えてくれた。社屋は非常に立派な建物で、1階はヤンマー製のトラクタや耕うん機をはじめ、様々な機械がならぶショールームとなっていた。建物外の敷地にもヤンマー及びニューホランドのトラクタ、コンバインなどが置かれ、巨大な工場も隣接していた。
 タヌース社長は視察団に歓迎の意を表明したのち、まずここがATC社で、別名SIFCOM社でもあると説明。そのうえで、コートジボワールの概要や、SIFCA及びSIFCOMについて、ATC社の概要とヤンマーとの提携について、ヤンマー製農機の販売と今後の展開について説明した。
 説明によると、農業国であるコートジボワールは豊富な天然資源(カカオ、カシューナッツ、天然ゴム、石油、ガス、金など)を持ち、サービス業なども成長しており、今まさに経済発展途上であり、経済的に安定した国であることが特徴。一方で、工業が発展せず、輸入に依存しており、経済の中心地であるアビジャンとそれ以外の地域経済格差が激しく、貧困率が高いなどの課題があるとした。
 そして、ATC社について紹介。同社はSIFCA、SIFCOMの2社で構成されており、SIFCAは、油ヤシ、サトウキビ、天然ゴムの3分野に特化した、コートジボワールのアグリビジネス最大手企業。1964年に創立され、西アフリカを中心とした6カ国に展開し、3万3000人の従業員を有し、2024年の売上高は12億ユーロに達した。また、ゴム分野においてフランス・ミシュラン社と提携するなど、専門分野における世界的なリーダー企業と戦略的提携を構築している。
 一方のSIFCOMは1969年創立。自動車や農業機械、建設機械などを取り扱っており、各国に拠点を持つ。ATC社による自動車事業をはじめ、ITソリューションや、トラック・バス・建設機械、不動産などの事業を展開している。
 自動車の輸入販売事業を展開しているATC社は1966年に創業、同年より日産自動車、1996年よりフォルクスワーゲンと提携。農業機械についてはヤンマーアグリ及びニューホランドの代理店も務めている。現在コートジボワール内ではアビジャン、サンペドロ、マンなどの地域に拠点を構え、アビジャンには7カ所のサービスセンターも運営。タヌース社長は2024年から2025年における農業機械事業について、より戦略的に販売を大規模にしていくと語った。
 プレゼン資料によると、2025年にはグループ会社を含めて工場やサービスセンターなどの拠点を新たに展開しており、新設した農業・産業機器のショールームでは750平方メートルの面積のうち25%をヤンマーにあてているという。
 ヤンマー製農機については、同国農業機械市場におけるブランド別の2024年シェアが9・28%になっており、2023年の4・7%に比べて向上しているデータを示した(1位ニューホランド、2位ケース、3位ジョンディア。このデータは公式代理店経由で販売した数字で、中国メーカーなどの販売実績は含まれていない)。
 ATC社はヤンマー代理店として、耕うん機YZC―Dの販売からスタート。その後徐々に販売機種を増やしていき、普通型コンバインと耕うん機に加えて、2025年からトラクタの販売を開始した。トラクタはEFシリーズやYMシリーズを取り扱っている。少しずつ販売機種を増やしていき、ヤンマー製農機の販売台数は年々増えているという。
 「ニューホランドの重量のあるトラクタは畑作向け、ヤンマーは比較的軽量で米・大豆向けとお互いに補完するものとして導入している」とタヌース氏。これまではカカオやヤシ油の農機に注力していたが、2025年から大豆、米、トウモロコシに力を注いでいるとし、1ヘクタール当たりの生産性をいかに上げるかが重要課題であるため、ヤンマーの新しい技術にも高い関心を持っていると述べた。その例としてドローンによる防除や、ヤンマー及び国際農林水産業研究センター(JIRCAS)が共同開発している深植え栽培などを示した。ヤンマーとは今年西アフリカへの進出を進める提携を結び、今後はコートジボワールを中心に、まずは隣国へ展開を進めていく。2025年に締結した覚書ではコートジボワールを販売・サービスの管理拠点として、その他15カ国へ進出する計画を立てているという。その他、JICAプロジェクトにてヤンマーとともに農業研修や教育などにも協力していることなども示した。
 タヌース社長の説明の後、質疑応答が行われた。主な内容をみると、▽ヤンマーのトラクタで最も多く販売している馬力帯は、39~72馬力でそのうち50馬力と58馬力が最もよく売れている▽稲作は直播のため田植機の取り扱いはない。収穫は90%手作業であり、ヤンマーのコンバインなどを通じて作業習慣自体を変えていこうと努力している▽コンバインユーザーのフィードバックによると非常に生産性が高いと好評。減価償却は2年半で可能。2期作を前提に1期作当たり150ヘクタール、年間300ヘクタール稼働できる▽農機オペレータの教育については重要な課題であるが、そうした教育機関を整備していない▽修理・整備については、社内の技術スタッフが必要に応じて現地に赴いて修理をしている。アビジャンに大規模なスペアパーツ倉庫を有している▽農機ユーザーの近くに拠点を置き、サービスがすぐできる体制を作ろうとしている▽故障したヤンマー製農機の部品が足りず現地で止まっている現状もある。シンガポールの販売拠点に部品を注文するが、そこにもない場合があり、部品が届くまで1~2カ月かかってしまう。まとめて注文するようにしている▽幅広い種類の農機を扱うよりも機種を限定することでスペアパーツ調達やユーザートレーニングも容易になると考える▽ヤンマーのトラクタを取り扱うようになり、ロータリの市場シェアも拡大している▽ヤンマーを選んだ理由は、米・大豆作に力を入れるにあたり、日本の技術が非常にクオリティーが高いことから選んだ。しっかりしたトレーニング体制があるのも理由の1つ▽ヤンマーの機械はユーザーのフィードバックが非常に良い。我々が直接宣伝するよりも、ユーザーの口コミを広めることで新しい顧客を獲得する販売戦略を敷いている―など。
 ATC社がヤンマー製の農機を販売するようになり、現地の米・大豆作を営む農業者から高い評価を受けており、口コミで販売が拡大しているもようが見て取れた。そして、今後はヤンマー製農機をコートジボワールをハブとして、西アフリカの各国へ広く販売していく期待がかかっている。一方で、課題としては故障時のスペアパーツ不足や農機オペレータの教育などがあげられた。
 視察団一行は、タヌース社長らとの意見交換を終えた後、ATC社のショールームや工場を見学し、設置されている農業機械を確認のうえ、熱心に質問していた。
 次回はクボタ販売代理店であるLassire Industrieを訪問したもようをみる。

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