農業機械士全国大会富山大会から:白熱したトラクタ競技/トラクタ・作業機特集

全国農業機械士協議会(小川雅器会長)は11月14日、富山市において第48回農業機械士全国大会富山大会を開催した(既報)。同大会は全国各地の農業機械士や関係者が一堂に会し、農業機械の効率的利用知識や農作業事故防止に関する活動について情報交換・交流・学習を行い、今後の活動に資する目的で実施したもので、全国から農業機械士など約100名が参集した。午前中はスマート農業普及センターにてトラクタ競技会を実施。午後は富山県農協会館に移動して、第50回通常総会と第48回全国大会富山大会式典を開催した。ここでは、午前中に行われたトラクタ競技会についてみる。
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トラクタ競技会は、農業者10万人当たりの農作業死亡事故が全国的に増加傾向にあり、なかでも乗用トラクタによる事故が多くなっていることから、農業者の資質向上と農作業安全意識の高揚を図る目的で開催された。
競技会が行われた富山県のスマート農業普及センターは、担い手農家や営農組織などを対象に、農業機械士養成をはじめ、農業機械やスマート農機、農作業安全などの研修を実施している機関で、スマート農業の技術普及と人材育成を目的に、令和3年に設置された先進施設。ロボットトラクタやドローンなど機械はもちろん、敷地内には農耕用大型特殊自動車や農耕用けん引の免許取得研修が受講できる立派なトラクタ等講習・試験コースが整備され、トラクタ運転競技は同コースで実施された。公道を想定して、直線やカーブの道路とともに、信号や横断歩道、踏切、車庫などが設置されたコースとなっている。
農業機械士全国大会でトラクタ競技会が開催されるのは、平成22年度の「全国トラクター耕競技大会」以来で、公道走行を想定した競技会は今回が初めて。
今回は全国の府県農業機械士組織に属する選手が「トラクタ点検+トレーラけん引運転技能」または「トラクタ点検+トラクタ走行運転技能」に6名ずつ挑み、日頃鍛えたトラクタの運転及び点検の技能を発揮した。これには北は青森から南は沖縄までの全国から、20~60代の幅広い選手12名が出場し、トラクタ運転や点検の腕を競い合い、交流と情報交換を行った。
開会あいさつした全国農業機械士協議会の伊藤一栄会長(当時)は、今回のトラクタ競技会が富山県農業機械士会の青木靖浩会長の尽力のもとで開催の運びになったことに謝意を示し、「青木会長と、このスマート農業普及センターの広い素晴らしいコースをトラクタ競技会で使えるのであれば、全国大会でやるのが面白いと話したのが最初だった」と紹介。そうした経緯を踏まえて、「今日ここに来て、選手の皆さんが集まって大会ができるということは、本当にありがたい」と語った。また、農作業事故については、まだ死亡者数が少なくないことに触れ、「皆さんの技術によって素晴らしい大会になればと思う。今後も地域のために尽力してもらえるように、今日はトラクタの安全運転に力を尽くしてほしい」などと期待を寄せた。その後、来賓と審査員が紹介され、各競技の注意事項を共有したうえで、競技が実施された。
トラクタ走行運転技能及びトレーラけん引の競技は、トラクタの走行にあたり定められたコースで右左折や交差点の通過、方向転換(車庫入れ)、進路変更などを道路交通法に則った適切な方法で行い、いかに安全に走行できるかを競うもの。使用機械はヤンマー製YT357、競技時間は10分間。主な採点ポイントは、安全確認・制動・合図・操行・S字・クランク・車庫入れ・進路変更・競技時間・その他となっており、交通法規の遵守、基本操作技術について審査した。
一方、トラクタ点検競技はトラクタを常に最良の状態に維持・管理するために不可欠な日常点検をいかに正確に行えるかを競うもので、選手1名と記録員1名の2名で実施。日本農業機械化協会刊行の『トラクターの機能と基本操作(改訂版)』に準じて、主催者が指定する10カ所を確認のうえ、そのうち5カ所以内に設定された不良箇所を確認する。使用機械はヰセキ製ATK560及び工具・測定器で、競技時間は10分間。主な採点ポイントは、指定箇所を正確かつ時間内に確認したか・確認の方法、手順及び点検器具の使用方法が適正か・確認の際に安全措置が十分取られているかとした。
競技の結果は、午後の全国大会富山大会式典にて発表され、トラクタ競技会の講評と表彰が行われた。
審査員講評では、「各県からかなり手練れの方が集まったようで、非常に運転に慣れているというのが第一印象。特にトレーラけん引のクランク走行は、あのスピードでよく脱輪せずに走り抜けることができるな、すごいとしか言いようがないと思った次第。ただ、運転に慣れているのは良い面と悪い面があり、今回の競技会ではスピードを出すあまり安全な点が不十分ではないかという選手や、停止線をオーバーする選手がみられた。皆さん地元に戻ったら地域の模範となる人々ばかりなので、上手な運転も結構だが、ぜひ安全な運転を心がけていただきたい」などと評した。
一方、トラクタ点検競技については「点検自体は、大部分の方々が適正に行っており大きな差はなかった。そんな中で、トラクタのドアを開ける際に周囲を十分に確認しない、あるいは車止めを使わない選手もいた。適正な方法で点検をしっかり行い、用具についても適正に使うことをお願いしたい」などと述べた。
そのうえで、最優秀賞に輝いた選手を発表。いずれも運転技術と点検技術を両立した素晴らしい農業機械士だとして、「トラクタ点検+トレーラけん引運転技能」の最優秀賞には手柴章司氏(福岡県農業機械士会)、「トラクタ点検+トラクタ走行運転技能」の最優秀賞には金本哲弥氏(広島県農業機械士協議会)を選出(別項で紹介)。2人には全国農業機械士協議会の小川会長から表彰状が授与された。
最優秀賞受賞者のあいさつでは、手柴氏は「普段乗用車やトラックを運転する際にも幅よせ、巻き込み確認は必ずやっている。楽しく競技をした」、金本氏は「安全に関しては、冬季に雪氷を抑えるための高速道路の塩まきなどに出ているが、そこで指差し確認を確実に行うことを徹底指導されたので、そこで身に着けたことを実施した。普段も指差し確認しながら車を運転することが身についている」などと語った。









