令和5年度スマート農業実証プロジェクト成果から:循環資源農業を実現/トラクタ・作業機特集

農林水産省農林水産技術会議はスマート農業実証プロジェクトの成果について取りまとめてホームページに掲載している。ここでは、その中から令和5年度のスマート農業実証プロジェクトにおける採択実証課題の成果報告から、トラクタ・作業機を活用したスマート農業事例をみる。 【令和5年度スマート農業実証プロジェクト初年度実証成果】
畜産〈(有)トールファームほか(広島県庄原市)〉
▽実証課題名=庄原市におけるスマート農業技術を活用した持続可能な地域資源循環型農業
▽経営概要=145ヘクタール(キャベツ80ヘクタール、青刈りトウモロコシ34ヘクタール、水稲10ヘクタール、稲WCS15ヘクタール、他6ヘクタール)、搾乳牛170頭、育成牛80頭。うち実証面積:青刈りトウモロコシ1ヘクタール、稲WCS1ヘクタール
▽導入技術=(1)GPS ナビキャスタ(2)オートトラクタ+真空播種機(3)オートトラクタ+ハーベスタ、コンビラップ(4)汎用型微細断収穫機(5)RFIDを活用した保管・管理および品質評価
▽目標=畜産農家の輸入飼料使用量(乾物当たり)を40%削減▽飼料コストを18%削減▽耕種農家の稲WCS収穫・調製作業時間の10%削減▽青刈りトウモロコシサイレージ施肥・播種・収穫・調製作業時間の12・5%削減。
▽目標に対する達成状況=自給飼料比率を増加することにより、輸入飼料使用量(乾物当たり)を初年度は39%削減、2年目は31%削減でき、概ね目標を達成。青刈りトウモロコシの施肥・播種・収穫・調製作業時間を20%削減。稲WCSの収穫作業時間を31%削減。
RFIDは5メートル(最長14メートル)での読み取りが可能。収穫時期、播種日、品種、黄熟前後の区分、農薬名称・散布日、水分含量、病害虫被害状況、獣害、雑草などの情報から、利用者が重要視する項目をシステム環境設定で選択できるようにし、生産者がその内容を入力する運用とした。また、クラウド上に蓄積された品質情報はQRコードを通じてスマートフォンから参照可能とした。
▽導入技術の効果
輸入飼料使用量の削減=輸入飼料使用量40%削減のため、自給飼料比率を8%から44%に増加させることを目指し、初年度47%、2年目39%で概ね達成。
青刈りトウモロコシ生産の作業時間削減=GPSナビキャスタ、オートトラクタ、真空播種機、ハーベスタ、コンビラップにより、全体の作業時間が20%削減。オートトラクタと真空播種機による播種作業時間の削減は目標30%削減、結果として66%削減を達成。また、オートトラクタとフォレージハーベスタによる収穫・コンビラップによる調製作業時間の削減は目標10%削減、結果として34%削減を達成。
ロボットトラクタ=従来では畝立てと定植作業は別々に行われていたが、畝立てと定植作業を同時に行うことにより、畝立て・定植作業時間を41~46%削減。
WCS収穫・調製時間の削減=汎用型微細断飼料収穫機による収穫作業は31%削減。
RFIDを活用したトレーサビリティシステム構築=サイレージの生産から給餌までの流れをデータで把握でき、品質の向上や管理の効率化が期待できる。
▽事業終了後の普及のための取り組み
稲WCSは、庄原市農林振興公社がスマート農機やRFIDを活用し、効率的な収穫作業と生産履歴の管理を支援するとともに、大規模農家とも連携を強化し、技術普及を図ることで、高品質な生産と作付面積の拡大を進める。青刈りトウモロコシは、畑地化圃場での輪作体系を構築、農地を集約して団地化を図るとともに、スマート農機の導入・共同利用を庄原市農林振興公社を中心に検討し、地域全体での普及を推進する。









