各社の対応:新製品の売れ行き好調/兵庫県特集

ヤンマーアグリジャパン(株)中部近畿支社(菱谷竜一支社長)の兵庫県管内は、米価の上昇という背景も少なからず影響し、10月頃から農機購入の動きが活発化した。トラ・コン・田の主要3機種はもとより、乾燥機や色彩選別機の荷動きが例年になく旺盛だった。兵庫県を統括する加西事務所の塚本智勝エリアマネージャーは、「昨年の同時期に比べると明らかに違う」と振り返る。
2025年4~9月におけるトラ・コン・田の荷動きは前年同時期と比べて、いずれも増で推移した(台数ベース)。トラクタはこれからも販売台数を伸ばす勢いにあるという。「昨年は苦戦したから」と苦笑する塚本マネージャーだが、米価の上昇がこれほど農家の購買意欲を刺激するものかと思わざるをえない。一方、中小規模および兼業農家の離農は続いている。
トラクタは25~35馬力帯、田植機は4条植え、コンバインは3条刈以上といったクラスが県下のボリュームゾーンとなっている。トラクタはYT2A(23~33馬力)およびYT3R(28~57馬力)シリーズが堅調な売れ行きをみせており、新製品の「YT225A,L リミテッド仕様(25馬力)」の人気が高まっている。
「YT225A,L」は大径タイヤを採用しており、ぬかるみに強く、駆動力と牽引力を向上させている。また、同機は直進アシスト(G仕様)により、ハンドル操作なしでも自動で直進する。オプションでRTKアップグレードキットを使えば、誤差2~3センチという高精度な直進作業ができるので、畦塗りや畦立てにうってつけのトラクタだ。
田植機は4条植えや6条植えの荷動きが活発である。特にYR―DAシリーズの特筆すべき点は、設定通りにピタリと植え付ける苗量アシスト機能があり、旋回後は自動で直進することだ。密苗と組み合わせれば、さらなる低コスト、省力化を実現し、苗の準備を楽にする。これらの特性から主に大規模農家による導入が続いている。
主要3機種以外では、セル仕様のラジコン草刈機「YW500RC,AE(以下、AE)」も好評だった。従来機の「YW500RC,A」も発売と同時に注目を集めて導入件数を伸ばしたが、さらにAEでは送信機のセルスイッチ操作で、本機より離れた安全な場所からエンジンを始動できるようになった。
また、走行部はクローラのため、斜面でも安定した作業を実現。同機を中心にその場で旋回できるので、方向転換も容易である。なお、両機ともにみどり投資促進税制対象機種となっている。塚本マネージャーは、「様々なシーンで使えるラジコン草刈機として、良い荷動きをみせている。周辺に草はないが、動いている様子だけでもみてほしい」と、AEを記者に披露してくれた。
今期の見通しについては、「現時点では計画以上で推移している。米価の上昇もあり、このまま推移すると推察する。農機の拡販もそうだが、敷地内にある中播アグリサポートセンターでアフターサービスの充実も図る。農繁期のマシンダウンをゼロにすべく、時期前点検を徹底している」と力を込める。
三菱農機販売(株)西日本支社(長島史治支社長)近畿支店(兵庫県丹波篠山市)はこれまで、本機(トラクタ、田植機、コンバイン)の販売について好調に推移した。2025年4~10月は前年同時期に比べて、トラクタが増、田植機は減であったが、コンバインは大幅な増で推移した(台数ベース)。田植機は昨年に8条植えクラスが集中的に売れたこともあり、今年は苦戦した。
トラクタは15、23、55馬力、田植機は5条植え、コンバインは5条刈といったクラスが同社管内で活発な荷動きをみせた。
具体的なトラクタの機種はGFA15(15馬力)、XS(クロスエス)23(23馬力)、GA552(54・4馬力)であった。2024年の11月に発売したコンパクトトラクタ「XSシリーズ(18~25馬力)」は、狭い圃場やハウス内でも使える取り回しの良さが好評を博している。
一方、「コンバインは大型クラスの更新時期や、大規模担い手農家の子息が跡を継ぐ時期などと重なり、今年度の売上げを牽引した。特に、『V575A(5条刈・73・5馬力)』がよく売れた」と兵庫県を統括する勝井正純支店長は話す。田植機は不調だったが、LE50(5条植え)が堅調だ。
本機以外では保冷庫や乾燥機の動きがよかった。また、ディスクハロー「KUSANAGI Plus」が従来機に続き注目を集めている。勝井支店長は、「これから本格的に実演を行っていく。今週もたつの市での実演を控えている。重要な土作り作業におけるスピードアップと省力化を同機で実現する。ちなみに淡路島では、従来機のKUSANAGIが人気だ」と話す。
KUSANAGI Plusは60~105馬力のトラクタに適応する。同社のHPでは同機の実演依頼を受け付けている。
営業面では、KUSANAGIやKUSANAGI Plusのほか、作業機をトラクタに付けた実演を通じて農機の拡販を図る。新規開拓に当たっては、既存顧客からの紹介を随時受けることによって、種まきをしているという。イベントについては、特に大きな展示会は開催せず、拠点単位で小物商品の展示会や紙面展示会を行い、県内JAの展示会にも積極的に参加している。
今期の見通しについて勝井支店長は、「トラクタは25~30馬力、田植機は4条植え、コンバインは2条刈。これら以下のクラスは減少傾向にある。今の3万円を超えた米価が続けば、農家さんも何とか営農を継続できると拝察する」と話す。
続けて「弊社製品もそうだが、製品価格の改定は売る側としては心苦しい。しかし、価格の変化はチャンスでもあると考える。受注生産が多いなか、今後は製品の確保を視野に入れて、見込み客には早めに注文をいただくなど、先回りの動きをしたい。決算期の3月まではこのまま順調に推移しそうだ」と力を込める。









