各社の動き:大型主要機の動き活発/青森県特集

(株)みちのくクボタは南部地方、津軽地方ともに全体の実績は好調だ。米価高騰の影響で農家の購買意欲が高まっており、米、畑作、果樹それぞれの関連機械の販売台数を順調に伸ばしている。乾燥機や色彩選別機といった米関連製品も人気があり、品薄状態が続いている。
南部地方は田植機、コンバインが好調。トラクタは80~115PSの大型が主流になっている。 十和田事務所の佐藤和也青森第2営業部長は「増設の依頼が増えている。主要機は一家に複数台という農家がほとんど。各メーカーと連携しながら、いま販売できる商品を前面にPRしていく。米、畑作両面で受注できるものはすべて取っていきたい」と話した。
津軽地方は主要3機種それぞれ好調。トラクタは30~60PSが主体だ。米は移植だけでなく直播栽培も普及。1軒当たりの耕作面積がますます増えてきている。省力化・低コスト化の観点から乾田直播が注目されており、各地での実演を進めている。
青森事務所の菅原強一青森第1営業部長は「購買意欲の高まりでセールスが提案しなくても、お客様のほうから買いたいと言ってくれるようになった。ただ来年以降、米価がどうなるか。その反動が心配だ。即納できる機械が限られている中で、基本に立ち返り、訪問を強化していきたい」と意気込んだ。
3月に青森県内の各営業所で早春祭を開催したほか、6月の「アグリスマイルフェア2025」では値上げ前の駆け込み需要が見られた。ドローン、直進アシスト、自動操舵といったスマート農機を中心に実演し、来場者の興味を引き付けた。
新たな取り組みとして、実演メーンの展示会に加えて「紙上展示会」を開催した。近年、想定を超える豪雪で展示会が開催できないケースがあり、開催しなくても業績を伸ばせるようにするために紙上展示会を思いついた。
紙上展示会では、製品情報を掲載したチラシやDMを農家に手配りする。主要3機種だけでなく、草刈機、管理機、チェンソー、建設機械、作業ウエアなど幅広い製品を提案した。
農業従事者の高齢化が進む中、紙媒体はまだまだ効果が絶大で反響が良いのだという。チラシを渡してその場で購入してくれる人も多い。確実に農機の購入に結びついており、訴求の場となっている。今後も続けていく方針だ。
今年から青森、岩手両県に「営業企画部」を新設した。これまでは本社(岩手県花巻市)の営業企画部から各県に指示を出していたが、青森、岩手それぞれの市場にマッチした、内容の濃い企画を提案できるようにとの思いを込めた。紙上展示会もその取り組みの一つだ。
ヤンマーアグリジャパン(株)北東北営業部津軽ブロックは昨年度の実績を超え、計画をクリアした。主要3機種はトラクタ、コンバインが好調で田植機は平年並みで推移している。
トラクタは50PSが主流。昨年10月以降の米価高騰で農家の購買意欲が高まっており、機械の増設を検討する人が多いそうだ。農家の景気が良いことからメンテナンス・修理の依頼も増加している。
須藤寿美エリアマネージャーは「昨年の時点では、米価の先行きが分からないという理由から投資をしない人も多かった。しかし、今年は春先から注文が増えた。できればこのままの状況が続いてほしいが、来年以降の反動が心配だ」と話す。
密苗仕様機が普及している。ヤンマーの密苗は稲作の低コスト化と省力化を実現する栽培技術。栽培管理が慣行栽培とほぼ変わらず、規模や地域、品種に関係なく導入できる。
6月に鶴田町で開いた「ヤンマー大展示会」で密苗仕様機を展示、写真展示やミニ講習会で密苗の取り組みをPRした。
スマート農機は直進アシストや後付け自動操舵、ドローンの販売台数を伸ばしている。県内一円でRTK基地局の運用が進んでおり、導入事例は年々増えている。
今春からY―POINT(ワイポイント)を開始した。ヤンマーが提供する高品質のRTK位置補正情報サービス。作業精度が大幅に向上し、より安定・確実な作業を可能にする。
VRS(Virtual Reference Station)方式を採用し、国土地理院が管理する電子基準点から生成される補正情報を使用して位置測位の精度を高める。エリア制限がなく品質の高い情報を受信できるのが特徴。
須藤マネージャーは「年度末に向けてトラクタ、コンバインの販促を進めるとともに、スマート農機のさらなる普及に取り組み、Y―POINTの周知を図っていきたい」と意気込んだ。
続いて青森ブロック。今年度の実績は順調に推移している。主要3機種も密苗仕様機を含めてそれぞれ好調。トラクタは30PSから100PS以上の大型まで幅広く普及している。南部地域は畑作がメーンだが、昨秋からの米価高騰の影響で水稲関連の機械の動きが旺盛だという。
横濱良隆エリアマネージャーは「農家がこれまで我慢していた分、一気に投資するようになってきた。乾燥機や色彩選別機といった米関連の製品も好調」と振り返った。
今年は青森事務所で3月と11月に展示会を開催。展示会場では主要3機種をはじめ、スマート農機を中心にアピールした。自動操舵、直進アシスト、ドローンを中心に普及が進んでいるのは津軽地方と同じ傾向だ。年々スマート農機が定着し、導入に抵抗がある人が減ってきているという。
修理・メンテナンスは年間を通して依頼がある。ダイコン、ナガイモ、ニンジン、ニンニクなど多種多様な収穫機が整備工場にずらりと並ぶ光景は南部地方ならではだ。
横濱マネージャーは「来年、米の概算金が出た時にどの程度落ち込むのか不安がある。実演や訪問の回数を増やし、現場へのサービス対応をさらに強化していきたい」と強調した。
(株)ISEKI Japan東北カンパニー青森営業部の全体の実績は好調。米価高騰の影響で農機の販売だけでなく、修理や整備の依頼が急増している。
主要3機種もそれぞれ順調。これまでは農地の大規模化が進む中で、大型農機の動きが旺盛だった。田植機は6~7条、コンバインは4条クラスが伸び悩む傾向にあったが、今年は大型、中型ともに動きが良かった。
トラクタは50~60PSが主流。主力のBFトラクタは青森県内でも高評価だ。見た目のかっこよさだけでなく、HST無段変速機能や乗り心地の良さが受け入れられているという。
青森営業部の成田友洋部長は「お客様だけでなく、当社の従業員からの評価も高く、自信を持ってセールスできる製品」と胸を張った。
草刈機や刈払機も好調で、草刈機は乗用や手押しなど様々なタイプが売れている。ラジコン草刈機の実演の依頼が増えており、使用頻度が高く、手に届きやすい草刈機は今後さらに普及していくとみる。
スマート農機は補助事業を活用しなくても、使い勝手を重視して購入する人が増えた。導入への抵抗が次第になくなり、省力化の観点から注目度が日増しに高まっている。
今年3月から発売開始した自動抑草ロボット「アイガモロボ2」は、今年分は完売したが、来年以降の注文を受け付けており、好評を博している。従来機よりも安価で軽量になり、導入しやすくなり、大規模農家だけでなく、個人農家からの注文が増えた。
同機はこのほど、農機の電動化促進を目的とした、環境省の二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金の対象機械に認定された。電動農機の販売価格と対応する従来型の農機の販売価格の差額の3分の2を受け取ることができる。
3月に拠点別の展示会を開催。6月に津軽で開いた展示会は値上げ前の駆け込み需要で来場者・実績ともに好調だった。7月の南部合同展示会はその反動が見られたものの、展示会の開催が確実に農機の購入に結びついている。
好調の修理・メンテナンスでは、部分修理から全体修理にシフトする傾向が見られる。殺到するリクエストに的確に応え、効率よく作業できるよう体制を整えていく。
「売りたくてもモノがなく、入荷を待つしかない状態。半年~1年先を見越して注文を取っていかないと追いつかない。お客様の理解を得ながら、いま用意できる製品の性能や特徴を丁寧に説明してアピールしていきたい」と成田部長。
三菱農機販売(株)東北支社北東北支店の全体の実績は前年並みに推移している。トラクタは15~55PSの中・小型が主体。大型は苦戦している。
農地の集約が進んでおり、コンバインは5~6条がメーン、田植機は津軽地方は8条ペースト施肥仕様機が、南部地方は4条クラスに動きがあるという。
環境保全と無農薬栽培・有機栽培の規模拡大を後押ししている。ペースト施肥はマイクロプラスチックを使わず、活着が良好。環境への配慮はもちろん、追肥や掃除の手間を軽減し、稲の生育にとっても良いことづくし。有機肥料のペーストがあり、有機栽培にも取り組める。
この他、紙マルチ田植えが普及している。再生紙を敷きながら植え付けすることで、除草作業の大幅な省力化を実現。
再生紙マルチ田植機から敷設された紙が田面への日光の通過を遮断するため、雑草の生長を抑制。田植え後から約1カ月間は、除草剤を使わずに雑草の伸長・繁茂を抑えることができる。
8月に高速作業機ディスクハロー「KUSANAGI(クサナギ)Plus MDH2022」を発売した。従来機「KUSANAGI MDH1820」は、45~60PSトラクタ向けに独自開発した高速ディスクハローとして好評を博し、これまでに累計400台以上を販売。
新型は従来機の設計をベースに、作業幅の拡大に合わせてディスクの枚数を増やし、前後のディスクピッチを150ミリ拡大。土の塊を適度な大きさに剪断し、空気、土、残渣を混ぜ合わせて分解することで従来よりも早く、強く、効率的な粗耕起作業が可能になった。
青森県内でも高速作業、反転性能、燃料消費の観点から高評価で、実演の要請が増えている。ただ、霜が降りると土の水分量が増えて、実演には不向きとなり、天候次第では中止になることも。最適な実演時期は4月~10月中旬頃。時期や天候を見極めながら、より多くの実演を展開していく。
吉田司支店長は「米価高騰で購買意欲が高まっている中、商材そのものが品薄状態になっており、なかなか商機に結びついていないのが現状。修理・メンテナンスを強化しつつ、ペースト施肥や紙マルチ田植機など独自の取り組みを引き続きPRしていきたい」と話した。









