市場概況:水田農業再構築へ/青森県特集

青森県は日本海・津軽海峡および太平洋と三面を海に囲まれ、中央には大型の内湾である陸奥湾をかかえている。県の中央部には奥羽山脈が連なり、海域や地形が複雑なことから、同じ県内でも地域によって気候が大きく異なる。
日本海側に位置している津軽地方は夏は比較的好天に恵まれ、冬は大陸からの冷たい季節風の影響により雪が多いのが特徴だ。
太平洋側に位置している南部地方は、オホーツク海に発達する高気圧の影響により、春の終わりから夏にかけて冷たいヤマセ(偏東風)が吹き、冬は晴天の日が多く雪が少ない。
2023年の農業産出額は3466億円で東北第1位(全国第7位)。内訳はリンゴ1033億円、米511億円、ヤマノイモ158億円、ニンニク116億円、ゴボウ78億円。リンゴ、ニンニク、ゴボウは収穫量全国1位である。
津軽地方では米とリンゴ、南部地方では米、畜産、野菜(主に根菜類)が重要な地位を占めている。県全体の農業産出額の主要部門別構成割合は多い順に、リンゴ主体の果実33%、畜産31%、野菜21%、米13%でバランスの取れた構成となっている。
リンゴは、国内生産量の約6割を占めており、販売額では9年連続で1000億円を超え、台湾を中心に年間約3万3000トン(2022年産)を輸出している。
消費者起点に立った安全・安心で優れた県産農林水産物や加工品を生産し、売り込んでいく販売を重視した振興策「攻めの農林水産業」を展開している。
県産米で初めて特A評価を取得した「青天の霹靂」や、業務用としての評価が高い「まっしぐら」が主力品種となっている。水田農業の再構築に向けて、「青天の霹靂」のブランド力の強化や新規需要米、高収益作物等の導入による需要に応じた生産を推進している。
青森県では2024年度から「あおもり農業DX推進事業」を進めている。生産年齢人口の減少に伴い、農業分野での労働力不足が深刻化している。スマート化が遅れ、従来の農作業体系では現状の農地面積、生産量の維持が難しい。農業者への技術指導を担う普及指導員が減少傾向で、現地での十分な指導時間の確保にも課題がある。
そこで青森県に適した農業DX推進事業に取り組むことで、県農業の持続的発展を目指している。生産者や研究機関、民間企業からなるコンソーシアムを組織し、デジタル技術の実証を進めるとともに、デジタル人材の確保・育成やデータ駆動型の普及指導体制を構築している。
コンソーシアムに対する農業DXを推進するとともに、農作業の効率化や農業利益の最大化に資する取り組みを実証委託。昨年の委託内容は▽スマート農機を活用した大豆の労働時間削減▽生産管理システムを活用したニンニクの低コスト生産技術▽スマート農機を活用した土地利用型作物の省力作業技術―など。
この他、世界の農業生産国の農業を学ぶために、普及指導員を対象とした先進地視察や、指導者向けの人材育成研修などを実施している。
スマート農機の販売台数は、県の補助事業の活用などにより増加傾向。機種別では多い順に自動圃場水管理システム、自動直進田植機、ドローン、自動操舵トラクタが普及している。
青森県農林水産部農林水産政策課の相馬宏伊課長は「スマート農機の導入事例を丁寧に分析し、農家にとって過剰投資にならないように経営指導にも力を入れていきたい」と話した。









