都市に農空間を創出/都市農地活用支援センターが講演会

一般財団法人都市農地活用支援センター(松田紀子理事長)は11日、都内渋谷区の東京ウィメンズプラザホールで定期講演会2025「都市における農空間の創出 農のあるまちづくりのすそ野を広げる」を開催した(Web併催)。
同講演会は、都市における農地の役割や利用・保全のあり方を考えることを目的に毎年開催しているもので、今年は、農のあるまちづくりの裾野を広げていくために必要な視点をテーマに取り上げた。第1部では国土交通省および農林水産省からの情報提供、第2部では新保奈穂美氏(東京大学空間情報科学研究センター准教授)による基調講演「都市における農空間の創出に向けた世界的潮流と日本における課題」、第3部は実践者や専門家によるパネルディスカッション「都市における農空間創出のコレカラ」の3部構成。
最初に国土交通省が、都市農地の計画的保全のため税制措置を講じる生産緑地制度や、民間組織による緑地創出の取り組みを促進する市民緑地認定制度の説明などを行った。これに続き農林水産省からは、都市農業・都市農地をめぐる状況が報告された。都市農地面積は全国農地の1・3%に過ぎないが、農業産出額は6・2%で、面積の割には大きなシェアを占めている。また、都市住民を対象としたアンケート調査では、都市農地の保全を求める意見が3分の2にのぼる。このような現状を背景に、近年は都市農業振興基本法および都市農地貸借法の制定や生産緑地法の改正が行われ、都市住民と共生する農業経営の実現に向け、法整備が進んでいることなどを示した。
基調講演では新保氏が、海外の都市型農園の例として、ドイツのクラインガルテンなどを紹介。「最近は、欧米だけでなくアジアでも、都市に農空間を創出することを推進する動きがある」とし、特にシンガポールでは、都市型農園の設置を国策として進めていることなどを報告した。
日本においては、土地を手放したくはないが農業以外で生計を立てたい農家と、農に触れたい住民の願望が合わさり、市民農園が誕生・拡大していったとし、コロナ禍で外出自粛や在宅ワークが増えたことを契機に、都市住民の農への関心が一層高まった結果、農家や企業が運営する体験農園、市民が中心となり地域の空き地を活用するコミュニティガーデンなど、バリエーション豊かな都市型農園が誕生していると分析した。
都市型農園には、食料安全保障、生物多様性保全、資源循環、環境教育、健康維持、防災・減災など様々な意義がある。しかし一方で、立ち上げる主体や使用する土地の条件によって、アプローチ方法や支援の有無が異なることや、関係主体による公益性の理解がまちまちで、計画が進みにくいことを課題として指摘。その解決策として、▽相談窓口の創設など、個々のノウハウの蓄積や共有化を進めること▽既存事例(兵庫県神戸市の「食都神戸戦略」、東京都日野市の「農のあるまちづくり計画書」など)を参考に、横断的・包括的な食や農の都市ビジョン・戦略の可能性を検討していくこと―が有効であるなどとした。









