イチゴのスマート農業技術研修会/農研機構九州沖縄農業研究センター

農研機構九州沖縄農業研究センターは5日、福岡県の同センター筑後・久留米研究拠点及びWebにて、令和7年度第1回農研機構植物工場九州実証拠点スマートグリーンハウス展開推進研修会「イチゴ生産におけるスマート農業技術の最新動向と研修」を開催した。
農林水産省の令和7年度事業「スマートグリーンハウス展開推進」に係る研修業務の一環で実施したもの。
イチゴの栽培管理技術者の技術向上や新規就農者への情報提供を目的として、イチゴ生産・調製・販売におけるスマート農業技術の最新動向を紹介。データを活用したイチゴ栽培やイチゴ輸出の取り組み、イチゴ自動収穫ロボットの開発について講演が行われた。
また、講演終了後、同センター久留米研究拠点のイチゴ栽培施設において実地研修を実施。同センター研究員による局所CO2施用技術ならびにイチゴ自動収穫ロボットの研修が行われ、参加者の関心を集めた。
研修会前半は、(1)長崎県でのデータ駆動型いちご栽培の実証と普及(長崎県農林部農業イノベーション推進室技術普及・高度化支援班主任技師・松本尚之氏)(2)うるう農園のいちご輸出取組((株)うるう農園取締役、(株)UluuJapan代表取締役・古賀百伽氏)(3)AIイチゴ自動収穫ロボットの開発と今後((株)アイナックシステム取締役・高田樹彦氏)―の3講演を実施。
そのうち松本氏は、長崎県内におけるデータ駆動型イチゴ栽培の取り組みを紹介した。松本氏によると、県内の炭酸ガス発生装置の普及率は栽培面積でイチゴ47%、トマト34%、モニタリング装置の普及率はイチゴ15%、トマト17%となっており、半数を切っている状況。
そのうえで、県内で環境制御技術の実証を行った事例として4事例をあげ、そのうちJAながさき西海いちご部会は、平成29年に県内初の環境制御勉強会が設立され、「ゆめのか」への品種転換と環境制御(炭酸ガス施用)導入により単収が増加した。勉強会の平均単収は令和2年に10アール当たり6746キロとなり平成28年に比べ51%増加。環境制御を導入する担い手世代も増収しているという。課題としては、令和以降に加入した会員が増収を実感できていないことなどをあげ、対策として今後さらに初心者支援を手厚くすることなどを示した。
一方、高田氏はアイナックシステム社が開発したAIイチゴ自動収穫ロボットを紹介した。久留米市にある同社は、工場と農業の自動化を手がけており、そのうちスマート農業では、AIイチゴ自動収穫ロボット「ロボつみ」や大規模農場灌水システム、局所土壌ヒーターシステムなどを展開している。
ロボつみは、事前設定したルートをトラロープに沿って自動走行し、AIでイチゴを評価のうえ収穫に適した実を選定。果実収穫ハンドで優しく摘み取り、優しく置くロボットとなっている。現状の施設と栽培方法に適用でき、最低限の設備投資で導入できることを開発コンセプトとし、既に農研機構九州沖縄農研センターをはじめ、福岡県農林業総合試験場筑後分場などへの納入実績があることを示した。今後は収穫カゴ自動交換システムを開発し、ロボつみとカゴ交換台車が収穫カゴ集積場所まで自動搬送する計画などに取り組む。









