カンショ栽培に生分解性マルチ導入/関東農政局・みどりの食料システム戦略勉強会

関東農政局は12日、みどりの食料システム戦略勉強会(第37回)をオンラインで開催した。これは、関東農政局が同戦略に関係するテーマについて毎月開催しているもので、11月から2回にわたり「環境にやさしく省力化に資する新たな栽培技術」をテーマに取り上げている。今回は、生分解性マルチの導入検証に取り組んだ、茨城県結城市のかんしょ生産安定協議会と、茨城県下妻市の下妻市かんしょ栽培普及協議会が、その結果を報告。また、農研機構農業環境研究部門上級研究員の植田浩一氏がコメンテーターとして参加した。
最初に登壇した結城市のかんしょ生産安定協議会は、生分解性マルチ導入の背景として、地域でのカンショ栽培が進んでいるが、既存品目であるレタスやハクサイと定植や収穫の時期が重なるため、省力化が課題であったと説明。令和4年度に、地域に適した生分解性マルチの検討を開始した。生分解性マルチ3製品(カエルーチ、ビオフレックスマルチ、スーパードロン)をカンショ「べにはるか」に使用し、それぞれのマルチ分解程度や生育・収穫状況、導入による経営への影響などの現地試験を実施した。
その結果、マルチ分解速度が最も速いスーパードロンが同地域に適しているとした。経営的には、10アール当たり5・2時間の労働力削減につながった一方、経費は5350円増加。これらの結果から「作業負担が大きい時期に絞った導入も有効である」などとした。
続いて登壇した下妻市かんしょ栽培普及協議会は、生分解性マルチの活用による農作業の省力・軽労化を検証し、その結果をカンショ栽培の実用化マニュアルに事例として掲載して地域に普及させることを目的に、導入検証に取り組んだ。令和4~5年度に、生分解性マルチ(エコロームFC、スーパードロン、サンバイオ)を使った検証を実施。その結果、従来のポリマルチに比べて、全製品で除去や回収の手間が削減したが、中でもスーパードロンが、扱いやすさや栽培期間中の崩壊性、収益など、総合的に高い評価を得たとした。
最後に植田氏が、農研機構の取り組みとして▽生分解性プラスチック分解酵素の開発・研究▽生分解性マルチの分解性の評価▽生分解性マルチの普及に資する情報の収集・発信―などを紹介。省力化の例として、マルチ回収作業にかかる作業が、従来のポリマルチでは(1)作物残渣除去(2)マルチはがし(3)砂払(4)折り畳み(5)回収除去後の耕うん―の5工程であるのに対し、生分解性マルチでは(1)すき込みのみの1工程で済むことや、作物種や畝の形状にかかわらず、作業時間を平均7割程度削減できることなどをデータで示した。また、生分解性マルチを使用した農家へのアンケート調査によると、8割以上が「また使いたい」と回答していることから、「生分解性マルチは1度使うと続けて使いたくなる資材だ」と述べ、いかに農家に使い始めてもらうかが課題であるとした。









