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令和7年11月10日発行 第3575号 掲載

環境調和する農業へ/北海道大学スマート農業教育拠点がオンライン研修

 北海道大学スマート農業教育拠点は10月から来年1月まで、全10回のスマート農業オンライン研修を実施している。農林水産省令和7年度スマート農業教育推進委託事業で開催しているもの。10月21日には第1回目として、農林水産省大臣官房みどりの食料システム戦略グループ環境企画班環境企画係長・清水里紗氏による講演が行われた。清水氏は「環境と調和のとれた食料・農林水産業の実現に向けて」と題して、同省が推進している「みどりの食料システム戦略」について紹介。同戦略の概要をはじめ、策定の背景や戦略実現を支える主な制度、実現に向けた取り組み、国内外への発信などを説明した。スマート農業との関係については、農業の生産性を高めて経営を持続的に成長させていく手段の1つであるとした。
 みどり戦略策定の背景は、まず世界の状況として2024年の世界の平均気温が記録の残る1850年以降で最高を記録したことや、世界中で高温、大雨・洪水、熱帯低気圧などの異常気象による被害が深刻化していることを示した。地球温暖化の要因である温室効果ガス(GHG)排出量が世界全体で590億トン(CO2換算)あり、このうち農林業その他土地利用による排出が22%を占めることから、世界各国で削減に取り組んでいると指摘。また、日本においても高温による水稲・果実の品質低下など気候変動被害が出ており、自然災害が激甚化。日本のGHG排出量10・71億トンのうち農林水産分野は5103万トン(全体の4・8%)となっており、農業分野からは水田や家畜のゲップ等によるメタンの排出や、農用地の土壌、家畜排せつ物管理等による一酸化二窒素の排出などがあるとした。
 一方で、農業における環境へのプラスの影響として、生物多様性の保全に大きな役割を果たしていることを示し、例として水田における生物多様性保全の取り組みが多様な生物種の増加に寄与していると述べた。また、農業経営をめぐる状況をみると、農業生産資材価格が上昇しており厳しい情勢にあると指摘。
 これらの状況を踏まえて、国は持続可能な食料システムの確立に向け、「みどりの食料システム戦略」を策定。2050年までに14のKPIを達成することを目指して、調達から生産、加工・流通、消費までサプライチェーン全体で環境に与える負荷を減らしていく取り組みを進めるとし、それに欠かせないのがイノベーション、スマート農業のような技術革新であるとした。みどり戦略では技術の力で農林水産業の生産力の向上と持続性の2つを両立していくことを目指している。
 その実現を支える仕組みとして、昨年改正された食料・農業・農村基本法に「環境と調和のとれた食料システムの確立」が明記され、あらゆる農政に環境の視点を取り入れていくことを例示。例として補助事業に対する環境配慮のチェック・要件化などを紹介した。
 その他、同戦略の実現に向けた取り組みとして、みどりの食料システム法とそれに基づく生産者や基盤確立事業の認定、みどりの食料システム戦略推進交付金の活用、有機農業の取り組み拡大、農業分野のJ―クレジットの推進、環境負荷低減の取り組みの「見える化」などをあげて詳説。国内外への発信では、食料安全保障に資するGHG排出削減技術の海外展開を後押しする農林水産分野GHG排出削減技術海外展開パッケージ(通称:MIDORI∞INFINITY)の取り組みや、サステナブルな消費や生産の取り組み動画を募集する「サステナアワード」を開催している旨などを説明した。

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