土壌微生物機能制御・利用の研究/クボタ

東京大学大学院農学生命科学研究科、(株)クボタ(北尾裕一社長)およびパナソニックホールディングス(株)は、土壌微生物機能制御・利用学に関する研究を開始する。この研究は、東京大学微生物科学イノベーション連携研究機構(CRIIM)に2025年4月1日付で設立した「土壌微生物機能制御・利用学社会連携研究部門」において実施する。クボタおよびパナソニックHDがそれぞれの研究テーマに基づき、東京大学と共同して土壌微生物の生態系機能の解明とその応用に取り組み、持続可能な社会の実現に向けた研究を推進する。
土壌は陸上生態系の基盤であり、食料生産を支えている。土壌には多種多様な微生物が生息しており、枯れた植物や堆肥などの有機物を分解して植物の生育に必要な養分を生成するほか、植物生育環境の向上や温室効果ガスの生成・消去に関わるなど、農業において重要な役割を担っている。
こうした土壌の生物的機能を明らかにし、制御・利用することは、土壌の健全性を維持し、人類の持続的な存続を実現するための重要な課題である。
この研究では、土壌中に生息する微生物群が有する物質変換機能や生物間作用などの生態系機能を解析し、それを制御・利用することにより、農薬や化学肥料の投入を最小限に抑え、環境負荷低減ならびに地球温暖化抑止に寄与する作物生産技術を開発することを共通課題として研究活動を進めていく。
研究課題は、クボタは「水田における土壌微生物の窒素・炭素変換機能を制御することにより水稲生産における窒素肥料低減とメタン削減を実現する技術の開発と社会実装」、パナソニックHDは「ほ場内において野菜の生育に差異をもたらす原因となる土壌微生物群の生態系機能の解明と、生育向上を目指した制御法の開発」で、研究目的および期待できる成果は、化学肥料の製造・運搬・散布による化石エネルギー消費、大量の窒素肥料施用による環境汚染、農地土壌からの温室効果ガス排出など、現代農業が抱える地球規模の環境問題に対し、土壌微生物群の機能制御・利用という新たなアプローチで解決を目指す。これにより、革新的な農業技術の開発と学術的基盤の構築を推進する、としている。
クボタは、2021年に長期ビジョン「GMB2030」を策定し、食料・水・環境の分野における事業を通じた環境・社会課題の解決によって「豊かな社会と自然の循環にコミットする命を支えるプラットフォーマー」を目指している。その一環として、東京大学と2021年に産学協創協定を締結し、「100年後の地球にできること」をテーマに、社会連携講座の開設など共同研究と人材育成、人材交流を推進している。
農業分野では、持続可能な農業の実現に向けたカーボンニュートラルなどの環境負荷低減のためのイノベーションが求められている。本研究を通じて、温室効果ガスの排出削減および化学肥料の使用低減を推進し、カーボンニュートラルでレジリエントな社会の実現に貢献していく。
パナソニックHD技術部門では、研究開発の方向性を示す「技術未来ビジョン」を2024年に策定し、多様な技術やアイデアを持つ企業・組織との対話・共創活動を通じて、社会に必要とされる技術や新たなビジネスの社会実装に取り組んでいる。このビジョンの中で、「私たちは資源価値の最大化を掲げて、これまで十分に活用されてこなかった資源に新たな視点を与えることや、循環型社会の構築に貢献することを目指しています。中でも土壌は、微生物という見えない資源を内包する重要な自然資本であり、持続可能な農業、炭素固定、環境修復など、様々な社会課題の解決に寄与する可能性を持っていると考えています。本研究を通じて、土壌の価値を最大化し、次世代の資源循環の構築や環境制御技術の高度化を推進してまいります」としている。









