農業省の稲作振興の取り組み/機械で拓くアフリカ農業(6)

AFICATコートジボワール視察の連載6回目は、同国のAFICAT委員会メンバー機関である農業省を表敬したもようを紹介する。AFICAT(日・アフリカ農業イノベーションセンター)はJICAが推進し、アフリカ諸国における先進農業技術の導入促進を官民連携で実施する事業であり、対象各国では現地活動の実施部隊や日本企業の受け入れ、問い合わせ窓口としてAFICAT委員会を設立している。コートジボワールでは農業省の機械課担当局・稲作局、米政策の実施機関であるコメセクター開発機構(ADERIZ)、民間セクターの代表であるコートジボワール商工会議所(CCI―CI)を中心に、その他国立農業研究センターやJICAコートジボワール事務所など様々な機関がAFICAT委員会に参画。今回の視察では、そのうち農業省、ADERIZ、CCI―CIを表敬訪問して意見交換を行ったほか、視察最終日に、委員会メンバーと日本技術の導入を促進するための方策などを協議するワークショップを実施した。コートジボワール農業省は、国の農政を司る機関。アフリカ有数の農業国である同国にとって、農業は経済を牽引する基幹産業であり、農業に従事する人口は全体の約50%を占め、GDPの約20%、輸出の大部分を占めていることから、農業省としても農業振興に尽力している。第1回連載でも示した通り、農業政策として第2次国家農業投資計画(2018―2025)や国家稲作振興戦略2(2020―2030)、国家農業機械化戦略(2015―2020)を推進。国家稲作振興戦略2では2025年までの高品質米による自給達成と、2030年までの米の大規模輸出国化を目標に据え、新たな戦略の柱として灌漑水田の振興や整備による効率的な稲作開発、高収量品種の導入、稲作バリューチェーンの機械化促進を通じて米の生産性を高めていくとしている。また、国家農業機械化戦略では機械化サービスを提供する農機サービスプロバイダーと連携して農業機械化を進め、農機サービスプロバイダーが農民への賃耕を行う形態を推進。今回は同国の稲作における農業機械化について、機械化の歩みや農業省の取り組み、課題と対策などを意見交換した。農業省からは農村開発総局長のロドリグ・ンゲッサン氏、稲作振興総局長のカスム・カラモコ氏、米生産局長のべ・メダール氏らが対応した。ロドリグ氏は「皆さんが今ここにいることがまさに両国の農業機械化における協力が盛り上がっている証左である」と表し、日本はコートジボワール農業の支援国の1つだと述べた。日本からは農業機械が過去より無償供与されており、一番最初に供与された農機はクボタ製だった。日本の様々な支援により農業機械化が進んでおり、AFICAT委員会は機械化に関する省庁の機能を果たしている。そして、同国の農業機械化の歩みを振り返った。同国の農業機械化は、北部のブアケに設置された機械化センターが大きな役割を担い、センターでは同国製トラクタが初めて製作されたほか、大豆生産においても機械化の投資を進めてきた。しかし、先の内戦によりこれらの取り組みが停止し、センター及び機械も破壊されてしまったという。戦後は、農業復興に向けて生産者に対する様々な支援を行い、水田圃場整備や、水利施設工事など実施したものの、十分な生産基盤ができておらず、水不足なども相まって、なかなか十分な成果が得られなかったと振り返った。そうした事情を踏まえ、同国の農業機械化は、最近になって重要事項にあげられるようになったと説明。5年ほど前から農政における優先順位の上位に置かれ、今では機械化と基盤整備が農業におけるレジリエンスの中心軸に位置付けられている。JICAにより無償供与されている日本製農機は、稲作の機械化に非常に有用であると高く評価した。そして、現在の課題は、いかに早急に米の自給を達成できるかだと述べた。この課題解決に向け、農業省は稲作の2割に留まっている灌漑水田の拡大に注力。肥沃な土地や水がある同国はポテンシャルが大きく、灌漑水田の拡大に加え、機械化や各産地における精米所整備が実現できれば米の自給が可能になるとし、既に隣国からコートジボワールに良質な米を買い付けに来ている状況もある等と語った。また、カスム氏は農業機械化におけるニーズについて言及。機械化を強化していくにあたり、機械自体に加えスペアパーツの供給が重要であると強調した。同国の生産体制において最も弱いのが故障発生時の迅速なスペアパーツ交換の実施である。日本の農機は非常に丈夫で質が良いが、部品の入手に時間がかかっているので、例えば農機購入者に事前に部品をストックさせるように助言するなど、必要なときにしっかりと部品を入手して修理ができるような体制を整えることが重要だと述べた。









