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令和7年11月3日発行 第3574号 掲載

熱中症対策を検討/日本農業労災学会がシンポジウム

 日本農業労災学会(田島淳会長)・東京農業大学総研研究会3研究部会は10月17日、都内の東京農業大学世田谷キャンパス榎本ホール及びオンラインにて、2025年度日本農業労災学会・東京農業大学総研研究会シンポジウム「地球温暖化時代における熱中症対策を考える」を開催した。熱中症を防いで安全に農作業を行うという視点に立ち、幅広い分野の情報提供が行われ、意見交換を実施した。
 開会にあたり、田島会長と東京農業大学の江口文陽学長が挨拶。田島会長は同学会の最大の特徴は社会保険労務士が会員の半数以上を占めることだと述べ、農作業事故の現場に詳しい社会保険労務士と、営農や機械、経営等を専門とする研究者が交流して意見を交わすことで新しい刺激やアイデアが生まれるとし、本日の会も様々なヒントに満ちている場であるなどと語った。
 続いて講演に移り、美保雄一郎氏(農林水産省農産局技術普及課生産資材対策室長)による基調講演「農作業中の熱中症対策の推進について」をはじめ、神田潤氏(日本救急医学会)による「医学的に見た熱中症の予防・発症時の対応について」、山口哲夫氏(JA共済連全国本部農業・地域活動支援部)による「JA共済における熱中症への対応と地域貢献について」など5講演と、コメントの発表、総合討議などが行われた。
 美保氏は令和5年の農作業事故死亡者数236人のうち熱中症は37人で、機械・施設以外の作業に係る事故の44・6%を占めていると指摘。国が進める農作業中の熱中症対策として、7年度は5~7月を熱中症対策研修実施強化期間と定め、全国で4220回(前年度比1・5倍)の研修を行い、13万人以上が受講したなどと説明した。
 一方、山口氏は「ひと・いえ・くるま」の総合保障を提供しているJA共済において、生命共済における直近5年間の熱中症による支払実績は入院・死亡ともに年々増加傾向にあると説明。令和6年度は入院は995件で支払額1億1684万円、死亡は150件で同6億5545万円となった。支払い事例からみた傾向では、熱中症による平均入院日数は全年齢平均で6・4日となり、年齢別では40歳以降から入院日数が増え始め、60歳以降は7・8日となっており、高齢者は入院が長期化する傾向。死亡においては60歳以上が90%以上を超え、高齢者は重症化のリスクが高い。これに対して、平成28年度以降、熱中症対策に取り組むJAが増加しており、帽子など対策物資の寄贈・配布や戸別訪問、講習会などに取り組んでいるとし、今後も命を守る地域活動として位置づけ継続的に実施していく等と語った。
 また、同日午前には同会場にて個別報告2件や第5回学会賞表彰式も行われた。表彰式では実践賞(団体の部)を鹿追町農業協同組合(木幡浩喜代表理事組合長)に授与。同組合の労災事故防止の取り組みが高く評価された。表彰式では受賞者スピーチも行われた。

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