現地の話題:相次ぐクマの出没と被害、最大限の注意を/秋田県農機ショー特集

秋田県内では今年各地でツキノワグマの出没が相次ぎ、人身被害が発生している。秋田県農業機械化ショーが開催される湯沢市も例外ではなく、20日には湯沢駅周辺の市街地において、男性4人がクマに襲われてケガを負った。
環境省が9月末に取りまとめた都府県におけるクマの出没情報(速報値、直近5カ年)をみると、今年度の出没は4月から8月のわずか5カ月間で1万6016件にのぼる。前年度が通年で2万513件だったことを踏まえると、今年度の出没件数がハイペースであることがわかる。秋田についてみると、今年度の4~8月における出没件数は3089件で、都府県の中で岩手3453件に次ぐ多さである。前年度の出没件数が通年で1340件、2023年度が同3723件だったことを鑑みると、大量出没した2023年度を上回るペースで出没していることがみてとれる。
さらに環境省によると、全国における今年度のクマの人身被害者数は9月末時点で108名となっており、被害が甚大であった一昨年と同じ水準(秋田においては19名で岩手に次ぐ多さである)のハイペースだ。被害内容についても人の生活圏にクマが侵入し、被害にあう事例も多数みられ、専門家は人慣れしたクマが増えていると指摘しているという。
クマに遭遇するのは山林部のみならず、どこにいても出会うリスクがあることを念頭に置き、最大限の注意を払わねばならない。住宅地すら出没しており、いわんや農地においてをやである。
こうした状況を踏まえ秋田県では、9月1日から10月31日までの2カ月間を「秋のクマ事故防止強化期間」と定め、人身事故防止に向けて正しい知識や対策に関する情報発信・普及を集中的に行っている。事故防止のための行動を普及するべく、「クマ出没多発」「いつでも・どこでも・誰でもクマ対策を!」などと示したチラシを作成し、注意喚起している。
チラシで示している基本のクマ対策チェックリストは次の通り。▽鈴やラジオなど音が出る物を持っている▽クマを目撃した際、地域で情報を共有している▽食べ物は放置せず、管理している・片付けている▽車庫や物置の扉をこまめに閉めている▽小屋に侵入された場合は市町村・警察に通報する▽やぶを刈り払い見通しをよくしている。
このうち、外出する際にはクマの聞こえる音を出し、鉢合わせを避けること、雨の日や風の強い日、沢や交通量が多い道路沿いは音が聞こえにくくなるため、特に意識して音を出すようにすることを呼びかけている。
また、全国的に相次ぐクマの出没と人身被害を受け、国もクマ対策に乗り出している。
環境省は9月、都内霞が関の合同庁舎にて令和7年度度第1回クマ被害対策等に関する関係省庁連絡会議を開催した。これには警察庁や農林水産省、林野庁、国土交通省なども参加し、令和7年度クマ類出没状況等及び関係各省の取り組みについて共有した。
それによると、環境省は令和8年度予算でクマ類の総合対策推進事業に2億1100万円を要求。昨年策定した「クマ被害対策施策パッケージ」を踏まえ、クマ類による人身被害防止のための総合的な対策として、(1)改正鳥獣保護管理法を踏まえた基本指針の改定(2)自治体向け市街地等におけるクマ類出没対応の訓練の実施(3)市街地等における出没対応のための捕獲技術者等研修(4)絶滅のおそれのある四国の個体群の保全―を実施していくとした。
そのうち、9月に施行された改正鳥獣保護管理法では「人の日常生活圏にクマ等が出没した場合に、地域住民の安全の確保の下で銃猟を可能とする」と定めており、秋田を含む全国5カ所における現地研修会などが進められている。また、緊急銃猟の委託が想定されるハンターを登録し、自治体間で共有することで、体制確保に役立てる「クマ人材データバンク」を8月から運用。現在、全国約150名のハンターが登録されている。会議では今後も連携して被害対策に取り組むとした。









