秋田農業試験場の雑草防除の取り組み:異常気象へ対応強化/秋田県農機ショー特集

秋田県農業試験場の作物部栽培チームの平谷朋倫研究員と飯塚悠莉子研究員に水稲と畑作の雑草防除についての成果や取り組みを聞いた。
まず今年の水稲での成果として、高密度播種苗(以下、密播苗)移植栽培における除草剤の試験について。
密播苗は慣行の中苗と比較して軟弱徒長傾向。除草剤の田植同時処理による初期生育抑制の影響を受けやすい。生産現場からは収量の低下につながる事例も報告されている。そこで、田植同時処理で一発処理除草剤(以下、一発剤)を散布した場合と、田植同時処理で初期剤を散布し、その後、一発剤を散布する体系処理をした場合の2パターンを数年比較してきた。田植同時処理で一発剤を散布した場合、初期剤+一発剤の体系処理をした場合よりも初期の分げつ発生を抑制し、最高分げつ期の茎数や穂数も体系処理よりも少ない傾向となった。また、令和6年度の試験では田植同時処理で一発剤を散布した場合、初期剤+一発剤の体系処理をした場合よりも収量が1アール当たりおよそ5キロ低下した。県では中苗移植栽培においても初期剤+一発剤による体系処理を推奨しているが、飯塚氏は「密播苗では中苗よりも除草剤による初期生育抑制の影響をより受けやすいことから、田植同時処理を行う場合はより配慮していただきたい」と述べている。加えて、苗の生育が不十分なものや老化苗は除草剤の影響を受けやすくなることもあり、適期移植も重要である。
次に畑作での雑草防除は、大豆を中心に試験を進め、新規除草剤評価と普及支援を行っている。「3年前に県の防除基準に掲載したイマザモックスアンモニウム塩液剤(商品名:パワーガイザー液剤)は、大豆出芽揃期から大豆1葉期に使用できる茎葉処理剤で、土壌処理剤の次に使える点が特徴」と平谷氏。外来のつる性帰化雑草であるアレチウリにも効果が認められ、アレチウリ体系防除法に組み込まれている薬剤である。薬効は高く、大豆への薬害の懸念もあるが「処理後に低温や連続した降雨が予想される場合、使用を避ける」などの条件を守れば、薬害は回避できると評価し、3年前に防除基準へ正式掲載。現在、徐々に浸透、使用が増加してきている。アレチウリがなくとも、雑草量が多い圃場では、土壌処理剤の次に使用することで雑草防除に効果的である。
近年、異常気象により雑草防除は複雑化。豪雨等で河川から土砂に混ざって雑草種子が流入し、圃場にこれまでにない雑草が増加した事例がある。加えて、極端な多雨・少雨により大豆が弱る一方、雑草が旺盛となるケースも。「大豆が健全に育てば、大豆の葉の影になって雑草抑制が進み、防除にかける手間も減る。雑草だけでなく、大豆の生育にも目を向けて考える必要がある」と平谷氏は強調した。
畑作における雑草防除は、前作に何を栽培していたかも影響する。例えば、水稲の後に大豆を作付けすると、畑雑草が少なく、きれいに栽培を進めやすい。
また、土壌処理剤を主体とした化学的防除と、中耕・培土などの耕種的防除の組み合わせが重要である。「作目ごとに防除体系が確立されているため、産地の防除暦やマニュアル等を踏まえてもらいたい。試験は時間がかかることも多く、毎年更新は難しいものの定期的に新しい情報を発信し、サポートに努めたい」(平谷氏)とした。
今後の展望や課題として、水稲では、前述の密播苗について、現在は一発剤を移植5~7日後に散布し、一発剤のみで安全に使用できる時期を検討中。体系処理の手間やコストを抑えるねらいだ。また、慣行の中苗は育苗期間30~35日で田植えをする一方、密播苗は20~25日が目安で、30日を超えると確実に老化する。春先の天候不良で田植え作業が遅延し、老化苗を移植するケースも考えられる。老化苗への影響も明らかにしたい考えだ。他の問題として、中干し後にノビエが発生する圃場が増えている。「除草剤の残効切れによるものなのか、近年の高温等によるものなのか発生要因を確認する」(飯塚氏)とし、今年から発生生態等の試験を開始している。
次に畑作の展望。ここ3年を振り返っても、毎年かつてないような気象に遭遇しており、畑作は全般的に生育のコントロールが難化している。異常気象への反応を、雑草と作物体の双方から確認し、数値化できるよう試験を進め、有効な手段を見極めていく。「雑草防除は気象変化に大きく左右され、総合力を試される。雑草防除単体でみるのではなく、作物体の生育とセットでみていくことがより重要になる」と平谷氏は述べた。
最後に読者へのメッセージをお2人から。飯塚氏は「水稲では、密播苗しかり中苗しかり、初期剤と一発剤の体系処理をおすすめしたい。雑草が小さいうちに早くから安全に防除し、少しでも多く収穫していただきたい」と述べた。平谷氏は「最新機器やICTなどで、畑作の栽培技術が向上し、雑草防除のレベルも高まっている。ただ、それを超える異常気象から、作物や雑草に対する不具合が起きているのではないか。現場の皆さんの技術と我々の情報を掛け合わせて対策していきたい。そのためにも各地の情報をお寄せいただき、皆さんと一緒に考えていきたい」と呼び掛けた。









